2013年9月の読書メーター
読んだ本の数:25冊
読んだページ数:7543ページ
ナイス数:1127ナイス


鸚鵡楼の惨劇鸚鵡楼の惨劇感想
フジコ以来の真梨さんなので意外にも普通にミステリを読む感覚でさらさらと読み進められたことに驚きました。年代が変わるたびに過去との重なりをいろいろ想像してしまいある程度分かってしまった部分はあります。感覚的に想像はできましたが、生意気を言えば伏線は少し雑なような…。ラストに明らかになっていくことは確かに伏線を回収してくれるのですが、あからさますぎたり逆に唐突に思えたりとその点ではあまり楽しめなかったのが残念でした。嫌な特徴あるキャラなど上手いのであまり気にせず素直に騙されて楽しむべきなのかもしれません。
読了日:9月30日 著者:真梨幸子
異人たちとの夏 (新潮文庫)異人たちとの夏 (新潮文庫)感想
夏は少し過ぎてしまいましたが、テレビで紹介されていたのを見て手に取ってみました。離婚して少し荒んでいた主人公が、幼い頃死別した父母とそっくりな夫婦に出逢い時々彼らを訪ねては一家団欒の時を持ちます。同時に住んでいるマンションで若い恋人とも出会い逢瀬を重ねるのですが…。ノスタルジックなセピア色の情景の浮かぶ少しホラーの入ったファンタジー。もの悲しさと美しさを感じながらの読書でしたが、ラストに泣きたくなるような優しさと共に思いがけないドキッとする展開も待っていました。脚本家の作者らしいラストのような気もします。
読了日:9月29日 著者:山田太一
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)感想
4人組の強盗のそれぞれのキャラが見事です。彼らのテンポのよい会話の応酬を気持ちよく読み進めてしまうのですが、一言も読み飛ばしはできないほど綺麗に伏線が埋まっています。何作か読んで慣れているつもりでいましたが、上手く隠されていた絵が見え始め、伏線が綺麗に回収されていくのを見るときの楽しさといったら!ありえない設定なのですがわくわくと一気に読んでしまいました。この物語の女性がみんな強いのがなんだかとても嬉しいです。「ロマンはどこだ!」が合言葉なのが素敵すぎます。
読了日:9月28日 著者:伊坂幸太郎
兎の眼 (角川文庫)兎の眼 (角川文庫)感想
推薦図書で夏休みに感想文を書いた覚えがあります。当時どんな感想文を書いたかは覚えていなくても読んでいてとても重くて読むのがしんどかったのは覚えています。処理場の描写が虫が苦手な自分には読むには辛かったのかなどと思っていましたが今回再読してみて、私自身小さいなりにどちら側に自分がいるのかを理解し罪悪感を感じていたのではないかと思いました。あの当時から年を重ね、たくさんの経験をし親の立場にもなってみるとまた違った感覚で衝撃を受けます。私はこんな風にいろいろなことにきちんと向き合うことができているでしょうか。
読了日:9月26日 著者:灰谷健次郎
清須会議 (幻冬舎文庫)清須会議 (幻冬舎文庫)感想
歴史があまり得意でない私には、清須会議は内容を知っている程度で、教科書の中の出来事でした。三谷さんはなんとこれを現代語訳で全編書くことで歴史上の人物を一気に身近な人にしてしまいました。たった5日の間に行われた駆け引きがこれほどのものだったとは想像できず、夢中になって一気に読んでしまいました。上手く人物の特徴をとらえているんでしょうね。読んでいて楽しかったです。もちろん史実通りのことが決まりますが、ラストで実際にもありそうな女のしたたたかさを見たときニヤリとさせられました。映画も期待できそうで楽しみです。
読了日:9月26日 著者:三谷幸喜
スタート!スタート!感想
カエル男(厄災の季節)の映画を作る、ということで巨匠である監督に惚れ込んだ、あるいは魅せられた人々がいろいろなしがらみや妨害などを乗り越えながら一つの作品を作っていきます。確かにミステリですが、メインはそこではないのでしょう。ミステリメインでなくてもこれだけの量をぐいぐいと引っ張られ一気に読まされてしまいました。すっと綺麗に終わるように見せながらもちょっと苦い後味を暴き、さらにそこから清々しささえ感じさせられたラストへの数ページはとても好きです。映画やドラマ作成の裏事情なども勉強になりました。
読了日:9月25日 著者:中山七里
小さい“つ”が消えた日小さい“つ”が消えた日感想
50音の中から小さい「つ」がなくなってしまったら、文章は、会話はどうなるか。まずこの本を日本人ではなくドイツ人が書かれていることに驚きますが、逆に母国語が日本語ではないからこその発想だともいえるような気がします。可愛らしいイラストも雰囲気も日本語の絵本なのにどこかやはり外国の絵本を読んでいる雰囲気が漂っています。言葉を楽しむ絵本を軽く読む感覚でいたら、この本は社会において生きているうえでとても大切なことがたくさん書かれていることに驚きました。是非子供にも読んでほしいと思いました。
読了日:9月24日 著者:ステファノ・フォンロー
有頂天家族 (幻冬舎文庫)有頂天家族 (幻冬舎文庫)感想
アニメがとても素敵なのでアニメ完結前に小説で読みたくなりました。森見さんの作品は最初がどうしても私にはとっつきにくいのです。ですが世界観に取り込まれてしまうともう夢中。ちょっと退屈に感じた前半も怒涛のような後半に繋がっていき本当に楽しく一気に読めました。「阿呆の血のしからしむるところ」がいいですね。ちょっぴり切なくでも優しい素敵なお話でした。私は次男の矢二郎が好きです。原作を読み終わってみるとアニメはキャラクターも声優さんも実によくこの世界観を表現していたのだと実感しました。
読了日:9月24日 著者:森見登美彦
だんまりこおろぎ―虫の音がきこえる本 (ボードブック)だんまりこおろぎ―虫の音がきこえる本 (ボードブック)感想
今朝のこと、どこかで何かが鳴っている音がするのですが何の音なのか全くわかりません。家族総出で音の源を探し回り本棚の奥でこれが鳴いているのを見つけました。娘がとても好きで、何度も何度も読んだ本です。突然センサーがダメになってしまったのでしょうか、今もこおろぎはずっと鳴いています。久しぶりにみんなで回し読みをし懐かしい思い出に浸りました。このボードブックタイプは電池の交換ができませんので音をオフにすることはできません。電池がなくなるまで数時間?数日?娘の成長を実感しながらこおろぎの声を楽しもうと思います。
読了日:9月22日 著者:エリックカール
眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社ノベルス)眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社ノベルス)感想
新本格を読み漁った身としては、このタイプのメフィスト賞受賞は嬉しいです。ある程度想像できてしまったり、既視感を感じたりするのは事実ですが、それでもこの館ならではのトリックをしっかり楽しむことができました。予想はしていましたがラストの展開も好きです。とにかくトリックありきなので他の部分にもう少し気を配ってほしいのと、数学者の探偵が想像以上に常識的なのがちょっと残念で今後もっと個性的に魅力的に育ってくれれば楽しいシリーズになるのではないかと思います。シリーズの今後を期待しています。
読了日:9月21日 著者:周木律
花芒ノ海 ─ 居眠り磐音江戸双紙 3 (双葉文庫)花芒ノ海 ─ 居眠り磐音江戸双紙 3 (双葉文庫)感想
前巻での伊織の死が、こうやって信用のおける人たちがどんどん亡くなっていってしまうのか、と読んでいてすごく辛かったので、今回は関前藩関係の人をそんなに簡単に信用していいの?とかまた殺されてしまうのでは?などといろいろな心配をしながら読み進めることになりました。正直、この巻のラストが切りのいいところまでいくとは思っていなかったので驚きました。次回は奈緒のお話でしょうか。巻数が多いのにだらだら引っ張ることなく展開が早く飽きさせないことが、このシリーズが長く愛されている一つの理由なのかもしれません。
読了日:9月18日 著者:佐伯泰英
都道府県の持ちかた (ポプラ文庫)都道府県の持ちかた (ポプラ文庫)感想
「持つとしたら、こう。」彼のこのネタをテレビで見た時の衝撃は忘れられません。本でもネタ同様、ちゃんとした都道府県の紹介も出ていてなかなか役に立ちそうです。こういうのって自分に何かしらゆかりのある所を熱心に見てしまいますね。静岡の由来が賎機山から来ていたとは出身地なのに知らなかったです。現在の在住県は、「つけすぎに注意しましょう。」○○かよっ!と思いましたが突然別の都道府県のページに出張していてなんかいい気分になりました。一番のお気に入りは鹿児島県。さらさらっと簡単に描くイメージがありますが、上手いですね。
読了日:9月17日 著者:バカリズム
八つ墓村 (角川文庫)八つ墓村 (角川文庫)感想
ドラマ冒頭(?)で見た例のあの姿のインパクトが強すぎて、当時怖がりだった私は結局映像も見れず小説も手に取れず、で今回実は初読みだったりします。時代を感じる部分はありますが、リーダビリティの高さには驚くほどで、台風の真っ只中での読書でしたがそれすら気にならないほど引きずり込まれ、一気に読んでしまいました。金田一氏の登場は思ったより少ないのですがもちろんちゃんと本格で洞窟探検や宝探しまでしっかり楽しめました。シリーズのこの先も是非読んでみようと思います。
読了日:9月16日 著者:横溝正史
Team・HKTeam・HK感想
専業主婦だった主人公がハウスキーピングの会社に勤めて日常を見つめ直すことになったり…事件に巻き込まれたり…な話。たくさんの登場人物がしっかりキャラ設定できているのでシリーズの一冊目なのかもしれません。でもこの一冊に関してはミステリとしてもお仕事小説としても物足りないし、主人公の日常や夫や娘とのやり取りが主婦や母親としての我が身には重くて痛かったりして、楽しかった!という感じではなかったのが残念です。字が大き目で行間も広く児童書っぽさもあるのに主婦目線。読み手として誰を想像しているのかちょっと不思議です。
読了日:9月13日 著者:あさのあつこ
菩提樹荘の殺人菩提樹荘の殺人感想
火村先生とアリスの短編4本です。もちろん殺人事件は起こるし、それぞれに悲しい事情やトリックがありしっかり本格でもあるのですが、二人がある一定の距離で落ち着いてしまっているからなのかとても優しい雰囲気を感じます。彼らは34歳のまま年をとらなくなりましたが二人の時間は作者とともに確実に進んで今の彼らを作っているのではないでしょうか。ガッツリ謎解きを楽しむというよりシリーズの雰囲気を安心して楽しめました。今回あらためて思ったのは有栖川さんの文章がとても綺麗だということです。幸せな読書タイムでした。
読了日:9月12日 著者:有栖川有栖
これ1冊で完全理解 電子書籍 (日経BPパソコンベストムック)これ1冊で完全理解 電子書籍 (日経BPパソコンベストムック)感想
すでに電子書籍を使っている方にはあまり目新しい内容はないかもしれませんが、電子書籍入門としてどの専用端末を、どの書店を選ぼうか、と思っている人には参考になるかもしれません。(といっても出版9か月ですでに情報が古くなっている部分もあります。)私は複数のショップでの電子書籍購入経験がありますが、あげられているいろいろな問題点について頷くことが多かったので、これから電子書籍を購入しようと思っている方はその問題点の方をしっかりと確認してほしいと思います。使い勝手は大型電気店で触って比べてみるのが一番だと思います。
読了日:9月12日 著者:
私を知らないで (集英社文庫)私を知らないで (集英社文庫)感想
プロローグがずっと頭に残り、気になっていたので読み進めましたが主人公の冷めた感じや中学生のヒエラルキーが最初は読んでいて楽しく感じられませんでした。自分も似たようなことを経験していたからかもしれません。でも彼らが背負わされてしまったものがわかってくると、一気に読み進めるしかありませんでした。年を重ねて大人の世界を知ってしまった私にはちょっと理想すぎる展開もありますが、それでもほろ苦い読後感も運んでくるプロローグに繋がるラストは素敵だと思います。メフィスト賞を取られたというデビュー作も読んでみたいです。
読了日:9月11日 著者:白河三兎
11文字の殺人 (光文社文庫)11文字の殺人 (光文社文庫)感想
初期の作品になるのでしょうか、今の作風とはちょっと違う本格ミステリです。トリックや動機などは想像の範囲にに収まってしまった感じがして少し物足りない感もありますが、最後に明らかになっていくことは気づかなかった部分や思いがけない、背筋がぞっとするような部分もあり人間模様の切り口などさすがだと思わされました。一つどうしても気になってしまったのが会話文でも地の文でも頻繁に出てくる「あたし」です。気になりだしたらそれが終始気に障ってしまって残念でした。
読了日:9月11日 著者:東野圭吾
静おばあちゃんにおまかせ静おばあちゃんにおまかせ感想
軽いミステリで恋愛も絡み、中山さんの引き出しの多さにびっくりさせられます。女子大生の協力や警察のだらしなさ等ありえないのですが、キャラ設定が上手いのかすぐに割り切って物語を楽しめました。冤罪や外国人労働者のことなど、現代の抱える問題について扱っていたことと、静おばあちゃんの教えがしっかりと筋が通っていて一つ一つの言葉が重かったことも、この軽いテイストで良かったのではないかと思います。といってもラストは予想できませんでした。伏線はあったと思うし私はこのテイストならアリだと思いますが、好みは分かれそうですね。
読了日:9月10日 著者:中山七里
体育館の殺人体育館の殺人感想
正直、デビュー作ならではの浅さを感じる部分がそこここにありますが、楽しめました。鮎川哲也賞にふさわしい正当な本格だと思います。探偵の個性を作るためのアニオタはもう少し絞ってくすっと笑える程度のものにした方がいいんじゃないかと思うのと、金銭の授受で高校生でひとり一万円弱集めるというのが常識としてどうなのか、というのが引っ掛かりました。ですが、これらは作者の若さゆえなのかもしれず、これからの作品が楽しみなことには違いありません。たくさん書いてこなれて、素敵な本格ミステリの作者として育ってほしいと思います。
読了日:9月9日 著者:青崎有吾
いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)感想
舞台はポーランド、ショパンコンクール。岬さんはコンテスタントとして現れます。コンクールだけあってショパンの演奏描写は素晴らしく、一部の曲しかすっと出てこないことに歯がゆい思いをしながらの読書となりました。ピアノを演奏される方はきっともっと楽しめるのでしょう。並行して起こるテロと殺人事件がミステリ色を残してはいますが、そちらはメインではなくなって、謎を解いたり犯人を指摘することよりも、出場者の心理や成長を楽しみました。奇跡のノクターン、音楽にはそんな力もあると信じたいです。ラストの余韻がとても好きです。
読了日:9月6日 著者:中山七里
([み]4-1)プロムナード (ポプラ文庫 日本文学)([み]4-1)プロムナード (ポプラ文庫 日本文学)感想
読み友さんにお勧めいただきました。同じような経験は多かれ少なかれ誰もがしているのかもしれませんが、それぞれの経験をすべて身にして今の道尾さんが作られていることが彼自身の言葉で伝わってきて、素敵なエッセイを堪能しました。17歳の時に書かれたという絵本が何とも切なくその感性には脱帽です。印象的だったのは子供は「小さな大人」ではないということ。一個の人格として扱うつもりで小さな大人として扱っていないか、母親としての自分を顧みたくなりました。純粋なままでいることと「大きな子供」になってしまうことも違いますね。
読了日:9月6日 著者:道尾秀介
日本人の知らない日本語4  海外編日本人の知らない日本語4 海外編感想
ヨーロッパの日本語を勉強している生徒さんたちとのお話です。今までの凪子先生のお話を蛇蔵さんが描くだけではなく蛇蔵さん目線の話が多いのもちょっといつもと違いますが、今まで通り日本語の勉強になるのはもちろん、それぞれの国に関してもいろいろと知ることができ楽しかったです。彼らが本当に日本が好きで日本語を勉強してくれているのがわかるのが嬉しいですね。思わず笑ってしまったのが「神様の国際会議」と「閉じ込められた山下さん」。そして確かに「もらってあげてくれませんか」はすごい日本語です。
読了日:9月4日 著者:蛇蔵,海野凪子
トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)感想
普段税金の申請と言ったら医療費の控除申請くらいしかしたことがないので、何もかもが新鮮でした。読み始めはどうもぐー子に対していい印象を持てなかったので読みにくかったのですが、徐々に彼女の気に障る部分が誰でも持っているもので、触れられたくない部分だからこそ好きになれないのだと気づきました。だからぐー子がきちんと成長していくのが嬉しかったですね。鏡さんはとても魅力的。愛情のある口の悪さも好きです。最後の章では思いがけない表情も見せ、続きが是非読んでみたくなりました。
読了日:9月2日 著者:高殿円
贖罪の奏鳴曲贖罪の奏鳴曲感想
読み終わって納得の題名です。最初の情景をずっと引きずって、巧妙に隠されている部分を想像しながら最初はのんびりと読んでいましたが、彼がいきなり感じることのできたピアノ演奏の部分あたりからは物語にどっぷり浸かり、法廷部分に圧倒され、畳みかけるラストに翻弄され、一気に読んでしまいました。決して読後感が爽やかということはなく、「家族」というものに対する苦さも悲しさも感じます。ミステリとしてはまた読み返そうと思うほど楽しみましたが…テーマは重いですね。
読了日:9月1日 著者:中山七里

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