2013年の読書メーター
読んだ本の数:247冊
読んだページ数:79367ページ
ナイス数:11197ナイス

冬を暖かくする童話集 新美南吉冬を暖かくする童話集 新美南吉感想
突然新見南吉のお話を読みたくなったので。90円でした。青空文庫でもちろん読むことができますがたくさんあるお話をすべて読むのは難しいのでこうやってうまく選択してまとめてあるものを読むのも選択肢としてありかなと思います。以前より「デンデンムシノカナシミ」が好きですが今回は絵本にはちょっとなりそうもない「花をうめる」が印象に残りました。収録作●ごん狐●手袋を買いに●おじいさんのランプ●木の祭り●デンデンムシノ カナシミ●花をうめる●がちょうの たんじょうび●子どものすきな神さま●そりとランターン●ひとつの火
読了日:12月30日 著者:新美南吉
円卓 (文春文庫)円卓 (文春文庫)感想
西加奈子作品初読みです。凄い言葉の使い手だったんですね。少女だったころ、カッコイイと憧れたあれやこれやがこっこ目線で語られると自分だけが特別ではなかったのだ、となんだかむず痒く感じられます。三つ子の姉達や手芸部部長をはじめ登場人物皆が自分をしっかりと持っていてとっても素敵。とくに男前のぽっさんにはすっかり惚れ込んでしまいました。拠り所であったジャポニカを越えてこっこが成長していくさまが本当に頼もしく微笑ましかったです。言葉ってなんて素敵なんでしょう!ラストの真夏の雪が感動的でした。
読了日:12月30日 著者:西加奈子
追憶の夜想曲追憶の夜想曲感想
ある人物の別作品とのリンクに思い当たると一筋縄ではいかない男だろうと想像でき、対決も楽しみに読み進めました。事件の真相についてある程度予想がついたと思っていましたが、もちろんそれだけで終わるわけはなく、真相の奥にある真実には目を覆いたくなりました。中山さんの作品には時々こういう裏を持つ人間が出てきて悲しくなります。御子柴は今回の事件に関わったことで最終的にどうなるかわかっていたはず。誓いを拠り所とした彼のラストの自己嫌悪と問いかけが何とも痛々しかったです。彼はこの後どうなっていくのでしょうか。
読了日:12月29日 著者:中山七里
妖怪アパートの幽雅な食卓 るり子さんのお料理日記 (YA!ENTERTAINMENT)妖怪アパートの幽雅な食卓 るり子さんのお料理日記 (YA!ENTERTAINMENT)感想
レシピ集のようなものを想像していたのですが、もちろんレシピも載っていますが本当にお料理日記ですね。日記なので仕方ないのですがもっとお料理の写真があったら嬉しかったかも。本編に触れながらのお料理日記ですので10巻分を一気に振り返りながら懐かしく思い出しながら楽しみました。逆にシリーズ途中までしか読まれていない方にはかなりのネタバレがあるのでご注意くださいね。アパートの台所やそれぞれの部屋の図解も楽しめましたし、長谷と千晶のそれぞれのエピソードであるショートも良かったです。千晶の方のはなんか恥ずかしいですが。
読了日:12月27日 著者:
贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)感想
単行本では既読です。続編の「追憶の夜想曲」を読み始めたところ本当にそのまま続きだったので復習の意味でも前作が読みたくなり今度は文庫で。一度読んでいるからというだけではなく、話の流れが綺麗でテンポも良いためか次々とページをめくってあっという間に読んでしまいました。人間というものはそんなに簡単には変われないと思います。ですが変わるきっかけを与えられ、本当に変わることができたならば本当に幸せなんだと思います。話としてはとても楽しみましたが何度読んでも考えさせられることがたくさん詰まっていて読後はやはり重いです。
読了日:12月27日 著者:中山七里
トッカンvs勤労商工会 (ハヤカワ文庫JA)トッカンvs勤労商工会 (ハヤカワ文庫JA)感想
鏡特官が窮地に陥る関係で彼の出番は少なく、その分ぐー子が必死になって成長しようとしています。ぐー子と一緒になっていろいろな言葉にはっとさせられたり反省したりしながら読み進めました。いい年をした私にもちょっと耳の痛い「体裁」と「自分専用のすき間」。万年ピンクリボン運動という話がどこに繋がってくるのかと思ったら…彼女の悲痛な叫びが痛かったです。少し重いラストになりましたが、エピローグの鏡特官とのやり取りや、お墓参りでの展開がとても優しく良い読後感を運んでくれました。
読了日:12月26日 著者:高殿円
ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (ミステリ・フロンティア)ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編)) (ミステリ・フロンティア)感想
舞台は書店大賞。現実の本屋大賞で最近気になっていたことなども取り上げられていて現実に即したドラマを見ているように舞台裏に驚かされたり納得したり、初めて知ることも多くとても引き込まれました。成風堂の彼女たちと井辻くんシリーズのコラボになっていて、いくつかのグループとして行動している彼らが一つの謎について別々にいろいろな情報を断片的に得て、最終的に集まった情報で起こっていることが明らかになっていく様子は慌ただしくも読んでいてとても楽しかったです。印象深かったのは複写伝票です。うっかり泣きそうになりました。
読了日:12月26日 著者:大崎梢
本陣殺人事件 (角川文庫)本陣殺人事件 (角川文庫)感想
表題作はテレビで映像化作品を見たことがあったので、トリックや真相はなんとなく記憶にありさらさらっと読めてしまいました。事件の起こった原因がわかるとその人がそんなことができるのか?ということが気になりましたが、この話では重要なのはそちらではなくトリックなんでしょうね。同時収録されている「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の方が初読だったこともあるのか、純粋に楽しみました。既に終わったことになっている「獄門島」の事件が気になります。角川文庫の金田一耕助ファイルの順に読もうとしていますが時系列は違うようですね。
読了日:12月23日 著者:横溝正史
追撃の森 (文春文庫)追撃の森 (文春文庫)感想
森の中、追われる女性二人と追う殺し屋二人。500ページのうちの8割ほどがこの追うものと追われるものの12時間の頭脳戦なのですがこれが上質で途中で飽きることなく一気に読まされてしまいます。途中、別視点や回想から多少想像することはあったのですがそれでも逃走劇が終わった後次々と現れる違う形の真実に一瞬ついていけなくなったほどでした。濃密なサスペンスミステリを楽しみました。私には翻訳のシリーズものは敷居が高くなかなか手に取れないのですが、この作家さんのこのようなノンシリーズや短編はまた読んでみたいと思いました。
読了日:12月20日 著者:ジェフリーディーヴァー
白銀ジャック (実業之日本社文庫)白銀ジャック (実業之日本社文庫)感想
前半は何が起こっているのか事態を把握するまでのんびりと読んでいましたが、中盤からのスピード感はすごいもので、スキー場経営の事情、一年前の事件への想い等絡んでいることはたくさんあるのにサスペンスドラマを見ているように一気にラストまで読まされてしまいました。他の作品と比べると少し軽めかもしれませんが、読み終わってみると伏線もしっかりしていてさすが東野さんです。パウダースノーのゲレンデを一気に滑り降りていく感覚をこの本の登場人物と一緒に感じられるところがとても良かったです。
読了日:12月20日 著者:東野圭吾
解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
主人公は現在塀の中にいて回想しながら手記を書いています。解錠師となるまでとその後との2つの時系列が交互に書かれ嫌でも引き込まれずにいられません。なぜ解錠師となったのか、どんな結果が彼を今の状態に置いたのか、そして口のきけない原因にもなる過去の事件。ミステリとしてそれらが気になりながらも、青春小説としての甘酸っぱさや爽やかさを感じながらどんどんページをめくりました。緊迫した解錠シーンは一緒に息を止めてしまうほどで、絵での会話シーンはじんとするほど美しかったです。彼自身の心の錠はうまく解けてくれたでしょうか。
読了日:12月19日 著者:スティーヴ・ハミルトン
背表紙は歌う (創元推理文庫)背表紙は歌う (創元推理文庫)感想
相変わらず井辻君は一生懸命で優しく、切れる人です。書店員さんだけではなく、取次の人や作者さん自身などいろいろな人との話があることで、普段あまり気にすることのない裏話を知ることができて楽しかったです。待機会の話が特に印象的でした。作家さんの気持ちはもちろん出版社側の増刷についてのじりじりとするジレンマも上手く伝わってきました。改めて感じさせられたのが出版物の多さです。小さな本屋さんにとってそれがどんなに大変かということも考えさせられました。今回も名前が出てこなくてもだれかわかるリンクが嬉しかったです。
読了日:12月18日 著者:大崎梢
平台がおまちかね (創元推理文庫)平台がおまちかね (創元推理文庫)感想
「成風堂シリーズ」とは別の、出版社の営業の井辻くんを中心とした連作ですが、こちらも本や本屋さんに絡む日常の謎に絡んだミステリ仕立てになっていて、とても雰囲気の良い優しいお話です。新人で自分自身の評価はあまり高くない井辻くんですが、実際はとても細やかな心を持った素敵な人物で、周りの別出版社の営業さんも優しい人ばかりでとても読み易かったです。特に「絵本の神様」が印象的でした。地元密着の小さな本屋さんの話は身につまされるものもありました。最終話で成風堂とのリンクが匂わされるのが楽しかったです。続きも楽しみです。
読了日:12月17日 著者:大崎梢
チルドレン (講談社文庫)チルドレン (講談社文庫)感想
5つの短編の形をとっていますが、実際は時系列が前後しながら少しずつ繋がっています。一つ一つの短編がきちんとどんでん返しまで用意されて完結しているのに、長編として別の楽しみがあるのがすごいです。破天荒ながら一本筋の通った陣内がいいですね。善意を押し付けてきた婦人の話に、バッサリと「そんなの、関係ねえだろ」と言えてしまうすごさ。まあ友達だったらめんどくさそうですが。他の登場人物もみんな優しく、嫌な人がいないせいなのかとても気持ちの良い読後感でした。短編としては武藤さん視点のチルドレン、チルドレン2が好みです。
読了日:12月16日 著者:伊坂幸太郎
ソウルメイトソウルメイト感想
馳星周氏と言えばノワール小説のイメージしかなかったのですが、この本がテレビで紹介されていたのを見て興味を持って手に取ってみました。犬が大好きでそのために軽井沢に引っ越し、まさしくソウルメイトを看取り、現在も犬と暮らす彼が愛情いっぱいに7つの犬との物語を綴っています。特に震災後の話となる「柴」や、彼の愛情と悲痛な叫びが響いてくる「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」は涙をぼろぼろこぼしながらの読書となりました。犬たちがどんなに人間を愛し寄り添ってくれているかがこの本から痛いほど伝わってきました。
読了日:12月16日 著者:馳星周
ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎感想
「週刊文春」連載からの選りすぐり100件だそうです。「25人で同時に同じ本をアマゾンで買うと順位がどれくらい上がるか」とか「チョコボールを1021箱買ったら~」など手間がかかるけど気になることを調べてあってなかなか面白いです。印象深かったのは時代とともに大学の単位が「取る」ものから「来る」ものになっていたこと。(堀井氏が卒論を一晩で書いたのにも驚きましたが。)忠臣蔵の仇討ちについて若者が語った物語には、思わず声まで出して笑ってしまいました。500P超というボリュームなので少しずつ楽しむのがいいと思います。
読了日:12月15日 著者:堀井憲一郎
ブック・ジャングル (文春文庫)ブック・ジャングル (文春文庫)感想
クローズドが多い石持さんですが、今回は閉館になった図書館に軽い気持ちで侵入したら武器装備のラジコンヘリに襲われる、というパニックホラー的な話でした。作者さん自身は「冒険もの」と表現していますが最初は戸惑っていたものの、昆虫学者としての経験を駆使してジャングルと言える本棚の間を戦い、逃げる様子にはいつの間にか楽しんで読み進めていました。犯人側の事情などは中盤にはわかってきますが全く同情できないし、経緯を考えたらやりきれないです。こういうのもありだとは思いますが、期待していたものとはちょっと違いますね。
読了日:12月13日 著者:石持浅海
祈りの幕が下りる時祈りの幕が下りる時感想
「赤い指」で加賀と父親との関係や別れを見てきているので、母親の様子が最初に出てきたのにはドキドキしました。本筋の事件の捜査としては彼の従弟があたるのですが、パズルのピースばかりがどんどん増えていくようで、これと彼の母親とがどうつながっていくのか先が気になって寝る間も惜しんで一気に読んでしまいました。今回は親子の絆に焦点を当てていましたが、事情が分かってくるにつれ悲しくて切なくてたまりませんでした。ラストまで読んで「祈りの幕が下りる時」という題名に感嘆しました。加賀はまたこれで一回り大きくなるのでしょうね。
読了日:12月13日 著者:東野圭吾
影を買う店影を買う店感想
短編21編が、すべて皆川さんらしいとしか言えない幻想小説でどれもが一つ読むたびにもう一度読み返したくなるようなとても濃いものでした。モノクロの中に時々赤や青などの原色がすっと差し込まれるような強烈な印象を与えてくれるもの、終始全く音を感じないほどどっぷり浸かってしまうものなど、皆川さんの世界がぎっしり詰まっています。時間のある時にゆっくりじっくり一つずつ堪能したい本です。好みはすっと世界に入れる「迷路」「更紗眼鏡」。印象深かったのは読後題名がじわじわと沁みこんできた「墓標」。時間をおいて再読したいです。
読了日:12月12日 著者:皆川博子
ダチョウは軽車両に該当します (文春文庫)ダチョウは軽車両に該当します (文春文庫)感想
脱走したダチョウを捕まえる、というアクロバティックなスタートですが、その後の通常の動物園の風景に油断していたら事件が思いがけず大きくなっていったので焦りました。そういえば前作も日常の謎だと思ってたら…という感じでしたね。登場人物のキャラが立っているのが楽しいです。変態服部君大好き♪びっくりするほどパワーアップしています。かなり重い事柄を扱っているのですが、息苦しくならないのはこの登場人物たちの設定に上手く助けられているのでしょう。楽しみました。
読了日:12月11日 著者:似鳥鶏
三階に止まる三階に止まる感想
石持さんの短編は初めて読んだかもしれません。ちょっとホラーな、ラストの余韻を楽しむお話が多く、今まで読んできたものとはちょっと雰囲気が違いますがこちらもいいですね。好みは「黒い方程式」ブラックな落ちを想像していましたが冷静な二人のやり取りと、旦那の本音部分がかなり好みでした。表題作は正直読んでいて背筋がスーッと寒かったです。ラストの呟きががよくて読後感は悪くはないですが。「転校」のラストも好みです。「院長室」は「EDS緊急推理解決院」として読んだ方が楽しめるような気がします。そちらも読んでみたいです。
読了日:12月10日 著者:石持浅海
ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)感想
「ストーリーセラー」もそうだったのですが、有川浩さんの作品は、なぜか「死」が絡むと一気に私には合わない作品になってしまいます。今回も最初の作品は後半何が起きているのか想像できてくるにつれて読むのがしんどくなり好みの作品ではなくなってしまいました。おそらく自分が「死」を間近にしたことがあるせいだと思いますがこれだけはどうも相性が悪いようで残念です。二編目の方が読み易く好みでしたがこれも人によっては心を抉られそうですね。読む前に苦手かどうかわかればいいんですがネタバレ部分なので仕方ないです。
読了日:12月9日 著者:有川浩
ドラゴンフライ (単行本)ドラゴンフライ (単行本)感想
前作の刑事4人がチームでそのまま出てきますので読み易いです。題名のドラゴンフライに絡めて話が一本きちんとつながっているのが見事です。もちろんまだ2作目ということで荒削りに感じられたりちょっと都合がいいかなと思える部分はもちろんあります。でもプロローグや過去の部分が最終的にどのように話に関わってくるか想像したりリーダビリティも相当なものだと思います。事件の解決の仕方や最初に出てきた開きの死体ができるまでの経緯に個人的に思うところはありますが、とても読み応えのある楽しい読書の時間でした。次作も楽しみです。
読了日:12月9日 著者:河合莞爾
きのう何食べた?(8) (モーニングKC)きのう何食べた?(8) (モーニングKC)感想
京都旅行はちょっとBLっぽくて笑ってしまいましたが、確かに以前のシロさんでは考えられないこといっぱいですね。京都の美味しいお店の紹介もいいけれど、やっぱりおうちごはんが私は好きかな。バレンタインデーのケンジのトリセツに笑ったり、ケンジが実家で女子力一番と言われたことに和んだり、この本ではいつも穏やかな気持ちをもらえます。やっぱり一番ほんわかしたのが「そんなのうれしーでしょ!!」「うれしーよなあ!」の会話ですね。お料理ではまず沢煮椀。それから人参オンリーのサラダ。早速作ってみようと思います。
読了日:12月9日 著者:よしながふみ
禁断の魔術 ガリレオ8禁断の魔術 ガリレオ8感想
湯川教授が、融通の利かない物理学者から変わっているのがとてもよくわかります。今作では、どの短編も物理学の装置や分野というより人間模様に惹かれました。短編でもしっかり読ませてくれます。最後の「猛射つ」だけは中編で、特別ですね。なるほど、「禁断の魔術」です。出てきた装置もすごかったですが、何より印象的だったのは屋上での湯川教授の言葉です。科学者が過去に犯した過ち、科学を教えるものの責任。科学の進歩はいつも禁断とは隣り合わせであることを突きつけられます。これは長編でじっくり読みたかったです。
読了日:12月3日 著者:東野圭吾
パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から (幻冬舎文庫)パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から (幻冬舎文庫)感想
安楽椅子探偵のパティシエが日常の謎を解く、と思い込んで読み始めたので、扱う事件が殺人事件だったのに驚きました。元警部補のパティシエに捜査情報を回すための設定がありえないのですが上手く作ってあると思います。喫茶のマスターの兄視点はとても読み易く、兄弟の関係もとても優しいもので微笑ましいです。謎ときはおそらくメインではないのですね。謎が解けたことによって関係者の先行きがいい方に変わっていくところが好みでした。登場人物たちに謎が残されたままなので今後がどのように展開していくのが楽しみです。
読了日:11月30日 著者:似鳥鶏
ドミノ倒しドミノ倒し感想
途中で作者名を確認してしまうほどイメージとは違う軽いラノベ風ですがちゃんとミステリです。事件だけではなく探偵に関して隠されているものを気にしながらも月影の方言や署長ののんびりした口調にテンポを外されながらまさしくドミノ倒しのようにバタバタと先へ広がっていく事件を追いかけて、なんだかんだ楽しんで読み進めていきました。そして畳みかけるような怒涛のラスト。その勢いのまま読み進めていき最後のページで目が点になりました…。ですが読み終わってみると扱っているテーマが重いのを感じます。だからこれでいいのかもしれません。
読了日:11月27日 著者:貫井徳郎
虚像の道化師 ガリレオ 7虚像の道化師 ガリレオ 7感想
「容疑者Xの献身」や「真夏の方程式」と比べてしまうと短い中にトリックも犯人の心情も詰まっているので軽くあっさりめですが、同じシリーズでこのように違う印象を読者に与えてしまう作者はすごいと改めて思います。あっさりとはいっても「幻惑す」と「心聞す」では物理学者のシリーズらしい一風変わったトリックが、「偽装う」では加賀シリーズを思い出させる心遣いが印象的でした。「演技る」が一番インパクトがあり、私は好みです。読後「虚像の道化師」というタイトルにはっとさせられました。こういうところも上手いですね。
読了日:11月27日 著者:東野圭吾
よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)感想
呪術を専門とする文化人類学の大学教授と、祖父の惨殺死体の床下に呪術符を見つけた女子大生がこの殺人事件を呪いの面から追っていきます。表題からもオカルトなイメージを想像していましたが、しっかりとしたサスペンスミステリでオカルト的怖さはあまりなく、後半は続きが気になって一気に読んでしまいました。伏線だと思っていたものが意味がなかったりこれでいいの?と思うような部分はありましたが、キャラがしっかり立っていたのでシリーズでも行けるような気がします。デビュー作だそうなので今後に期待しています。
読了日:11月24日 著者:川瀬七緒
思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車 (集英社文庫)思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車 (集英社文庫)感想
秀司と明里の甘さは想像以上で、読んでいて暖かくなります。ちゃんと二人が成長していくのがわかるのも嬉しいです。二人のキャラがしっかりとしてきたのもあってこの商店街にどっぷり浸りました。日常の謎にどこか不思議な世界が絡むこの独特の雰囲気がとても好みです(でも現実的正解もどこかに用意してますね)。一巻から特別な何かを持っていそうで気になっていた太一がますます不思議な子になっています。二人にしか会えないのかと思ったらちゃんと他の方にも見えているようですし、今後の彼がとても気になります。
読了日:11月21日 著者:谷瑞恵
冤罪死刑冤罪死刑感想
最初少し読みづらいと感じていましたが、物語が動き始めると一気に読まされてしまいました。冤罪というものは、こうやって作られていくものかもしれません。実際にこんなことが起こり得るとは思いたくないですが、人間のすることに100%はなく、少しだけ歯車が狂ったり思惑によって故意に捻じ曲げられていくこともあることを考えさせられました。ミステリとしてはとても計算されていてよくできていると思います。生意気ですが登場人物がもっと魅力的だといいのですが。多少予想のつく部分はありますが、どんでん返しを楽しみました。
読了日:11月19日 著者:緒川怜
思い出のとき修理します (集英社文庫)思い出のとき修理します (集英社文庫)感想
谷瑞恵さんと言えばコバルトの印象が強くこの作品もそんなイメージで読み始めたのですが、少しファンタジックではあるものの思いがけずしっかりとしたお話でした。「思い出の時修理します」と掲げた時計屋さん自身の過去、そして主人公の過去と現在。正直彼ら二人より太一の方が魅力的だったりしますがそれでも二人が少しずつ寄り添いながら過去を上手く自分のものにして未来へと時をつなげていく様子は良かったです。少しずつ明らかになっていくことに引き込まれていきながらも心穏やかに読み進められ、優しい読書時間を過ごすことができました。
読了日:11月19日 著者:谷瑞恵
七色の毒 (単行本)七色の毒 (単行本)感想
女には騙されるが男の嘘は見抜くという切り裂きジャックでお馴染みの犬養刑事が関わる短編集。それぞれの話にいろいろな意味の毒が色を纏って現れます。実際の事件や出来事を題材にしているのがはっきり分かるものも多く、いたたまれない思いを感じたり、筆者自身の吐いた毒を感じるものもありました。インパクトが強かったのは「黒いハト」と「緑園の主」。好きなのは想像以上に騙された「青い魚」。最後のお話で犬養刑事と娘さんの近況が見えるのも嬉しいです。とても好きなパターンの短編集でしたのでシリーズが続くと嬉しいです。
読了日:11月18日 著者:中山七里
切り裂きジャックの告白切り裂きジャックの告白感想
脳死判定上の臓器提供。自分や家族が提供する立場になることは考えてもいただく立場を考えたことがなかったのと、コーディネーターという仕事や商売としての臓器移植に関しても全く考えたことがなかったのでとても勉強になりました。ips細胞など今後の臓器移植に関しては明るい光も見えていますが、現在待っている方々の時間を考えるととにかく早く医療が進んでくれることを祈るばかりです。物語としては二人の刑事のキャラが立っていてすんなり読めました。真相には少し思うところがありましたが、その後のエピローグで泣きそうになりました。
読了日:11月17日 著者:中山七里
真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (ポプラ文庫 日本文学)真夜中のパン屋さん 午前3時の眠り姫 (ポプラ文庫 日本文学)感想
気になっていたいろいろなことが少しずつ動き出して、少しずつ明らかになっていきます。必ずしも綺麗ごとばかりではなく優しいことばかりでもない、でもきっとみんなその時その時を精いっぱい生きて、選択しているのだと思います。登場人物それぞれがパン屋さんと関わってきた時間とともにきちんと成長しているのもわかります。真夜中のパン屋さんがどれだけ意味のあるものだったのか、みんなが幸せになれるラストを信じて続きを待ちます。
読了日:11月17日 著者:大沼紀子
双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社ノベルス)双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社ノベルス)感想
前作で探偵が思ったより常識的、などという感想を書いていましたが今回の探偵は偏屈な数学者をむき出しにしていい味を出しています。理解しなくても問題ないだろうな、と思いつつも好き分野なので楽しく読んでしまいましたが、ちょっと長いですよね。数学が嫌いな方だとこの前半部分の位相数学のやり取りは読むのが辛いのではないでしょうか。建物の構造やトリック的なことなどは意表を突く感じではないものの一応本格してますし、今回登場の兄妹が今後も関わってきそうなので続きがどんな形で展開していくか楽しみです。
読了日:11月17日 著者:周木律
赤い糸の呻き赤い糸の呻き感想
「ぬいぐるみ警部の帰還」にシリーズになる前の作品があると知り、ノンシリーズ短編集のこちらを手に取りました。音無警部の頭の中はこんなになっていたんですね。楽しかったのでシリーズが続くならこういうところもまた見せてほしいです。他の短編もキャラが濃かったり安楽椅子探偵が答えを出してそのままだったりどれも西澤さんらしいと思います。表題作がとてもよかったです。思いがけなくガツンとやられました。あんなオチが用意されているとは!どれもさらっと読めましたが楽しみました。
読了日:11月12日 著者:西澤保彦
盤上の夜 (創元日本SF叢書)盤上の夜 (創元日本SF叢書)感想
麻雀はやったことがある程度、将棋やチェスはルールがわかる程度という自分の事情もあるのでしょうが、麻雀を題材にした「清められた卓」が一番面白く、囲碁の話は感覚器官という点で興味深かったのですがとにかく知らないので読みにくくて残念でした。ルールを知らなくてもぐいぐい引っ張ってくれる何かが欲しいという感じです。碁と麻雀以外の3編も決して読み易いということはないのですが読み終わってみるとどれも好みだったので余計にそう思います。コンピュータと人間との関係など興味深いことも多く別の形の作品に触れてみたいと思いました。
読了日:11月11日 著者:宮内悠介
残像に口紅を (中公文庫)残像に口紅を (中公文庫)感想
五十音を一音ずつ消していくという実験小説。使えない言葉がどんどん増え、表現できない物自体もなくなってしまうので相当不自由なはずなのですが最初の3分の1くらいは意識しないと気づかないほど文字が減っていることを感じさせません。虚構の世界の中の空間が少しずつ広がり、空虚になっていく様子が文字数が本当に少なくなってしまうまで上手く伝わってきました。改めてすごい作家さんだと思いました。解説の音分布のエントロピーがとても興味深かったです。減っていく文字を表す山内ジョージ氏のイラストがまたいい雰囲気を出していました。
読了日:11月8日 著者:筒井康隆
秋の牢獄 (角川ホラー文庫)秋の牢獄 (角川ホラー文庫)感想
【秋の牢獄ツアー参加】恒川さんのお話の怖いより幻想的な美しさを感じられる所が好きです。昨年の同じ日に単行本で読んで以来の再読になります。今日はいろいろなことをきちんと記憶しようと思いながら過ごしたので、さっき外を見て思いがけず窓の外に見えるビルの夜景がきれいなことに気づいたりちょっと特殊な一日になりました。表題作はもちろん印象に残っていましたが、今回改めて読んでみると「神家没落」の設定が好きですね。急激に都市化が進んだ日本…今でも忘れられた小路を行ったら選ばれた人の前に出現しそうな気がします。
読了日:11月7日 著者:恒川光太郎
六枚のとんかつ (講談社文庫)六枚のとんかつ (講談社文庫)感想
何やらいろんな意味で注目されていたのは知っていました。私は保険屋のコンビのドタバタも謎解きも楽しめたのですが、途中からなんだか小説を読んでいる気がしないな、と思い始めてしまいました。ふと思いついたのが多湖輝氏の「頭の体操」です。あんな感じで謎を与えられて解答を考えるクイズの本を読んでいるような感覚でした。決して面白くなかったということはないのですが、隙間時間に楽しむ本という感じです。お気に入りは「丸ノ内線七十秒の壁」です。コメント欄ちょっとネタバレ↓
読了日:11月6日 著者:蘇部健一
東京バンドワゴン (1) (集英社文庫)東京バンドワゴン (1) (集英社文庫)感想
話題の本でしたが今まで機会がなく、偶然ドラマを少し見て、これは原作が面白そう、と手に取ってみました。大家族で登場人物も多いのですがドラマをほんの少し見たことが幸いしてすんなりと話の中に入っていけました。お伽噺のようにとても優しい素敵なお話でした。大家族ならではの食卓のシーンが印象的です。視点が大おばあちゃんなのがいいですね。ラストの作者からのメッセージもまた素敵。ドラマはほんの少ししか見ていないのですが原作の雰囲気が私はとても好きだったのでこのあともまずはドラマではなく原作の方で楽しみたいと思います。
読了日:11月6日 著者:小路幸也
雪華ノ里 ─ 居眠り磐音江戸双紙 4 (双葉文庫)雪華ノ里 ─ 居眠り磐音江戸双紙 4 (双葉文庫)感想
許嫁の奈緒の後を追い旅から旅へ。でもほんの少しの差で…そしていつも何やら血なまぐさい事件に巻き込まれ…。扇が現れるたびに何とも切ない気持ちになりながら読み進めました。彼にはどこでも力になってくださる人が現れますが、これは彼の人柄ゆえのことですね。早く優しいラストを読みたいけれど、このシリーズの長さを考えるとこの先にどんな展開が待っているのか不穏な空気をどうしても感じてしまい、不安な気持ちになっています。
読了日:10月30日 著者:佐伯泰英
百年法 下百年法 下感想
不老を選択するかしないか、選択をした人はどうやって百年後を迎えるか。もちろんそれについてもきちんと書かれているのですが、日本共和国という国がどのような選択をし将来に備えるか、政治の駆け引きに国民投票、と先が気になって一気に読みました。今の日本と重ねて見てしまった部分もあります。政治家と法律について哀しかったり恐ろしかったりもしました。大統領が倒れたときその思いがピークに達していたので、指令ゼロ号が発動したとき鳥肌が立ちました。いろいろと考えさせられましたが、とても読み易くよくできた面白いストーリーでした。
読了日:10月30日 著者:山田宗樹
百年法 上百年法 上感想
大きな病気をしているので生きるということは運命だと思っています。だから生きることに対する執着というのはないのですが、要介護5の家族を持つ身としては自分が介護される側になることを考えると不老を選ぶことによって家族の負担を減らしたいと考えることはあるかもしれないと思いました。今のところこの本はこの選択がどうこうということよりも、その不老不死期間を百年と区切ることに関する話になっています。この期間や後世への考えなど現実社会の別問題に重ねて考えられる部分も多くすごくひきこまれて読み進めています。
読了日:10月29日 著者:山田宗樹
ホルモー六景 (角川文庫)ホルモー六景 (角川文庫)感想
勝手に時系列で続きが読めるのかと思っていましたが、そうではなく、かといって前作の単なるスピンオフだけではなく、ホルモーに関係した人たちのそれぞれの六景。第一景はさらっと読んでしまったものの第二景は前作との時間の隙間を考えながら楽しく、第三景でしっかりやられ、第四景でリンクに驚き続きが気になり。第五景は単なる再会の話と思ったらこれも何とも先が気になる心躍るラスト。そして第六景では思いがけずほろっとさせられ前作とのリンクを考えてニヤリ。歴史上の人物の絡みも上手くて本当に楽しい読書タイムでした。
読了日:10月26日 著者:万城目学
あずかりやさん (一般書)あずかりやさん (一般書)感想
一日百円でなんでも預かるあずかりやさん。目の見えない店主とお客様たちとの素敵な関わりを、まずはお店の暖簾が、そして次は視点が変わって…と、第三者の目があずかりやさんを語ります。猫弁シリーズ同様にとても優しいお話で、とにかくみんなに幸せになってもらいたい、と祈るような気持ちで読み進めていました。だから最後のお話は本当に驚きました。そのうえエピローグでの社長は…。綺麗に繋いであるのですが社長視点の部分だけちょっと違う感じがしてそれまでの4つのお話の雰囲気の方が私は好きです。
読了日:10月26日 著者:大山淳子
ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件ドS刑事 三つ子の魂百まで殺人事件感想
死体の様子がすごいことになっているのに普通に読み流していることに気づきました。慣れというのは恐ろしい…。今回は姫様の過去の出来事と現在とが並行で書かれさてどこでどう繋がっているのか、と想像しながら楽しく読めました。姫様の過去が少し明らかになったり、相変わらずの姫様の趣味(これだけはもうちょっと控えてほしいかも)、不死身の浜田さんに彼にライバル視される強烈なキャラ駒田、と事件の本筋とは別の部分も楽しく読むことができました。さて、姫様のお父上との対決で代官様のこの先や如何に。今後が気になります。
読了日:10月25日 著者:七尾与史
銀の匙 Silver Spoon 9 (少年サンデーコミックス)銀の匙 Silver Spoon 9 (少年サンデーコミックス)感想
うっかり彼らが高校生であることを忘れそうになります。本当に真剣にいろいろなことに向き合って、きちんと成長していくのが手に取るようにわかります。とくに八軒が父親に言い返す場面には感激しました。きちんと自分とも向き合って、すぐ謝れるところもすごいと思います。一人一人からのお土産もまた素敵。豚の屠畜まできちんと描く所にも作者の本気を感じます。ぶっ飛んだ兄のスパイスもいいですね。それにしても…たまこが素敵すぎます。すっかり彼女のファンです。
読了日:10月25日 著者:荒川弘
水族館の殺人水族館の殺人感想
前作で気になった部分がほとんどなくなって、偉そうなことを言わせていただければ2作目でぐんと上手くなったと思います。前回は密室、今回は消去法とロジックがしっかりとした正当な本格はそのままで読んでいて嬉しくなりました。章題での遊びも作者が楽しんで書いたのが伝わってきます。高校生たちの繋がりや因縁、探偵の背景など気になる伏線も残し、ミステリではない部分のシリーズの今後も楽しみです。死体の様子がグロイのはともかく、動機からは到達できないのが気になりますが、このシリーズは気にしてはいけないのかもしれません。
読了日:10月22日 著者:青崎有吾
鴨川ホルモー (角川文庫)鴨川ホルモー (角川文庫)感想
ホルモーの正体がわかるまでが長く感じたのですが、その後の展開は本当に楽しく一気読みしました。自分の大学生時代を思い出すような生き生きとした彼らが素敵でした。一員となって参加したくなりました。勝たないと大変なことになりそうだけれど勝った場合もこの先が心配だし、ラストがどうなるのか上手く収まるのか、と心配してしまいましたが、これはこのためにあったのか!と思える突飛に感じられながらも計算されつくしたストーリーに感嘆しました。きちんと成長した彼らがわかるエピローグも良かったです。ホルモー六景も読んでみます。
読了日:10月21日 著者:万城目学
ぬいぐるみ警部の帰還ぬいぐるみ警部の帰還感想
帰還?と思ったら一つ前作品があるんですね。そちらを先に読んだ方がもっとキャラがつかめて楽しかったのかもしれません。一編目はキャラをつかみ損ねているうちに短編なのでさらっと事件解決まで行ってしまった感じがありました。ですがキャラがわかってくるとこの設定がなかなか楽しかったです。事件自体は苦かったり重かったりするものもありますがどれも意外とあっさりしている印象です。もちろん謎解きなどはきちんと計算されていて安心して読めますが。前作が載っているという「赤い糸の呻き」も読んでみたいと思います。
読了日:10月17日 著者:西澤保彦
3月のライオン 9 (ジェッツコミックス)3月のライオン 9 (ジェッツコミックス)感想
とにかく優しさが心に沁みる本です。9巻と巻を重ねてもそれがぶれないところがすごいですね。ひなちゃんの受験を前面にしていますが、主人公がすごくがんばっているのはちゃんとわかります。もう少し丁寧に触れてほしかった部分(部の先輩たちの卒業とか)もありますが盛りだくさんなので仕方がなかったのでしょうね。彼が将棋をする姿はありませんが、おなじみのメンバーは出てきますし、何より今回初めて出てきた滑川氏と土橋氏もすごいインパクトで読んでいてとても楽しかったです。食べ物のシーンがすごく美味しそうなのも印象的でした。
読了日:10月17日 著者:羽海野チカ
妖怪アパートの幽雅な日常 ラスベガス外伝 (YA!ENTERTAINMENT)妖怪アパートの幽雅な日常 ラスベガス外伝 (YA!ENTERTAINMENT)感想
本編を読んでから時間がたってしまっていたのですが、本編にとても上手に丁寧に触れてくれてあるのでしっかり思い出しつつ楽しんで読むことができました。10巻ではあっという間に10年後が来ましたが、その間で知りたいと思っていた部分をきちんと補完してくれていたのが嬉しいです。登場したいろいろな人の10年後が出てきますが、全ての人が成長し幸せに…とはいかないところも納得してしまいます。しっかり完結したものの外伝ですから、このくらいのダイジェストでちょうどいいのでしょう。妖アパの今後を示唆するラストも良かったです。
読了日:10月14日 著者:香月日輪
刑事のまなざし (講談社文庫)刑事のまなざし (講談社文庫)感想
連作短編ですが、それぞれ物足りないことはなく苦かったり切なかったり、心に響く結末がやってきます。各話語り手が違うので加害者の事情に寄り添うものが多いのです。「オムライス」はそういった意味とはまた違って辛かったです。そんな気持ちはわからないし、わかりたくもない。でも現実にもありそうだと思ってしまう自分が悲しいです。最後の刑事のまなざしも心臓が痛くなるような思いをしながら読み進めました。頭では理解しても私は夏目刑事のようにはなれません。結局読後残ったのは哀しさとやるせなさです。テーマがとても重かったです。
読了日:10月13日 著者:薬丸岳
木乃伊男 (講談社文庫)木乃伊男 (講談社文庫)感想
正直、話はベタだ思いますが、ミイラ男が包帯を解くシーンの後ページをめくるとイラストが出てくる、という繰り返しに嫌でも次へ次へと引っ張られ、それを気にする暇もなくラストまで一気に読まされてしまいました。里中さんのイラストが懐かしく、つい先を見たくなるのですがイラストに仕掛けがあるので絶対にペラペラとめくったりはできません(透けているのがちょっと残念)。そんなじりじりした部分も良いスパイスだったのかもしれません。ラストの一枚まで楽しめました。実は初蘇部氏でしたが妙な魅力を感じます。別の本も読んでみようかな。
読了日:10月12日 著者:蘇部健一
猫弁と少女探偵猫弁と少女探偵感想
夜、ほんの少し読むつもりが全く途中で止めることができず寝る間も惜しんで一気に読み切ってしまいました。ミステリの位置づけのこのシリーズですが、最早ミステリ部分よりとにかくみんなが幸せになってほしい、そんな思いでページをめくってしまいます。今回は少女探偵と亜子の中学の同級生が加わって事態が複雑になっている感じがしますが、逆にそれぞれが新しい一歩を踏み出すための布石なのですね。百瀬は確実に変わっていっています。次でラストなのは寂しいですが素敵なハッピーエンドを楽しみに待ちたいと思います。
読了日:10月11日 著者:大山淳子
鹿男あをによし (幻冬舎文庫)鹿男あをによし (幻冬舎文庫)感想
普段ファンタジーは読まないのですがこの作家さんの世界観は本当に好きです。最初は研究室でありえない失敗をした主人公に正直引いてしまいましたが、あっという間にそんなことは忘れ去り、どっぷり世界に浸かりました。ドラマ化されたとき、何回かを飛び飛びに見てしまっていたので、多少ストーリーが見えてしまったのがすごく悔やまれます。解説にもありましたが「坊ちゃん」をイメージさせる部分とか大好きです。神無月に偶然読めたこともなんだか嬉しいです。ラストもベタなのに、いやベタだからこそふんわり優しい読後感を運んでくれました。
読了日:10月10日 著者:万城目学
狼と兎のゲーム狼と兎のゲーム感想
主題となっているのは父親による子供への虐待。とある出来事から、このままでは二人とも殺されてしまうと、主人公の少年が手を貸して行う二人の逃避行。こんな重たい話なのに読みやすいのかあっという間にラストまで読んでしまいました。この作家さんだからおそらくラストの後味はあまりよくないだろうなと思っていましたが、それでもなんとか救いのあるラストを期待していたのでラストは何とも言えない気持ちになりました。子供も読むミステリーランドにならなくて本当に良かったです。
読了日:10月8日 著者:我孫子武丸
孤独のグルメ 【新装版】孤独のグルメ 【新装版】感想
旧版は以前に読んだことがあります。今回新装版を手に取ってみました。おそらく原作の五郎さんの方がリアルにいそうな人でちょっと苦い部分もいいのだと思いますが、ドラマの松重さんもとても美味しそうに、食べ方も嫌らしくなく綺麗に食べているのが印象的ですごく良かったと思います。新装版では一話追加されているということで楽しみにしていたのですが、それがちょっと思いがけない場所だったのが少し残念です。あれは美味しいかなぁ?。。。
読了日:10月8日 著者:久住昌之
ラットマン (光文社文庫)ラットマン (光文社文庫)感想
題名が物語るものを多少は想像している読んでいるのです。ですが見させられているものにしか見えません。そしてもちろんそれだけでも終わりません。読み終わってみると本当に上手いと感じさせられます。そしてさらに道尾さんの作品に多い家族や友人、大事な人との関わりや気持ちの表現が素晴らしく、とても優しいのに同時に悲しさや寂しさという重さもしっかりと伝わってきて、かなりの読み応えがありました。決して何もかもがすっきり、というラストではありませんが読後感は悪くなく、私は好きです。きっとまた読みたくなると思います。
読了日:10月6日 著者:道尾秀介
浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って (講談社文庫)浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って (講談社文庫)感想
今回の数学は今までの中ではかなり易しいと思います。確率の「確からしい」という言葉はあまり考えずに普通に使っていたけれどあんな風に綺麗に説明されると感動します。方程式のグラフが折り線になる折り紙とか難しくはないけれどちょっとひねった問題をさらさらと解説してしまうところなども楽しかったです。ストーリーとしては思いがけない方向に動き始め、続きがとても気になります。ただ、今回のラストのミュージカルだけは私には合いませんでした。作者には思い入れがあるようですが残念ながら読みにくいだけ。普通に読みたかったです。
読了日:10月2日 著者:青柳碧人
鸚鵡楼の惨劇鸚鵡楼の惨劇感想
フジコ以来の真梨さんなので意外にも普通にミステリを読む感覚でさらさらと読み進められたことに驚きました。年代が変わるたびに過去との重なりをいろいろ想像してしまいある程度分かってしまった部分はあります。感覚的に想像はできましたが、生意気を言えば伏線は少し雑なような…。ラストに明らかになっていくことは確かに伏線を回収してくれるのですが、あからさますぎたり逆に唐突に思えたりとその点ではあまり楽しめなかったのが残念でした。嫌な特徴あるキャラなど上手いのであまり気にせず素直に騙されて楽しむべきなのかもしれません。
読了日:9月30日 著者:真梨幸子
異人たちとの夏 (新潮文庫)異人たちとの夏 (新潮文庫)感想
夏は少し過ぎてしまいましたが、テレビで紹介されていたのを見て手に取ってみました。離婚して少し荒んでいた主人公が、幼い頃死別した父母とそっくりな夫婦に出逢い時々彼らを訪ねては一家団欒の時を持ちます。同時に住んでいるマンションで若い恋人とも出会い逢瀬を重ねるのですが…。ノスタルジックなセピア色の情景の浮かぶ少しホラーの入ったファンタジー。もの悲しさと美しさを感じながらの読書でしたが、ラストに泣きたくなるような優しさと共に思いがけないドキッとする展開も待っていました。脚本家の作者らしいラストのような気もします。
読了日:9月29日 著者:山田太一
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)感想
4人組の強盗のそれぞれのキャラが見事です。彼らのテンポのよい会話の応酬を気持ちよく読み進めてしまうのですが、一言も読み飛ばしはできないほど綺麗に伏線が埋まっています。何作か読んで慣れているつもりでいましたが、上手く隠されていた絵が見え始め、伏線が綺麗に回収されていくのを見るときの楽しさといったら!ありえない設定なのですがわくわくと一気に読んでしまいました。この物語の女性がみんな強いのがなんだかとても嬉しいです。「ロマンはどこだ!」が合言葉なのが素敵すぎます。
読了日:9月28日 著者:伊坂幸太郎
兎の眼 (角川文庫)兎の眼 (角川文庫)感想
推薦図書で夏休みに感想文を書いた覚えがあります。当時どんな感想文を書いたかは覚えていなくても読んでいてとても重くて読むのがしんどかったのは覚えています。処理場の描写が虫が苦手な自分には読むには辛かったのかなどと思っていましたが今回再読してみて、私自身小さいなりにどちら側に自分がいるのかを理解し罪悪感を感じていたのではないかと思いました。あの当時から年を重ね、たくさんの経験をし親の立場にもなってみるとまた違った感覚で衝撃を受けます。私はこんな風にいろいろなことにきちんと向き合うことができているでしょうか。
読了日:9月26日 著者:灰谷健次郎
清須会議 (幻冬舎文庫)清須会議 (幻冬舎文庫)感想
歴史があまり得意でない私には、清須会議は内容を知っている程度で、教科書の中の出来事でした。三谷さんはなんとこれを現代語訳で全編書くことで歴史上の人物を一気に身近な人にしてしまいました。たった5日の間に行われた駆け引きがこれほどのものだったとは想像できず、夢中になって一気に読んでしまいました。上手く人物の特徴をとらえているんでしょうね。読んでいて楽しかったです。もちろん史実通りのことが決まりますが、ラストで実際にもありそうな女のしたたたかさを見たときニヤリとさせられました。映画も期待できそうで楽しみです。
読了日:9月26日 著者:三谷幸喜
スタート!スタート!感想
カエル男(厄災の季節)の映画を作る、ということで巨匠である監督に惚れ込んだ、あるいは魅せられた人々がいろいろなしがらみや妨害などを乗り越えながら一つの作品を作っていきます。確かにミステリですが、メインはそこではないのでしょう。ミステリメインでなくてもこれだけの量をぐいぐいと引っ張られ一気に読まされてしまいました。すっと綺麗に終わるように見せながらもちょっと苦い後味を暴き、さらにそこから清々しささえ感じさせられたラストへの数ページはとても好きです。映画やドラマ作成の裏事情なども勉強になりました。
読了日:9月25日 著者:中山七里
小さい“つ”が消えた日小さい“つ”が消えた日感想
50音の中から小さい「つ」がなくなってしまったら、文章は、会話はどうなるか。まずこの本を日本人ではなくドイツ人が書かれていることに驚きますが、逆に母国語が日本語ではないからこその発想だともいえるような気がします。可愛らしいイラストも雰囲気も日本語の絵本なのにどこかやはり外国の絵本を読んでいる雰囲気が漂っています。言葉を楽しむ絵本を軽く読む感覚でいたら、この本は社会において生きているうえでとても大切なことがたくさん書かれていることに驚きました。是非子供にも読んでほしいと思いました。
読了日:9月24日 著者:ステファノ・フォンロー
有頂天家族 (幻冬舎文庫)有頂天家族 (幻冬舎文庫)感想
アニメがとても素敵なのでアニメ完結前に小説で読みたくなりました。森見さんの作品は最初がどうしても私にはとっつきにくいのです。ですが世界観に取り込まれてしまうともう夢中。ちょっと退屈に感じた前半も怒涛のような後半に繋がっていき本当に楽しく一気に読めました。「阿呆の血のしからしむるところ」がいいですね。ちょっぴり切なくでも優しい素敵なお話でした。私は次男の矢二郎が好きです。原作を読み終わってみるとアニメはキャラクターも声優さんも実によくこの世界観を表現していたのだと実感しました。
読了日:9月24日 著者:森見登美彦
だんまりこおろぎ―虫の音がきこえる本 (ボードブック)だんまりこおろぎ―虫の音がきこえる本 (ボードブック)感想
今朝のこと、どこかで何かが鳴っている音がするのですが何の音なのか全くわかりません。家族総出で音の源を探し回り本棚の奥でこれが鳴いているのを見つけました。娘がとても好きで、何度も何度も読んだ本です。突然センサーがダメになってしまったのでしょうか、今もこおろぎはずっと鳴いています。久しぶりにみんなで回し読みをし懐かしい思い出に浸りました。このボードブックタイプは電池の交換ができませんので音をオフにすることはできません。電池がなくなるまで数時間?数日?娘の成長を実感しながらこおろぎの声を楽しもうと思います。
読了日:9月22日 著者:エリックカール
眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社ノベルス)眼球堂の殺人 ~The Book~ (講談社ノベルス)感想
新本格を読み漁った身としては、このタイプのメフィスト賞受賞は嬉しいです。ある程度想像できてしまったり、既視感を感じたりするのは事実ですが、それでもこの館ならではのトリックをしっかり楽しむことができました。予想はしていましたがラストの展開も好きです。とにかくトリックありきなので他の部分にもう少し気を配ってほしいのと、数学者の探偵が想像以上に常識的なのがちょっと残念で今後もっと個性的に魅力的に育ってくれれば楽しいシリーズになるのではないかと思います。シリーズの今後を期待しています。
読了日:9月21日 著者:周木律
花芒ノ海 ─ 居眠り磐音江戸双紙 3 (双葉文庫)花芒ノ海 ─ 居眠り磐音江戸双紙 3 (双葉文庫)感想
前巻での伊織の死が、こうやって信用のおける人たちがどんどん亡くなっていってしまうのか、と読んでいてすごく辛かったので、今回は関前藩関係の人をそんなに簡単に信用していいの?とかまた殺されてしまうのでは?などといろいろな心配をしながら読み進めることになりました。正直、この巻のラストが切りのいいところまでいくとは思っていなかったので驚きました。次回は奈緒のお話でしょうか。巻数が多いのにだらだら引っ張ることなく展開が早く飽きさせないことが、このシリーズが長く愛されている一つの理由なのかもしれません。
読了日:9月18日 著者:佐伯泰英
都道府県の持ちかた (ポプラ文庫)都道府県の持ちかた (ポプラ文庫)感想
「持つとしたら、こう。」彼のこのネタをテレビで見た時の衝撃は忘れられません。本でもネタ同様、ちゃんとした都道府県の紹介も出ていてなかなか役に立ちそうです。こういうのって自分に何かしらゆかりのある所を熱心に見てしまいますね。静岡の由来が賎機山から来ていたとは出身地なのに知らなかったです。現在の在住県は、「つけすぎに注意しましょう。」○○かよっ!と思いましたが突然別の都道府県のページに出張していてなんかいい気分になりました。一番のお気に入りは鹿児島県。さらさらっと簡単に描くイメージがありますが、上手いですね。
読了日:9月17日 著者:バカリズム
八つ墓村 (角川文庫)八つ墓村 (角川文庫)感想
ドラマ冒頭(?)で見た例のあの姿のインパクトが強すぎて、当時怖がりだった私は結局映像も見れず小説も手に取れず、で今回実は初読みだったりします。時代を感じる部分はありますが、リーダビリティの高さには驚くほどで、台風の真っ只中での読書でしたがそれすら気にならないほど引きずり込まれ、一気に読んでしまいました。金田一氏の登場は思ったより少ないのですがもちろんちゃんと本格で洞窟探検や宝探しまでしっかり楽しめました。シリーズのこの先も是非読んでみようと思います。
読了日:9月16日 著者:横溝正史
Team・HKTeam・HK感想
専業主婦だった主人公がハウスキーピングの会社に勤めて日常を見つめ直すことになったり…事件に巻き込まれたり…な話。たくさんの登場人物がしっかりキャラ設定できているのでシリーズの一冊目なのかもしれません。でもこの一冊に関してはミステリとしてもお仕事小説としても物足りないし、主人公の日常や夫や娘とのやり取りが主婦や母親としての我が身には重くて痛かったりして、楽しかった!という感じではなかったのが残念です。字が大き目で行間も広く児童書っぽさもあるのに主婦目線。読み手として誰を想像しているのかちょっと不思議です。
読了日:9月13日 著者:あさのあつこ
菩提樹荘の殺人菩提樹荘の殺人感想
火村先生とアリスの短編4本です。もちろん殺人事件は起こるし、それぞれに悲しい事情やトリックがありしっかり本格でもあるのですが、二人がある一定の距離で落ち着いてしまっているからなのかとても優しい雰囲気を感じます。彼らは34歳のまま年をとらなくなりましたが二人の時間は作者とともに確実に進んで今の彼らを作っているのではないでしょうか。ガッツリ謎解きを楽しむというよりシリーズの雰囲気を安心して楽しめました。今回あらためて思ったのは有栖川さんの文章がとても綺麗だということです。幸せな読書タイムでした。
読了日:9月12日 著者:有栖川有栖
これ1冊で完全理解 電子書籍 (日経BPパソコンベストムック)これ1冊で完全理解 電子書籍 (日経BPパソコンベストムック)感想
すでに電子書籍を使っている方にはあまり目新しい内容はないかもしれませんが、電子書籍入門としてどの専用端末を、どの書店を選ぼうか、と思っている人には参考になるかもしれません。(といっても出版9か月ですでに情報が古くなっている部分もあります。)私は複数のショップでの電子書籍購入経験がありますが、あげられているいろいろな問題点について頷くことが多かったので、これから電子書籍を購入しようと思っている方はその問題点の方をしっかりと確認してほしいと思います。使い勝手は大型電気店で触って比べてみるのが一番だと思います。
読了日:9月12日 著者:
私を知らないで (集英社文庫)私を知らないで (集英社文庫)感想
プロローグがずっと頭に残り、気になっていたので読み進めましたが主人公の冷めた感じや中学生のヒエラルキーが最初は読んでいて楽しく感じられませんでした。自分も似たようなことを経験していたからかもしれません。でも彼らが背負わされてしまったものがわかってくると、一気に読み進めるしかありませんでした。年を重ねて大人の世界を知ってしまった私にはちょっと理想すぎる展開もありますが、それでもほろ苦い読後感も運んでくるプロローグに繋がるラストは素敵だと思います。メフィスト賞を取られたというデビュー作も読んでみたいです。
読了日:9月11日 著者:白河三兎
11文字の殺人 (光文社文庫)11文字の殺人 (光文社文庫)感想
初期の作品になるのでしょうか、今の作風とはちょっと違う本格ミステリです。トリックや動機などは想像の範囲にに収まってしまった感じがして少し物足りない感もありますが、最後に明らかになっていくことは気づかなかった部分や思いがけない、背筋がぞっとするような部分もあり人間模様の切り口などさすがだと思わされました。一つどうしても気になってしまったのが会話文でも地の文でも頻繁に出てくる「あたし」です。気になりだしたらそれが終始気に障ってしまって残念でした。
読了日:9月11日 著者:東野圭吾
静おばあちゃんにおまかせ静おばあちゃんにおまかせ感想
軽いミステリで恋愛も絡み、中山さんの引き出しの多さにびっくりさせられます。女子大生の協力や警察のだらしなさ等ありえないのですが、キャラ設定が上手いのかすぐに割り切って物語を楽しめました。冤罪や外国人労働者のことなど、現代の抱える問題について扱っていたことと、静おばあちゃんの教えがしっかりと筋が通っていて一つ一つの言葉が重かったことも、この軽いテイストで良かったのではないかと思います。といってもラストは予想できませんでした。伏線はあったと思うし私はこのテイストならアリだと思いますが、好みは分かれそうですね。
読了日:9月10日 著者:中山七里
体育館の殺人体育館の殺人感想
正直、デビュー作ならではの浅さを感じる部分がそこここにありますが、楽しめました。鮎川哲也賞にふさわしい正当な本格だと思います。探偵の個性を作るためのアニオタはもう少し絞ってくすっと笑える程度のものにした方がいいんじゃないかと思うのと、金銭の授受で高校生でひとり一万円弱集めるというのが常識としてどうなのか、というのが引っ掛かりました。ですが、これらは作者の若さゆえなのかもしれず、これからの作品が楽しみなことには違いありません。たくさん書いてこなれて、素敵な本格ミステリの作者として育ってほしいと思います。
読了日:9月9日 著者:青崎有吾
いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)感想
舞台はポーランド、ショパンコンクール。岬さんはコンテスタントとして現れます。コンクールだけあってショパンの演奏描写は素晴らしく、一部の曲しかすっと出てこないことに歯がゆい思いをしながらの読書となりました。ピアノを演奏される方はきっともっと楽しめるのでしょう。並行して起こるテロと殺人事件がミステリ色を残してはいますが、そちらはメインではなくなって、謎を解いたり犯人を指摘することよりも、出場者の心理や成長を楽しみました。奇跡のノクターン、音楽にはそんな力もあると信じたいです。ラストの余韻がとても好きです。
読了日:9月6日 著者:中山七里
([み]4-1)プロムナード (ポプラ文庫 日本文学)([み]4-1)プロムナード (ポプラ文庫 日本文学)感想
読み友さんにお勧めいただきました。同じような経験は多かれ少なかれ誰もがしているのかもしれませんが、それぞれの経験をすべて身にして今の道尾さんが作られていることが彼自身の言葉で伝わってきて、素敵なエッセイを堪能しました。17歳の時に書かれたという絵本が何とも切なくその感性には脱帽です。印象的だったのは子供は「小さな大人」ではないということ。一個の人格として扱うつもりで小さな大人として扱っていないか、母親としての自分を顧みたくなりました。純粋なままでいることと「大きな子供」になってしまうことも違いますね。
読了日:9月6日 著者:道尾秀介
日本人の知らない日本語4  海外編日本人の知らない日本語4 海外編感想
ヨーロッパの日本語を勉強している生徒さんたちとのお話です。今までの凪子先生のお話を蛇蔵さんが描くだけではなく蛇蔵さん目線の話が多いのもちょっといつもと違いますが、今まで通り日本語の勉強になるのはもちろん、それぞれの国に関してもいろいろと知ることができ楽しかったです。彼らが本当に日本が好きで日本語を勉強してくれているのがわかるのが嬉しいですね。思わず笑ってしまったのが「神様の国際会議」と「閉じ込められた山下さん」。そして確かに「もらってあげてくれませんか」はすごい日本語です。
読了日:9月4日 著者:蛇蔵,海野凪子
トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)感想
普段税金の申請と言ったら医療費の控除申請くらいしかしたことがないので、何もかもが新鮮でした。読み始めはどうもぐー子に対していい印象を持てなかったので読みにくかったのですが、徐々に彼女の気に障る部分が誰でも持っているもので、触れられたくない部分だからこそ好きになれないのだと気づきました。だからぐー子がきちんと成長していくのが嬉しかったですね。鏡さんはとても魅力的。愛情のある口の悪さも好きです。最後の章では思いがけない表情も見せ、続きが是非読んでみたくなりました。
読了日:9月2日 著者:高殿円
贖罪の奏鳴曲贖罪の奏鳴曲感想
読み終わって納得の題名です。最初の情景をずっと引きずって、巧妙に隠されている部分を想像しながら最初はのんびりと読んでいましたが、彼がいきなり感じることのできたピアノ演奏の部分あたりからは物語にどっぷり浸かり、法廷部分に圧倒され、畳みかけるラストに翻弄され、一気に読んでしまいました。決して読後感が爽やかということはなく、「家族」というものに対する苦さも悲しさも感じます。ミステリとしてはまた読み返そうと思うほど楽しみましたが…テーマは重いですね。
読了日:9月1日 著者:中山七里
ラッシュライフ (新潮文庫)ラッシュライフ (新潮文庫)感想
視点の変化ごとに現れるシルエットが誰を表すか覚えるころにはもう一気にページをめくっていくしかありません。分かってはいるのです。どこかが必ずつながっていること、時系列も前後しているだろうということも。でも分解されバラバラになって違うものに見えていた絵が来るべき時が来ると一気に違う位置にはまって別の絵を見せ始める美しさには感嘆します。読後漂ううっすらとした寂寥感も好みです。前作とのリンクも楽しみましたが、きっとたくさん別作品へのリンクが埋まっているのでしょう。何度も読み返して別の発見を楽しめそうです。
読了日:8月30日 著者:伊坂幸太郎
寒雷ノ坂─ 居眠り磐音江戸双紙 2 (双葉文庫)寒雷ノ坂─ 居眠り磐音江戸双紙 2 (双葉文庫)感想
とにかく磐音はいい男で、ファンにならずにはいられません。勧善懲悪でスカッとするかと思えばそれだけの話ではなく、何とも理不尽で悲しく切ないことも多いです。最初の陰謀の件は裏でゆっくり流れて、小さな事件を一冊ずつ完結で進めていくものだと思い込んで読んでいたので、この巻のラストには、急いで続きを読まないと細かいところを忘れてしまうかもしれない、とちょっと焦っています。忘れないうちに、でものんびり楽しんで続きを追いかけたいと思います。
読了日:8月27日 著者:佐伯泰英
小説新潮 2010年 02月号 [雑誌]小説新潮 2010年 02月号 [雑誌]感想
有川さんの「キケン」の番外編目当てで、図書館でお借りしました。伝説となっているPC研との部室争奪戦の話で、もちろん楽しく読むことができましたが、番外編よりも、実はもっと楽しんでしまったのがイラストレーターさん、デザイナーさん、有川さんの3人のあのコミック風の扉絵に関する座談会です。続編が出たらきっと番外編は収録していただけるかと思いますが、座談会はなかなか難しいと思います。私の市の図書館では小説新潮の保管期限は3年で、ぎりぎり残っていた感じでした。この機会に読むことができて本当に良かったです。
読了日:8月27日 著者:
さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
前奏曲の表題通り時系列では本編の前となり、香月家のお爺ちゃん、玄太郎氏の活躍のお話です。彼の生き方は本当に素敵。みち子さんも本編よりずっと生き生きしてかっこいいです。短編になっていてそれぞれがきちんと本格ミステリ仕立てになっているので本当に楽しく読めました。でも、最後の一話がこのあとあの話につながっていくと思うと読後は切ない思いでいっぱいになります。彼のお話をもっともっとシリーズで読んでみたかったです。
読了日:8月25日 著者:中山七里
高杉さん家のおべんとうもふーっ となるHappyレシピ高杉さん家のおべんとうもふーっ となるHappyレシピ感想
カラー画像で見るとまた違った感覚で美味しそう~と思います。最初はコミックを持っていれば写真で見ることができるだけでこれはいらないかな?と思って図書館でお借りしたのですが、明日のお弁当のメインは何にしよう?とかあと一品入れたい、なんて時にペラペラとめくって役立ちそうです。ただ、途中の画像が一切ないのでお料理初心者だと手順が多いものは大変かもしれません。娘のお弁当作り真っ只中で、ついつい同じものがローテーションする私は購入しようかな、と思っています。
読了日:8月24日 著者:
猫弁と指輪物語猫弁と指輪物語感想
シリーズ3作目。ミステリですがこのシリーズはメインはそこではなく人間模様ですね。エンゲージ~を亜子に誂えようとする彼ですが、やっぱりやってくれました。弁護士としては関わった人みんなを間違いなく幸せにしているのですが…。でも、彼のバックには美千代さん、七重さん、がついています。「今は万事休すではないので、上を向かないほうが身のためです」彼女も強くなったと思ったその後のシーンには私もやられました。そして、今回はまこと先生の方にも展開が。少しずつみんなの過去も交錯し、この先も楽しみです。
読了日:8月24日 著者:大山淳子
月と蟹 (文春文庫)月と蟹 (文春文庫)感想
道尾さんの描く少年少女は本当に息苦しいほどリアルです。何もかもが上手くいかない、上手くやる方法もわからなければその感情を消化する方法もわからない、子供同士の小さな世界も簡単ではなく、友情も危うく脆い。そして大人が想像する以上に子供は残酷で容赦がありません。大人の世界も理解しています。そんな経験を自分もしていたことを思い出していました。決して爽やかな読後感ではありませんが、このテイストでこの長さを一気に読ませてしまう筆力はさすがだと思います。
読了日:8月23日 著者:道尾秀介
書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)感想
内容が盛りだくさんですね。亜子の妊娠をきっかけにした一連の事は特にこれからのワーキングマザーには参考になることも多いのではないかと思います。50年後に残したい本のフェアはとても素敵で自分でも考えてみたくなりました。さて、ここからは辛口ですのでご容赦下さい。実は私は恋愛モノは苦手です。なのでもともと理子の恋愛話になってしまうのは楽しいと思えなかったのですが、結果はどうであれ、またどんなに悪妻でも子供のいる家庭から奪い取ることを前提とした恋愛話は更に好きになれません。この路線でしたら続きはもう読みません。
読了日:8月19日 著者:碧野圭
キケン (新潮文庫)キケン (新潮文庫)感想
読んでいて楽しくて仕方がありませんでした。そしてとても羨ましかったです。学生時代って本当にこんな風。与えられることではなく、自分からいろんなことに積極的に取り組んだあの時期を思い出し、主人公と同様に同じ時期を過ごした仲間を思い浮かべました。暑苦しいほどの現在進行形ではなく、妻に思い出を語るという構成がいいんでしょうね。更にコミック風の表紙絵や扉絵が楽しさを倍増させてくれました。ラストがまた素敵。気持ちの良い読後感でした。
読了日:8月16日 著者:有川浩
連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)感想
聞いてはいましたが確かにグロイです。猟奇的連続殺人に刑法39条が絡むことで翻弄される警察。ドタバタしているようできちんと筋が通って伏線も貼られているから物語に一気に引きずり込まれ一緒に謎を追えました。古手川刑事、彼もすごいけど渡瀬警部がすごく魅力的でかっこいいです。予測のできた部分はありましたがそれでも最後の最後まで翻弄させられました。本当によく計算されています。満足して読み終わりましたが、興奮が冷めてみると重いテーマですね。考えれば考えるほどひとくくりにできないと思えることのひとつです。
読了日:8月14日 著者:中山七里
午後からはワニ日和 (文春文庫)午後からはワニ日和 (文春文庫)感想
動物園を舞台にした日常ミステリの連作短編だと思って読み始めました。誰が探偵役なのかさっぱりで読みにくさに難儀しながら一章を読み終わって愕然。長編だったのか。しかも日常の謎どころかしっかり事件だし。いえ勝手に思い込んだ私が悪いのです。でも登場人物たちのキャラが絶妙でいつの間にか引き込まれ、一気に最後まで読んでしまいました。正直ミステリとしてはもう一息と思える部分はありましたが、読み終わってみるとキャラが楽しいしまだ気になることも多く、動物に関していろいろ考えさせられることもあり続編が楽しみになりました。
読了日:8月14日 著者:似鳥鶏
島はぼくらと島はぼくらと感想
辻村作品によくある、心の奥底をつつかれるような嫌な部分がこの本にはありません。島という環境がどのようなものなのか私はこの本の状況でしか知らないのですが、大人たちがどれだけ考えて大切に彼らを育てているか、それを彼らがどれだけ理解して受け止めているかなどがきちんと伝わってきます。しっかりとしていても彼らは高校生。手助けする大人として彼女を登場させてくれたのが嬉しかったです。数年後となるエピローグもとても素敵で読後が優しく幸せな気持ちになれました。今後の作品に是非成長した彼らを登場させて欲しいと思います。
読了日:8月13日 著者:辻村深月,五十嵐大介
鬼談百景 (幽BOOKS)鬼談百景 (幽BOOKS)感想
残穢既読なのでそちらから想像すると、読者から集まった不思議体験を一冊にまとめたような形で作られているんじゃないかなと思います。残穢に繋がっているんだろうな、と思える話もいくつかありました。実は私はなんだかさらさらとほとんど怖さを感じずに最後まで読んでしまって、主婦の立場からある一編にドキっとしておぼえている程度で、今思い返しても他のが何一つ出てこない状況…。でもそれでよかったかも。もう一度読み返したら絶対記憶に残っていつまでも怖いと思うので再読はしません。
読了日:8月13日 著者:小野不由美
かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫)感想
つばさ文庫になったくらいなので、これは児童書の分類なんですね。かのこちゃんの成長譚になっているのはもちろんですが、気品あふれるマドレーヌ夫人が何とも素敵。途中でうっかり人間になってしまったマドレーヌ夫人がとる行動の一つ一つが本当に優しくて。かのこちゃん側とマドレーヌ夫人側で視点の変わるとき多少時間が前後するのですが後から事情がわかるとそれがまた絶妙です。うっかり最後に号泣するところでした。児童書としてだけでなく角川文庫でも出して頂いたことで出会えてよかったです。実は鹿男は未読なので絶対読んでみます。
読了日:8月12日 著者:万城目学
わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (碓氷優佳シリーズ)わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (碓氷優佳シリーズ)感想
あの碓氷優佳が高校生のときのお話です。実はこのシリーズ、この碓氷優佳自身がどうも好きになれないのです。ところが、今回はごく普通の学園の日常ミステリということで彼女は普通に女子高生をして周りに溶け込んで、綺麗に謎を解いています。彼女も高校時代はこんな風だったのね、と思いつつ読んで行きましたが最終話まで来てあることを示唆され愕然としました。分かっていてもちょっと衝撃でした。もちろんこの本から読んでも大丈夫なのですがシリーズを刊行順に読むと現在の彼女と比べてもっと楽しめると思います。
読了日:8月11日 著者:石持浅海
残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)感想
前作のラストがとても辛かったので、待ちに待ったはずなのですがなかなか手に取ることができませんでした。ところが読んでみると登場人物たちは悲しみを、辛さをきちんと受け止め決して無理やりではなく穏やかに前を向いて一歩ずつ進んでいるのがわかります。今回は気になっていたいろいろな人間関係が落ち着き、それに関して特に心に残る言葉が多かったです。少し寂しい気もしますが落ち着くべきところに収束して行っているのでしょう。まだ全てが上手く収まるには波乱がありそうですが、雲外蒼天のラストを楽しみに続きを待ちたいと思います。
読了日:8月11日 著者:高田郁
激流〈下〉 (徳間文庫)激流〈下〉 (徳間文庫)感想
下巻も一気に読んでしまいました。当時は何も考えなかったことに大人になってふと意味に気づくところなどリアルだなと思います。全ての事が、どこか一つでもずれていたのなら全ては違っていたのかもしれない。真相についてはキーとなる人物と対峙したとき、やるせなさとともに恐怖を覚えましたが、この20年間でそれぞれが経験してきたことと当時から持っていた性格、激流に押し流されたときの彼らの対処の仕方がそれぞれとても印象的で、真相を追うそのことよりもむしろそちらの方がお話のメインだったのではと読後改めて題名を見て思いました。
読了日:8月11日 著者:柴田よしき
激流〈上〉 (徳間文庫)激流〈上〉 (徳間文庫)感想
久しぶりに柴田よしきさんを読みました。修学旅行中に失踪した女生徒と同じ班だった6人の20年後。彼女の名前の入ったメールが届いたことで再び彼らの人生が交錯するわけですが、登場人物が多いのにそれぞれのキャラがしっかり立っているからか読みやすかったです。それぞれに関わってくる一見過去の事件と関わりのなさそうないろんな出来事がこの後どのように収束していくのか、上巻を読了した今この先がとても楽しみです。
読了日:8月7日 著者:柴田よしき
残穢残穢感想
ホラーは苦手ではないので何も考えずに夜に読み始めたら猛烈に後悔しました。原因がわかれば怖くないかと中盤はミステリのように追いかけ、それぞれの時代の住宅地図をつけてほしかった!と思うほど一気に読んで行きましたが、それぞれの時代で関わってしまった人々の奇行が必死になって行っていた対処の仕方だったのでは、とわかってみるとものすごく切なかったです。忌中の意味も今更再認識しました。ちょっとリングと似た部分はあるけれど明確に避けられない分絶対こっちの方が怖いです。夜、音やガラスにうつるものにびくびくしています。
読了日:8月5日 著者:小野不由美
ハグルマ (角川ホラー文庫)ハグルマ (角川ホラー文庫)感想
北野さんの作品は「きつねのつき」しか読んだことがなかったのでまず表紙に驚き、さらに裏表紙にあった「ドグラ・マグラ的狂気の宴」という謳い文句に惹かれ、図書館からお借りしてきました。生理的気持ち悪さは多少ありますが、わけのわからないもの、という感じで怖さはあまり感じることはなく、文字数などの言葉遊びはありますが、するすると平坦な感じでラストまで読んでしまいました。ドグラマグラはちょっと言い過ぎのような…。怖さより得体のしれない気持ち悪さを楽しめる方にはよさそうです。
読了日:8月2日 著者:北野勇作
藁の楯 (講談社文庫)藁の楯 (講談社文庫)感想
映画化に惹かれて読んでみました。設定が上手く、ドキドキしながら次から次へとページをめくり一気に読んでしまいました。後半は主人公と一緒に、どの命も同じ重さか?とかうっかり考えてしまったほどです。読みやすく、上手くスピードに乗せられて読んでいたためか、一気にラストまでいってしまい、ちょっと拍子抜けしてしまった感はありました。映画で見た方が楽しめるのかもしれないな、と思っていたら少々映像では設定が違うようですね。機会があったら見てみたいと思います。
読了日:7月31日 著者:木内一裕
ロスジェネの逆襲ロスジェネの逆襲感想
半沢が子会社の東京セントラル証券に出向したことで今度は戦う相手や方法も変わってきますが、半沢は出向しても半沢のままでほっとします。題名から世代の違いからどんな闘いが?と思っていましたが実際は戦う方向が違いました。企業買収、合併、ホワイトナイト。なんだか懐かしい言葉だと思ったら2004年の設定なんですね。正直、リアルでこれはない、できないと思います。「人事が怖くてサラリーマンが務まるか!」半沢とは違ってできないからこそこの本が爽快で彼を応援してしまうのかもしれません。次作も楽しみです。
読了日:7月31日 著者:池井戸潤
しあわせのパン (ポプラ文庫)しあわせのパン (ポプラ文庫)感想
映画の予告や皆さんの感想から、ふんわりと優しい幸せな気持ちになるお話だと思い込んで読み始めたので、思いがけずカフェマーニに集まってくる人々のお話が重いのに驚かされました。カフェマーニの、水縞夫婦の彼らへの関わりは柔らかくて、おいしいパンと珈琲が彼らを変えていくのが手に取るように伝わってきます。水縞夫婦の関わりが最後の章で明かされるのもとてもよかったです。巻末の絵本も素敵でした。読み終わってこのお話は映画から入った方が良かったかもしれないと感じました。機会があれば映像の方も見てみたいです。
読了日:7月29日 著者:三島有紀子
浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理 (講談社文庫)浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理 (講談社文庫)感想
3と1/2さつめとはシリーズ長編だからではなく番外編のような扱いだからなのですね。余白が少なすぎるというフレーズで有名なフェルマーの最終定理。これについては内容を詳しく触れてはいません。ですがそれに絡めたいろいろな数学者の人となりやエピソードがたくさんあり楽しめました。本格としてもしっかりできていたと思います。実は読んでいるうちにいつものメンバーよりパスカルに惚れ込んでしまい…なんともラストが甘酸っぱいものになりました。サイモンシンの「フェルマーの最終定理」は積読なのでなるべく早く読もうと思います。
読了日:7月28日 著者:青柳碧人
黒死館殺人事件 (河出文庫)黒死館殺人事件 (河出文庫)感想
黒死館という建物がとても魅力的なのですが全体見取り図がないのがとても残念。法水探偵の薀蓄が高尚過ぎて読むのに大変苦労し、途中でもしや事件とは全く関係のない薀蓄ばかりでは?と思って読み飛ばしたら実はしっかり本質を言い当てていて慌てて戻ったりと、思いっきり翻弄させられてしまいました。探偵はともかく、こんな暗号とかトリックとか仕掛けるほうに知識があるのがありえない!でも作者自身がすごく楽しんで書いたのは伝わってきます。そして私もこんなに苦労したのに、そのうちあらためて読み返してみたいと思ったりしているのです。
読了日:7月25日 著者:小栗虫太郎
下町ロケット下町ロケット感想
池井戸作品、みなさんの評価の高さ、ということでラストはスカッと気持ちよく、と想像できるからこそ読み続けられるのですが、前半の大企業ゆえの上から目線や特許の穴をつく駆け引きがどうも苛ついて仕方ありませんでした。日本の中小企業の技術は世界に誇れるものだと聞いたことがありますが、中小企業ゆえの苦悩がリアルでしんどかったです。佃品質とプライドには頭が下がります。素敵な出会いに助けられたりはしていますが、それでも現実ではなかなかできない必死に掴み取った綺麗なラストが本当に気持ちの良い読後感を運んでくれました。
読了日:7月24日 著者:池井戸潤
パラダイス・ロスト (角川文庫)パラダイス・ロスト (角川文庫)感想
シリーズ三作目。今回は結城中佐は積極的に前面には出てきませんが、それでもやはり重要な役割です。好みは「誤算」かな。「追跡」は一緒になって追跡をラストまで楽しみました。今作も決して悪くはないのですが、前作のインパクトが強すぎてちょっと物足りない感じもありました。ラストにそれぞれの出す結論が少し寂しく感じるものが多かったからかもしれません。時代が進み、立場も意義も変わっていくD機関が今後どうなるのか是非続きも読んでみたいです。
読了日:7月24日 著者:柳広司
銀の匙 Silver Spoon 8 (少年サンデーコミックス)銀の匙 Silver Spoon 8 (少年サンデーコミックス)感想
楽しい、可愛い、だけではなく、この漫画では否応なしに生きることと向き合わされます。これだけのものを背負っている高校生たちを目の当たりにすると、高校生だった自分を、これから進路を選ぶ娘を、立ち止まって考えずにはいられませんでした。この辺りは荒川さんの本気を感じます。スクーターで颯爽と立ち去る彼に親心で逆に心配しましたが、後の御影との電話での一言に彼の強さを見て本気でほっとしました。頑張れよ!!さて、家庭教師を引き受けた八軒。こちらも現実は簡単にはいきません。カニのような抜け道はどこにもないのだから。
読了日:7月21日 著者:荒川弘
キアズマキアズマ感想
今回も読み始めると一瞬で物語に引きずり込まれ、それぞれのシーンが目の前で起きているような臨場感で迫ってきました。4冊目、しかも舞台を変えてなおこのパワー、凄い作家さんですね。今回のメンバーもそれぞれ背負っているものがあります。おろすことはできないけれど軽くしたり分け合ったり本気で向き合って、彼らはこの先どんどん成長していくのでしょう。大学生という期間限定の、またまだ部のメンバーが少なくチームとしてよりも個人としてレースと向き合う事の多い彼らが、今後どう成長していくのか是非続きをお願いしたいです。
読了日:7月17日 著者:近藤史恵
おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)感想
前作以上にミステリ色は薄い?…と思うほど今回も音楽に、演奏描写にしっかり惹き込まれて読み進みました。予想はしていても体育館での演奏シーンの迫力はすごかったです。すぐに曲を思い出せなくても今はyoutubeですぐに聞くことができるので臨場感も高まります。音大が舞台になっているので学生たちの苦悩も手に取るように伝わってきて読み応えがありました。ミステリ部分は多少予想のついた部分はありましたが、想像以上に伏線がきっちり貼られていて驚きました。前作とリンクしている部分もありシリーズの続きも楽しみです。
読了日:7月16日 著者:中山七里
オレたち花のバブル組 (文春文庫)オレたち花のバブル組 (文春文庫)感想
某銀行の行員さんたちと仕事をしていたことがあるのですが、そこでもそれいつのこと?と言うような旧××が本当にあったり、出身大学の派閥があったりしました。本当に銀行と言うところは特殊です。「基本性善説。やられたら倍返し。」彼は強いです。そりゃまあびっくりするほど。実際に彼が銀行員だったらとっくにどこかに飛ばされているんじゃないかと思うくらいです。勧善懲悪の物語として爽快に読み進めました。ラストにちょっと現実を見ましたが、この後の彼も楽しみです。素敵な啖呵を切ってくれた彼の奥様も気になります。
読了日:7月13日 著者:池井戸潤
猫弁と透明人間 (講談社文庫)猫弁と透明人間 (講談社文庫)感想
前作読後皆さんの感想を見て賛否両論あるシリーズであることを知りました。私はとにかくすべての登場人物が愛しくて、今回も夢中になって読みました。映像で見るように彼らは頭の中でくるくると表情を変えて動き、前作と同様に小さな一つ一つの依頼が、出来事が、最後に綺麗に繋がってまとまりました。亜子に対してどう接したらいいか悩む彼を見たりしているとうっかり忘れてしまいますが、百瀬弁護士は確かに天才で正義の味方です。「ハートフルミステリ」堪能しました。次作は再び靴が登場かな?寿さんのこの後も気になります。
読了日:7月12日 著者:大山淳子
県庁おもてなし課 (角川文庫)県庁おもてなし課 (角川文庫)感想
主人公と課そのものが成長していく様子が目に見えてわかるのでとても入り込みやすく、読みやすくとても楽しみました。彼らを成長させてくれる清遠さんも吉門さんもすごくできる男でやたらかっこいいです。吉門さんの完璧でなく人間臭いところも好きです。お役所仕事、という言葉がありますが嫌でもお役所仕事にならざるを得ない公の機関の仕組みなど読んでいてはっと気づかされる部分もありました。インドアの私でも高知に行きたくなる名産品やレジャースポットの紹介はさすがです。甘い部分も良かったです。ラストまで本当に気持ちよく読めました。
読了日:7月11日 著者:有川浩
マンガ食堂マンガ食堂感想
よしながふみさんのきのう何食べた?が再現されているということで、ブログの方にお邪魔したことがあります。レシピがすでに本家の方に載っているからなのかそちらは収録されていませんでしたが、こんなにも漫画の世界にそそられるご飯があるのだと改めて感じました。イラストが実写になる時のインパクトもすごいですが、ご本人の食した感想もすごくリアルで楽しいです。実際に漫画で読んで気になっていたオノナツメさんの「not simple」のツナモルネーはぜひ作ってみたいです。逆に漫画の方を読んでみたくなったものもありました。
読了日:7月10日 著者:梅本ゆうこ
テルマエ・ロマエVI (ビームコミックス)テルマエ・ロマエVI (ビームコミックス)感想
帯の煽りがすごくて、どんな展開が!と思いながら読み始めた最終巻でしたが、意外と駆け足でしかも無難にまとめてしまったかなという印象です。もうちょっと違った展開を期待していたので正直勿体ないなあと思いました。お風呂より鉄三さんにすべて持っていかれてしまった感じです。思い返すと私はやはり前半の方が好きでした。
読了日:7月10日 著者:ヤマザキマリ
真夏の方程式 (文春文庫)真夏の方程式 (文春文庫)感想
子供が嫌いと言っていた博士はどこへやら、彼が恭平を子ども扱いせずに接するところはとても印象的です。実験のシーンは本当に微笑ましかったです。過去が明らかになるにつれ読み進めれば読み進めるほど想像する結末はつらいものになりましたが、最終的な湯川の選択が思いがけないながらもベストとしか思えないこと、そして最後に彼に贈った一言がこれ以上ないほどのものであったことが救いでした。読み終わってみると表紙は文庫版より単行本版の方が似合っている気がします。
読了日:7月9日 著者:東野圭吾
小鳥を愛した容疑者 (講談社文庫)小鳥を愛した容疑者 (講談社文庫)感想
「近藤史恵リクエスト! ペットのアンソロジー」を読んで気になった、「警視庁総務部総務課」シリーズの本編です。当然ですがこちらの方が二人の関係や人となりがよくわかり、魅力も増してきます。特に薄巡査はいいですね。残されてしまったペットのお世話からという事件へのかわったアプローチの仕方が新鮮で、またちょっと日本語の不自由な薄巡査とのやり取りに時に脱力させられながら楽しく読むことができました。作者が書き始めるころにはその動物が飼えるくらいに、と自らに課した取材の成果は確かなもので動物の薀蓄もすばらしかったです。
読了日:7月8日 著者:大倉崇裕
浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 (講談社文庫)浜村渚の計算ノート 3さつめ 水色コンパスと恋する幾何学 (講談社文庫)感想
「…初めから違うと予想していることをあえて仮定し、わざわざ矛盾を導いて証明終了だなんて~これが真理を愛する数学好きのやることだろうか?」うーん。背理法ってすごく面白いと思うのですが、ダメですかね?三角関数の説明は正直、ある程度わかっている人にしかわからないような気がしますし。空間認識能力が必要?まあそのあたりはあまり突っ込んではいけないのかもしれません。パラドックスやプラトン立体などはとても楽しく読めました。また五角形が美しい形だということも再認識しました。√が可愛いっていうのは賛成です。
読了日:7月5日 著者:青柳碧人
珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)珈琲店タレーランの事件簿 2 彼女はカフェオレの夢を見る (宝島社文庫)感想
前作同様ミステリとして読むとちょっと物足りない気がしました。そして某トリックのせいもあるのですが主人公もキャラもなんとなく薄いのです。今回は京都であることや純喫茶ならではの部分が少なかった気がしてそれも残念でした。目の付け所、というかラストに向けて収束させていく構成は悪くないと思うのですが…。この作家さんのこのシリーズではないお話を読んでみたいです。さて、今作一番びっくりしたのは夢の中のカフェオレです。これはとても苦いですね。
読了日:7月2日 著者:岡崎琢磨
田村はまだか (光文社文庫)田村はまだか (光文社文庫)感想
思い出の中の小学生の田村はいい男だったし、彼の過去を思い出すことでなんとなく自分を振り返っているアラフォーたちがちょっとほろ苦くて愛おしく、自分もいつの間にか田村の登場をまだかまだかと待ってしまいました。章ごとに5人の同級生の名前を明らかにしながらキャラに少しずつ色を付けていくなど、惹きつけ方も上手いと思います。なんとなく読み返したくなる、そんな大人の話でした。文庫特別収録の「おまえ、井上鏡子だろう」がまた痛い。でもなぜかこれも好きです。
読了日:6月26日 著者:朝倉かすみ
ドグラ・マグラドグラ・マグラ感想
角川文庫版既読。この本はちょっと戻って確認したい、と言うことがよくあるのですが電子書籍ではそれが操作に慣れていなくて大変でした。角川文庫版を読んだときはそれなりに読み下せてしまった気がしていたのですが、再読してみると、初めて読むような部分が何か所もあって…前回は目が滑っていたことを感じさせられます。やっぱり胎児の夢も脳髄論も面白く、再読ならではの発見もあって楽しかったです。同じ文章でも前回とは私のとらえ方が変わった部分もありました。
読了日:6月24日 著者:夢野久作
臨床犯罪学者・火村英生の推理 I    46番目の密室 (角川ビーンズ文庫)臨床犯罪学者・火村英生の推理 I 46番目の密室 (角川ビーンズ文庫)感想
講談社文庫版はもちろん持っています。十年来のファンとしては新しい読者層にはどうなんだろう?と思いつつの読み初めでしたが、しっかりビーンズ文庫らしく読めるのにちょっと驚きました。何度目かわからないほどの再読になりますが、作家アリスが学生アリスを書いていることを明言している所を今更発見したり、火村のフィールドに立ち会うのが初めてでちょっと高揚したアリスが微笑ましかったりと最近とはちょっと違う二人をしっかり楽しむことができました。麻々原さんのイラストは本当に格好よく、サブキャラのイラストにまで惚れ惚れします。
読了日:6月21日 著者:有栖川有栖
光圀伝光圀伝感想
最初は厚さと重さに圧倒されそうになりましたが本当に読んでよかったです!大日本史を編纂した漢と言うべき水戸光圀がここにいました。登場人物たちの力強さ、潔さ、そして苦悩が手に取るように伝わってきて夢中になって読みました。光圀公ばかりでなく、彼の周りの人々の生き様は本当に格好良く、何度も泣きそうになりました。途中に挟み込まれる「明窓浄机」にはミステリのように引っ張られ、リーダビリティの高さにも驚きました。「天地明察」とのちょっとしたリンクも楽しかったです。
読了日:6月20日 著者:冲方丁
大崎梢リクエスト!  本屋さんのアンソロジー大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー感想
新刊書店限定の本屋さんのアンソロジー。もちろんどれもよかったのですが、日常の謎に取り組む書店員さんものは、好き作家さんは期待が大きいのかどこかに似たようなのがありそう、この作家さんでなくても、と思ってしまったのがいくつかあって少し残念でした。そんな中、飛鳥井さんの「空の上、空の下」はすごく好みでした。坂木さんの「国会図書館のボルト」は楽しくて痛快、吉野さんの「ロバのサイン会」も素敵でした。誉田さんのはシリーズを読んでいるとちょっと嬉しいですね。
読了日:6月17日 著者:大崎梢
ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件ドS刑事 朱に交われば赤くなる殺人事件感想
新キャラドMの童顔東大卒刑事、浜田さんのインパクトがすごく、主人公であるはずの代官山の影が薄いです。今回は彼視点が少ないこともあるかもしれません。今回は焼死体ではないけれどスプラッター。もちろんこういうのが好きでない人にはお勧めできませんが、キャラが強いのとテンポがいいためか気持ち悪さは少なくサクサクと読み進めてしまいました。今回も強引だと思える部分はありますが副題には納得。ただ、印象に残ったのは最初もクライマックスもラストも浜田さんだったりします…。
読了日:6月16日 著者:七尾与史
近藤史恵リクエスト!  ペットのアンソロジー近藤史恵リクエスト! ペットのアンソロジー感想
執筆者が豪華です。今回は読んだことのある作家さんが多くて期待も高まりました。和菓子の~を読んだ時も思ったのですが、それぞれの作家さんらしいカラーと感じられるものが多くて安心して読めました。ハズレはなかったですね。また初読み作家さんでは「ネコの時間」「パッチワークジャングル」が印象的でした。好みは「最も賢い鳥」「里親面接」「シャルロットの憂鬱」。「最も賢い鳥」(大倉崇裕 )の警視庁総務部総務課はシリーズとのことなので是非本編も読んでみたいです。
読了日:6月14日 著者:近藤史恵
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)感想
子供の頃は乱歩は絵がおどろおどろしくて手に取りにくく、数冊しか読んだ記憶がありません。大人になってから全集の一部を読んだけどその程度の知識ではもちろん謎ときには全く歯が立たず、この本は薀蓄を楽しむべき本だと改めて感じました。毎回の事ですが乱歩はもちろん紹介されている本を読みたくなりますね。今回は、ストーリーには震災の影響のほんの小さな描写のたびに当時の自分を思い出してしまい全く入り込めなかったのが残念でした。普通に震災をトリックに使えるっていうのが私にはまだ受け入れられなかったのかもしれません。
読了日:6月12日 著者:三上延
さよならドビュッシー (宝島社文庫)さよならドビュッシー (宝島社文庫)感想
最初の展開でこれはもしや?と想像してしまい、そうなると伏線も拾ってしまうもので、残念、と思っていたのですが、全く残念などということはありませんでした。それほどクラシックやピアノに詳しくない私でも、ぐいぐいと引っ張られて読み進めました。途中であ、ミステリだった、と気づかされるほどの読み応えだったと思います。ところどころにズシンと重い言葉が入っていたのが印象的です。正直犯人当てとしてはどうかなと思う部分もあり、すごく苦い気持ちにもなりましたが不思議と読後感は悪くありません。題名が秀逸ですね。
読了日:6月10日 著者:中山七里
旅猫リポート旅猫リポート感想
旅に出た時点で結末が予想できてしまったのです。でもページをめくらずにはいられませんでした。実は全く合わなかった本もあるので期待していなかったのですが、これには参りました。ナナの強さ。悟の優しさ。いろいろな意味で受け入れるということ。彼はなんて素敵な相棒に出会えたんでしょう。薄の原っぱで悟を気遣うナナにとうとう涙腺は壊れ、その後もこれでもかと言うほど泣かされてしまいました。これだけの話を読後感のいい優しい気持ちになれるように持って行ってしまった有川さんはさすがです。
読了日:6月8日 著者:有川浩
ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件感想
副題から死亡フラグみたいな雰囲気を想像していたのですが全く違って驚きました。視点が変わり、時系列が前後し、と読みにくいはずなのに先が気になりどっぷりはまって次から次へとページをめくりました。最後にするすると伏線をつないで真相に迫っていくところは見事で副題にも納得。よく計算されています。どうもドS刑事自身が好きになれなかったのですが、ラストに見せる違った一面が微笑ましく、2も読んでみたくなりました。舞台がよく知っている土地だったのも楽しめました。
読了日:6月7日 著者:七尾与史
犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)感想
犯罪ホロスコープ12星座の後半です。警視と綸太郎の会話は相変わらずで、安心して読めます。しっかり本格ものの前半はもちろん好きですが、少しカラーのかわる後半もよかったです。むしろ印象に残ったのは後半かもしれません。連載と言う形式をとっていたためか、その時々の社会の出来事に則して話が進んでいるところもあり、綸太郎が携帯電話を持っているところなどびっくりしました。最後は意識してリンクを貼ったそうで、こういう心配りは読みやすく嬉しいです。法月さんの短編は本当に上手く、いつも、こういうのが読みたかった、と思います。
読了日:6月5日 著者:法月綸太郎
陰の季節 (文春文庫)陰の季節 (文春文庫)感想
64を読んだ後でそれがD県警シリーズの一冊であることを知り、興味を持って手に取ったシリーズ一作目です。異色と言われるだけあって、殺人事件の犯人を追うようなものではなく、警察内部の謎をいわゆる内勤の人たちが追っていきます。短編ごとに主人公が違いますが人物がリンクしている所は読みやすくて嬉しいです。各々の登場人物について家族や過去などの背景がしっかりしているためなのか実にキャラがリアルで、内部の様子などが時に必要以上に生々しく薄ら寒くさえ感じられ、筆力に圧倒されました。シリーズの続きを読むのが楽しみです。
読了日:6月2日 著者:横山秀夫
舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (カッパ・ノベルス)舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 (カッパ・ノベルス)感想
今度は叔父の歳三ではなく、別の中学に進学した友人視点での話になっています。視点が変わったことで、扱う事件も変わるし三年分成長したことで前作と違ってひとみ自身がしっかり探偵しています。前作より無理がなく読みやすいのですが、決して軽いわけでもなく、親子関係とかちょっとビターだったりダークだったりする部分もあるところがこの作家さんらしいかなと思います。短編集の形になっていますが少しずつ繋がっているのも好みです。17歳になったひとみに会うのも楽しみです。
読了日:5月31日 著者:歌野晶午
デッドマンデッドマン感想
新人さんだと思って油断していたらびっくり!ぐぐっとつかまれページをめくるのが楽しくて仕方ありませんでした。ちょうど「占星術殺人事件」を読んでそれほど時間がたっていなかったのでそれをリスペクトして書かれているのはすぐわかりました。題名の意味するところ。そうしなければならなかった理由。巧妙に隠されているもの。ある程度想像できてしまう部分やちょっとご都合主義と思えた所はありましたがそれでもよく考えて作りこんであると思います。キャラも生きていて、しっかり楽しめました。これからが楽しみですね。
読了日:5月28日 著者:河合莞爾
浜村渚の計算ノ-ト 2さつめ ふしぎの国の期末テスト (講談社文庫)浜村渚の計算ノ-ト 2さつめ ふしぎの国の期末テスト (講談社文庫)感想
今回取り上げられていたことは、数学が好きでない人にはとっつきにくいところが多いと思うのです。それを中学生の言葉をでするするっと説明してしまうところは上手いな~と思います。また、数学はファンタジーというのには納得します。私はルービックキューブ王子の章が好きです。渚が揃えた揃え方にもびっくりしましたが、あの建物はすごい。ヘンたてメンバーを呼ばなくちゃ。
読了日:5月27日 著者:青柳碧人
おじさん図鑑おじさん図鑑感想
作者の「おじさん」に対する愛情がいっぱい詰まってました。笑える本なのかと想像していましたが意外と冷静に観察されていました。取材としても、写真を撮らせていただいたり声をかけたりはしにくい方がほとんどだと思いますので、これだけのおじさんを観察するということだけでもすごいと思います。私自身は、「おじさま」と呼びたいようなダンディで渋い方をもっと見たかったかも。そして私も「おばさん図鑑」を連想し…私も分類されちゃうんでしょうか?この図鑑のように「おばさん」の方も愛情を持って分類していただければいいのですが^^;
読了日:5月26日 著者:なかむらるみ
書店ガール (PHP文芸文庫)書店ガール (PHP文芸文庫)感想
読み友さんたちの感想で、前半がなかなかきついというのは知っていて覚悟していたのですが、それでも女同士のごたごたや、男性の持つ一方的な考え方とか読んでいてイラついて仕方ありませんでした。自分が少しでも現状同じような立場にいたら絶対投げてると思います。でも我慢の後は期待通りのスカッとした気持ちの良いお仕事小説。彼女たちの成長が嬉しかったです。意外と印象に残った個人書店でのやり取りが文庫化でつけ加えられたものと知ってちょっとびっくりしました。2の副題が最強のふたりというのを見て2への期待も高まります。
読了日:5月26日 著者:碧野圭
深泥丘奇談・続 (文庫ダ・ヴィンチ)深泥丘奇談・続 (文庫ダ・ヴィンチ)感想
なんとなく地に足がつかないような心もとなさはこちら「続」でも健在です。この薄気味悪い、けれど足を踏み入れずには(先を読まずには)いられない感じが惹きこまれます。全ての話が違った色を持ってそれぞれが成功してるのがすごいと思います。中でも最後の「私」の行動に思わず声を出しそうになった「心の闇」が強烈でした。雰囲気が好きなのは他にありますが、意外と「ソウ」や「切断」もインパクトが強く、心に残りそうです。
読了日:5月24日 著者:綾辻行人
ヘンたて 2: サンタクロースは煙突を使わない (ハヤカワ文庫JA)ヘンたて 2: サンタクロースは煙突を使わない (ハヤカワ文庫JA)感想
寿司ネタ名前は健在、4年生三人の烏賊尽くしにはすでに登場人物紹介の時点で笑ってしまいました。ヘンたてとしてはシリーズ最初の方のトマソンを扱っている方が楽しかったかな。今回のパターゴルフと卵は正直…。でも、ふわんと優しいサークル内の人間関係が読んでいて幸せで、ラストのサンタクロースの犯罪はその点でもとても好みでした。最後の話でようやく全員が揃っていますが、このシリーズ、なかなか全員が揃わないのがちょっと物足りないことのひとつでもあります。
読了日:5月22日 著者:青柳碧人
桐島、部活やめるってよ桐島、部活やめるってよ感想
軽く読める本だと思って読み始めたのですが、高校生のリアルな描写に思いがけずどっぷりはまり込んで読んでしまいました。私自身が中高生だったずいぶん昔でもスクールカースト的なものはあって、思い出させられたのは甘酸っぱさとともにズキンと音をたてるちょっとした痛み。菊池の本心が明かされるラストはぐさぐさと刺さってくるものすらありました。映画部の二人は眩しかったですし。何を書いてるのかわからない、と言える人をちょっとうらやましく感じます。酷評もあるようですが、私はこんな描写ができるこの作家さんの若い感性は好きです。
読了日:5月21日 著者:朝井リョウ
新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)新装版 虚無への供物(下) (講談社文庫)感想
アンチミステリと聞いての読書でしたが、しっかりミステリとして楽しんで読んでいた気がします。やはり奇書と言われるだけあり、賛否両論で当然だと感じましたが、読後はなるほど題名通りの「虚無への供物」であり、あの地震を経験した後だとさらに身に沁みるものがありました。それでも全体を通してなんだか美しいとさえ感じてしまいます。まだ一度読んだだけではこの本を十分理解したとはとても思えず、あの本もその本も読んでからもう一度読みたい、と何度も読中から思っていました。是非また落ち着いて再読してみたいと思います。
読了日:5月20日 著者:中井英夫
新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)新装版 虚無への供物(上) (講談社文庫)感想
遅ればせながら「三大奇書を読もう!」イベントに参加し、ようやく積読から昇格しました。奇書というからどんなに読みにくいかと思って身構えて読んだせいなのか、地理的に知っているところが多くとっつきやすかったせいなのか、想像とは裏腹に意外とすんなり上巻を読み終えました。というか、今のところの感想は、なんで奇書?です。その理由がわかるであろう後半はどうなっていくのか期待して下巻へ。
読了日:5月17日 著者:中井英夫
占星術殺人事件 (講談社文庫)占星術殺人事件 (講談社文庫)感想
最初の御手洗氏が電話帳と表現した部分のなんと読みにくいこと!思わず投げ出しそうになりました。でもそこをがんばって通過した後は、一気読み。初読みのはずですが、挑戦状の出てくるすぐ前あたりでトリックはわかったのでどこかで目にしてしまっていたのかもしれません。でも本当によくできていると思いましたし、また御手洗、石岡のキャラがとてもよかったので、読んでいてとても楽しかったです。これからゆっくりとシリーズを楽しんで行こうと思います。
読了日:5月15日 著者:島田荘司
珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
このミス隠し球だそうです。ビブリアと比べる方が多いと聞いていましたが私はそれはほとんど感じませんでした。コーヒー好きなのもあって、コーヒーに関する薀蓄は楽しかったですし、純喫茶の雰囲気も楽しめました。残念ながら、私はどのキャラにも思い入れができなかったので、最初から最後まで冷めた目で読んでしまいました。かなり加筆修正をしているとのことですが、ミステリとしては、これからの成長を期待したいと思います。京都の方はご当地ものとして楽しめるのかもしれません。
読了日:5月12日 著者:岡崎琢磨
舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (カッパ・ノベルス)舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (カッパ・ノベルス)感想
11歳の女の子の安楽椅子探偵物?と思いましたが、実際は彼女の叔父が警察官で彼女との会話をヒントに閃いて…という展開の短編連作。ストーリーが微妙に繋がっていること、全編を通して気になるあることにも引っ張られ、後半に行くにしたがって読むスピードが上がりました。「ゆるミス」と称されていますがちゃんと本格で、ひとみを通じて伏線が繋がっていく様は読んでいてとても楽しかったです。彼女自身がとても強いので成長後が読める続刊も楽しみです。
読了日:5月10日 著者:歌野晶午
そして誰もいなくなる (中公文庫)そして誰もいなくなる (中公文庫)感想
訃報を聞き、いろいろな意味で大変ショックで、手にするまでに時間がかかりました。クリスティのオマージュ。でもクローズドサークルではなく、場所もそれぞれ。なんとなく地に足がつかない、視点の移動もなんとなく落ち着かない…という感じで読み進めていったのですが、なるほど納得、後半の次から次への展開がたまりません。それぞれにきちんと伏線が張ってあるのがわかるのも嬉しいです。しっかりと計算されているのだと思います。印象としてはラストの後味まで含め、ミステリよりサスペンスよりかもしれません。本家を読み返したくなりました。
読了日:5月10日 著者:今邑彩
銀の匙 Silver Spoon(7) (少年サンデーコミックス)銀の匙 Silver Spoon(7) (少年サンデーコミックス)感想
ある程度わかっていましたが、両親との関係は切ないですね。彼が退院して戻った時、こんなにも素晴らしい居場所があることが本当に良かったとほっとしました。あのノートは一緒に泣きそうになりましたし。そして今度は駒場。ああ、またこんなところで切ってるし!
読了日:5月10日 著者:荒川弘
高杉さん家のおべんとう6 (フラッパーコミックス)高杉さん家のおべんとう6 (フラッパーコミックス)感想
それぞれ進学して、きちんとみんな前を向いて成長しているのを感じます。丸山家との関わり方がこんなに密になるとは想像していなかったのでちょっとびっくり。ハルの方にも動きが…。彼女の選択はどれもがすごくわかる、わかりすぎるだけになんとも…。普段すぐに使えそうなお料理漫画であることは一巻からずっと変わらないのですが、私の目の方がお弁当よりついつい恋愛模様をメインに追ってしまいます。レシピ本は読んでみたいので探してみます。
読了日:5月10日 著者:柳原望
天地明察(4) (アフタヌーンKC)天地明察(4) (アフタヌーンKC)感想
天測が終了するまでのお話になります。原作で読んでいるから分かっているのですが、イラストでのインパクトはすごいですね。うっかり主人公と一緒に号泣するところでした。コミカライズの上手さを本当に感じます。続きも楽しみです。
読了日:5月10日 著者:槇えびし
404 Not Found (講談社ノベルス)404 Not Found (講談社ノベルス)感想
出版社HPによると「新鋭が仕掛ける超絶技巧!斬新奇抜タイムリープミステリ!」だそうです。エラーコードであるこの題名に惹かれて手に取りましたが、章題も上手くつけてあると思いました。私はこの作りはなかなか好きで、ラストがどうなるかかなり期待して読み進めていました。そのためテーマ的に後味が悪いのは当然として、ラストはもっとインパクトのあるなにかを想像してしまい、あっさり感じてしまったのが残念です。デビューがホラーとのことなので通常とはまた違った切り口でのミステリを今後も書いてくれるのではないかと期待しています。
読了日:5月6日 著者:法条遥
午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)感想
軽いミステリだと思って読み始めたので、等身大と思われる高校生たちの人間関係や気持ちの揺れなどなかなか読まされてしまうもので、短編それぞれが必ずしも優しい終わり方ではないことにびっくりしました。ご自身がマジックをされることで見られ方や観客の視点、すなわち読者への見せ方をよくわかっていらっしゃると思いました。ラストで全体に散らばった伏線を綺麗に回収していくのは見事でした。この甘酸っぱく、でもほろ苦い、場合によっては背中がかゆくなるようなこの感覚は(もう年齢的には離れてしまいましたが)悪くなかったです。
読了日:5月4日 著者:相沢沙呼
真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生 (ポプラ文庫 日本文学)真夜中のパン屋さん 午前2時の転校生 (ポプラ文庫 日本文学)感想
今回は間違いなくフルーツサンドが食べたくなりますね。作者の中では完全に結末までのストーリーができているんでしょうか。これってミステリだったっけ?とある手法にガッツリ嵌ったりしてちょっとびっくりしたりもしましたが、今作も楽しみました。実はどうしても好きになれない人がいたりして読み進めるのが不安な部分もありましたが、想像とは違って後味も悪くなかったです。3冊目にして希実の過去に具体的にメスが入ってきているようです。人間と言うのはそう簡単には変われないとは思うのですが、優しい結末を信じて続きを待ちます。
読了日:5月3日 著者:大沼紀子
謎解きはディナーのあとで 3謎解きはディナーのあとで 3感想
忙しい時期の読書でしたが、一話ずつ読むのにちょうどよかったです。前二冊の雰囲気をそのまま持っていてくれるので安心して読めるのが嬉しいですね。さらさらっと楽しく読むことができました。前作のラストでいろんな意味でびっくりしましたが、この本のラストも別の意味で思いがけなかったです。このシリーズはこれで完結なんでしょうか?風祭警部のこの後とか読んでみたい気がします。
読了日:5月1日 著者:東川篤哉
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)感想
実は一度挫折しています。ものすごく読みにくくてすごく癖のある本を書かれる方だなと思っていました。今回この読メの登録数を見てもう一度挑戦してみようかなと思ったわけですが、今回はなぜか一章が終わるころにはこの独特の文体と世界に一気にのめりこみ、次々とページをめくって一気に読んでしまいました。独特のキャラが、世界がとても楽しかったです。コミックで読むのも楽しそう♪と思ったらちゃんとコミック化されてるんですね。しかもエピソードが増えて。機会があったら是非そちらも読んでみたいです。もちろん他の作品も読みます。
読了日:4月29日 著者:森見登美彦
生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)感想
ちょうど鳥インフルが海を越えて台湾に…というタイミングでこの本を手に取りましたのでパンデミックというものを改めて考えることになりました。「このミス」大賞受賞ということでしたが、ミステリと言うより後半はむしろパニックホラー。現実にないとは言い切れない展開に、刻々と迫りくる期限に、どんな結末を持ってくるのかとドキドキしながら短時間で一気に読んでしまいました。余分な設定や伏線回収不足と感じられわかりにくい部分はありますが、処女作と言うことを思うとよくできていると思います。ただ映像ではちょっと見たくないですね。
読了日:4月27日 著者:安生正
真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん 午前1時の恋泥棒 (ポプラ文庫)感想
サクサクと音を立てる焼きたてのクロワッサンが無性に食べたいです。今回もメインとなる弘基の元カノの話はかなり重いです。実は今回は読んでいて共感できずにイラッとしたりわざとらしいと思ってしまった部分がありました。でもストーリーが進むにつれ、誰もが少しずつ変わって前に進んでいっているのがわかるのが嬉しいです。誰にでも差し出せる傘を持つことは難しいけれど、必要な時にはきちんと傘を差しだせる人間でいたいと思います。それにしても、前作に続き変態班目氏がなんとも愛しい。彼がちゃんと幸せになるところを見届けなくては。
読了日:4月24日 著者:大沼紀子
ななつのこものがたりななつのこものがたり感想
まずは「ななつのこ」を読んだ後すぐにこちらを読みました。ななつのこに出てきた絵本そのままなのかと思ったら、おかあさんが、絵本の主人公の名前とおなじ名前の息子に読み聞かせをしています。パズルのピースがはまったような足りないような感覚…。「魔法飛行」「スペース」と読んで行くうちにピースがするすると出てきました。三作読み終わった後の再読では一度目にはわからなかったいろいろなことが見えてきて、本当に幸せな気持ちになりました。絵本ならではの優しいイラストがとても素敵でした。
読了日:4月22日 著者:加納朋子
スペース (創元推理文庫)スペース (創元推理文庫)感想
シリーズ三作目は、駒子は手紙を一束まとめて渡します。その手紙を元にした表題作と、それに繋がる二編目「バックスペース」。後半は裏話的な話なのかなと思いつつもこの運命的なお話にしっかりのめり込みとにかく幸せな気持ちになりました。こういうお話は本当に好きです。そして最後、今回も思いがけなくラストに綺麗に話が繋がります。ああ、やっぱり上手い。しばらく余韻に浸ってしまいました。
読了日:4月22日 著者:加納朋子
魔法飛行 (創元推理文庫)魔法飛行 (創元推理文庫)感想
いつだって、どこだって謎はずっと近くにある。駒子シリーズの第二弾。駒子が手紙を書き、受け取り手が安楽椅子探偵となるのは前作同様。前作と違って作中作があるわけではないのですが、今度はそれぞれの話の後に謎の手紙が現れます。このあたりの構成は上手いと素直に感心します。やはり「魔法飛行」がいいですね。最後の章では思いがけずに繋がっていく部分があり、一気に読み進んでいくしかありませんでした。本当に日常のひとこまひとこまがすべて伏線です。こんなに優しい雰囲気なのにしっかり本格。有栖川さんの解説も楽しかったです。
読了日:4月22日 著者:加納朋子
ななつのこ (創元推理文庫)ななつのこ (創元推理文庫)感想
優しくて温かくて読み返したくなる本です。七つの連作短編が作中作をうまく使って日常の謎に挑んでいます。しかも謎を解くのは文通相手の絵本の作者さん。このつくりがとにかく上手い!と思わされます。一つ一つの話の中に、ドキッとしたりズキンと心にささるような一文が入っているのが印象的でした。最終的にすべてが繋がっていくところにも感動しました。続きが楽しみですが、まずは「ななつのこものがたり」を読もうと思います。
読了日:4月19日 著者:加納朋子
怪談えほん (1) 悪い本怪談えほん (1) 悪い本感想
小さなお子様だと、さらっと読んでしまって怖いというイメージはないかもしれませんね。ある程度の経験を重ねてこの怖さがわかるのではないかと思うので、時を置いて何度か読み返しているうちに突然この話の怖さが分かったりするかもしれません。人の心の内側に焦点をあてるというストーリー運びは特に宮部さんらしいと思いました。最後の一文のインパクトはさすがです。また吉田尚令さんの挿絵のつけ方にも感動しました。絵本という媒体だからこそできたこの本を素直にすごいと思います。
読了日:4月17日 著者:宮部みゆき
失踪トロピカル (徳間文庫)失踪トロピカル (徳間文庫)感想
死亡フラグのようなコミカルなテンポの良いミステリを思って読むとびっくりします。グロイと聞いていたので覚悟して読んだためかそれほど衝撃は受けませんでしたがそういうのが苦手な方はちょっとつらいかと思います。確かに「ノンストップスリラー」でした。次々と場面が変わっていくテンポの良さは健在ですがだからと言ってぐいぐい引っ張っていかれるような魅力は感じられず途中からは惰性でページをめくっていました。こういうのが好きな人もいるだろうしありだとは思いますが、七尾さんを初めて読むなら私はこれではなく他の作品を勧めます。
読了日:4月17日 著者:七尾与史
真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん (ポプラ文庫)感想
読メで話題の本でしたが、どうもラノベのイメージがあり買って長く積読になっていました。読み始めて思いがけず内容が重かったので驚きました。しかしながらその重たさを個性の強いキャラたちが軽くしてくれているのか、内容のわりにとても読みやすかったです。すごく感動するというところまではいきませんでしたが上手くストーリーとしてまとまっていると感じます。読みやすさとキャラで人気なのもわかる気がしました。なにより焼きたてのパンが食べたくなりますね。読みやすかったですし希美のその後も気になるので、続編も読もうと思っています。
読了日:4月15日 著者:大沼紀子
麦酒の家の冒険 (講談社文庫)麦酒の家の冒険 (講談社文庫)感想
再読。現場には立ち会ったりするけれど基本安楽椅子探偵ものですね。学生時代に飲むことを目的に集まっていたことも思い出しやたらビールが飲みたくなります。今の学生はきっとこんなにビールばかり飲むことはないだろうとちょっと時代を感じたりもしました。相変わらずの論理の積み重ねから導き出される妄想は素晴らしく、楽しかったです。あとがきを読んで西澤さんがバイブルとしている「退職刑事」シリーズも「9マイル~」も読もうと思っていてまだ読んでいなかったことを思い出しました。近いうちに読んでみたいです。
読了日:4月15日 著者:西澤保彦
彼女が死んだ夜 (角川文庫)彼女が死んだ夜 (角川文庫)感想
十数年ぶりの再読。突然、タックとタカチに会いたくなり掘り出しました。このシリーズは最初に上梓されたものが時系列をまたがった短編な上、版元がまたがっていて最初の時は時系列で読めていなかったので今回は時系列で読んでみようとこちらから。お酒を飲みながら妄想を重ねて実は現実に沿って謎が解けるこのシリーズはやはり好きですね。さてこの本に関しては、いろんな事情があるけどそれでもあんな人間とは知り合いになりたくないとつくづく…後味がとても苦いです。まあそれも含めての西澤さんの作品なのですけど。
読了日:4月14日 著者:西澤保彦
([な]8-2)山手線探偵 2 (ポプラ文庫 日本文学)([な]8-2)山手線探偵 2 (ポプラ文庫 日本文学)感想
本宮さん!山手線で何してるの?とつい突っ込みたくなるようなちょこっと他の作品が顔を出すところが嬉しくなります。一作目では薄かった探偵とミキミキさんのキャラが今回ははっきりと伝わってきて、読中某シーンで思わず表紙絵を見返してしまったりと、軽いながらも楽しく読むことができました。謎としてはある程度想像ができるものではありますが、山手線周辺だけでバラバラに散っている情報や人物が無理なく綺麗に探偵の元に集まってくる所に作者の手腕を感じました。前作からの謎は今回もお預けでしたので続きを楽しみに待ちたいと思います。
読了日:4月12日 著者:七尾与史
64(ロクヨン)64(ロクヨン)感想
640ページもありながら一気に読まされてしまう筆力はさすがだと思います。ストーリーもよくできていると思ったし面白かったのですが、どうにも私は前半から警察の体質というか内部事情について苛ついて仕方がありませんでした。主人公広報官の家族事情と重なるところ、彼が自分自身を表現できないところなど、警察小説によくある部分が好みと合わなかったことが最後まで残念でした。しかしながらこの本が本屋大賞で2位を取ったことがうなずける繊細なストーリーと魅力を持っていたことは確かです。これからも横山さんの本は読んで行きたいです。
読了日:4月11日 著者:横山秀夫
オーデュボンの祈り (新潮文庫)オーデュボンの祈り (新潮文庫)感想
最初この世界観に入っていけるかちょっと心配したけれど、全く問題ありませんでした。優午が素敵。「理由になってない」と一刀両断の桜も。うっかりミステリであることを忘れてしまうほど登場人物たちの魅力に圧倒されて読みふけっていましたが後半、あれもこれも伏線だったのか、と驚くほどきれいにするすると伏線を回収し、全てが繋がっていく様は圧巻でした。ミステリにおける「名探偵」と言うものに対しての考察には恐れ入りました。まだまだ伊坂さんの本には読んでいないものがたくさんあり、本当に他の作品を読むのが楽しみです。
読了日:4月10日 著者:伊坂幸太郎
陽炎ノ辻 ─ 居眠り磐音江戸双紙 1 (双葉文庫)陽炎ノ辻 ─ 居眠り磐音江戸双紙 1 (双葉文庫)感想
話題のシリーズですが、所謂剣豪ものと言うことでちょっと手を出せずにいました。最初の親友3人のほのぼのとしたシーンがあっという間に真っ赤に染まったのは、正直辛かったのですが、主人公が故郷を離れてからのストーリーは夢中になって読みました。ハラハラドキドキ。ああこんな世界があったのを忘れていました。楽しかった。長いシリーズのようですが、事件がひとつここで解決を見たのが嬉しいです。シリーズものは一冊で一区切りしてもらえると、のんびりと追いかけられます。
読了日:4月9日 著者:佐伯泰英
晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで感想
まさに、高田郁ができるまでのお話でした。彼女の頑張りを見ていると、本当に自分もまだまだ頑張れると感じてきます。こうやってできた高田さんだからこそあのみをつくしシリーズが書けるのですね。シリーズは辛い時期を迎えていますが澪もきっと自分を作っている時なのでしょう。どうかお身体を大切にご無理なさらず彼女のスタンスでこれからも続けていってほしいです。高田郁を、作品を、これからも全力で応援していきます。
読了日:4月9日 著者:高田郁
球体の蛇 (角川文庫)球体の蛇 (角川文庫)感想
道尾さんの作品は題名が秀逸なものが多いので、今回も嫌でも想像を掻き立てられずにはいられません。球体の蛇、象をこなしているウワバミ、スノードーム。何が真実で誰が正しいことを言っているのか、また嘘の場合の本意は?誰にも共感できなくても、誰もがどの登場人物の側面も持っているような気がします。最後の一行は参りました。しばらくの間その一行を凝視して固まっていました。素直に巧いと感じさせられる作品でした。
読了日:4月9日 著者:道尾秀介
3月のライオン 8 (ジェッツコミックス)3月のライオン 8 (ジェッツコミックス)感想
どうしてみんなこんなに一生懸命に生きられるんだろう。全ての登場人物がキラキラと眩しい。たすきの重さがこちらにまで伝わってくるシーンは、もう捨ててもいいはずなのに、と泣きたくなりました。私も一進一退、理不尽に弱音を吐きそうになっているけれど、歯を食いしばってがんばっていかなくてはいけないという気になりました。それほど彼らの強さには魅せられます。
読了日:4月9日 著者:羽海野チカ
聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)感想
入院中隣のベッドの素敵なおばあちゃまと同病だったことから話が弾んだのち、消灯までの時間にどうぞ、お貸しくださったもの。読み始めて私の話の聴き方がまずかったかと青くなったのは言うまでもありません。しかしながら難しい話ではなく、ちょっとしたエピソードがどれも楽しく読むことができました。いつも相手の話を聴くときの自分の視線の位置が気になっていたので、この点はとても参考になりました。
読了日:4月9日 著者:阿川佐和子
ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会 (ハヤカワ文庫 JA ア 7-1)ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会 (ハヤカワ文庫 JA ア 7-1)感想
綾辻さんの帯に惹かれて。ヘンな建物に関するミステリをサークルのメンバーが解くもので、個性的なメンバーが大学のサークルの楽しさや雰囲気を思い出させてくれました。殺人などがおこらないせいなのか、事件ごとに違う登場人物が欠けるせいなのかがっつりつかまれる感じではありませんでした。でもミステリとしては綺麗にできていると思います。私としてはすしホテルのようなものではなく、もっとトマソンを扱って欲しかったです。続きを意識したのか中途半端に終わった感じがして気になるので2巻も読むつもりです。
読了日:4月2日 著者:青柳碧人
月館の殺人 (下)  月館の殺人 (下)  感想
佐々木さんのコミックらしさはしっかりと発揮されているのに、でもやっぱり綾辻さんのミステリであることは間違いなく期待通りで、シリアスで本格で綺麗に終わります。欲を言えば動機がもう少しストレートな方が好みですが、伏線から考えると納得させられました。もちろんこれはこれでコラボならではの良さが発揮されていてとてもいいのですが、綾辻ファンとしてはやはり、ギャグテイストのないノベルス版でも読んでみたかったです。
読了日:3月31日 著者:綾辻行人
月館の殺人 上  IKKI COMICS月館の殺人 上 IKKI COMICS感想
綾辻さんのノベルスになっていない館シリーズ(?)と聞いて遅ればせながら手に取りました。「テツ」の世界と言うものをたくさん見ることができ、原作者カラーではないシリアスの中に散りばめられるくすっと笑ってしまうような仕込みを楽しく読むことができてコラボ作品ならではだと感じられます。さて、この鉄道ミステリが「館シリーズ?」と言われるのはなぜなのか。上巻のラストは一瞬「?」そして「!!!」でした。
読了日:3月31日 著者:綾辻行人
夏服パースペクティヴ (樋口真由“消失”シリーズ)夏服パースペクティヴ (樋口真由“消失”シリーズ)感想
話の作りとしてはとてもよくできていると思います。時系列としては前作より前のようで、こっちの方が正統派かな。ただ、なかなか物語の中に入りきれず前半かなり読むのに苦労しました。終わりから三分の一くらいは一気に読まされる勢いがあったので生意気を言えば前半の運びにもう少し推敲の余地があったのではないかと思います。前作を読んでいなくても問題なく、またこれを先に読んでも前作が楽しめるようにとても気を配っているのには感心しました。(もちろん前作が先の方がいいとは思いますが。)もし次が出たらまた読んでみたいです。
読了日:3月28日 著者:長沢樹
サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)感想
やはり前作よりも、本屋さんの中で起こることをそこから出ずに解決してしまう今作の方がテンポもよく好みです。本屋さんの裏側を覗けるのは本当に楽しいし、他の書店員さんの特徴も覚えてきて一緒に働きたいと思ってしまうような雰囲気も好きです。ほろ苦くすっきりしないような、後味が優しい話ばかりではないところも逆に良いかと思います。表紙やポップ、帯に呼ばれて本を買う楽しさは知っていますが話題の本はネットでクリックしてしまうことが多い昨今、坂木さんの解説は沁みました。私も地元書店をどんどん利用していきたいです。
読了日:3月24日 著者:大崎梢
本屋さんで待ち合わせ本屋さんで待ち合わせ感想
本当に本が好きでたまらなくて楽しんでいらっしゃるのがわかるエッセイ集。読んでいる私もとても楽しめました。読みたいなと思ってチェックしてしまった本もあります。自分が読んでいて同じように感じている本が紹介されているのを見つけてすごく嬉しかったですね。つくづく自分は本好きでよかったと思います。しをんさんの他のエッセイも読んでみたいです。
読了日:3月23日 著者:三浦しをん
晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫)晩夏に捧ぐ (成風堂書店事件メモ(出張編)) (創元推理文庫)感想
前作ではキャラが薄いかなと思っていましたが、今回はしっかりと伝わってきました。今回も本に対する愛情はたっぷりで、本屋さんと言うものをいろいろな角度から見ることができたのはとても楽しかったです。ただ完全に出張してしまって関係者を訪ね歩くなど、いわゆる普通のミステリっぽくなってしまったのがちょっと残念です。一番最初のたった一枚のレシートからその時の情景を納得いく形で出してしまうような、そんな謎が好きなので、そういった点では短編の形の前作の方が好みでした。
読了日:3月22日 著者:大崎梢
坂木司リクエスト!  和菓子のアンソロジー坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー感想
坂木さんがリクエストして書いていただいたとのことですが、和菓子というテーマでこんなにも違う読み応えのある短編が揃うとは思わなかったので驚きました。作品を読んだことがある作家さんの物はそれぞれその方らしいカラーが出ているのを期待通りに楽しむことができましたが、驚いたのが初読み作家さんのものです。トマどら、チチとクズの国、糖質な彼女、時じくの実の宮古へ、どれも切り口がとても好きで、この作家さんたちの他の本も読んでみたくなりました。こんな風に他の本も読んでみたい作家さんと出会えるのはとても嬉しいです。
読了日:3月20日 著者:坂木司
配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)感想
舞台は新刊本屋さん。書店員がミステリを紐解く連作短編になっていますが、ミステリに加えて本屋さんの舞台裏やあるあるをとても楽しく読むことができました。日常のミステリで微笑ましく心が温かくなるような小さなものを想像していたので、それだけではなく警察にご厄介になるようなものや、かなり重いものもあったのがびっくりしました。主人公はじめ書店員さんのキャラがもう少ししっかりと立っているともっと読みやすかったのではないかと思います。ですがしっかり楽しめましたので続編も是非読んでみようと思います。
読了日:3月18日 著者:大崎梢
ハサミ男 (講談社文庫)ハサミ男 (講談社文庫)感想
10年以上前に読んで衝撃を受けた本です。ですがそれ以来の再読だったので衝撃の詳しい内容までは忘れていて、構えて読んでいたのにもかかわらずまたやられてしまいました。細かいところまでよく考えてあると思います。ミステリ好きさんで読んでない方は是非、前評判など気にせず素直に構えず読んでみてください。
読了日:3月18日 著者:殊能将之
山椒大夫山椒大夫感想
高瀬舟を読んだ流れでこちらも。読んでいないはずはないのに読み始めてもピンとこない…と思ったら「安寿と厨子王」の児童書以来、原文では読んでいなかったようです。記憶の中の物は子供向けにぬるめにアレンジしてあったのかもしれませんが、考えていたよりも安寿が大人で、幸せなハッピーエンドと思っていたものが途中の様々なことを考えると読後感が必ずしもいいとは思えないなど、年を重ねて違った目で見ることができるようになったのを感じます。思い立った時にスマホでこういうものが読める時代というのはありがたいですね。
読了日:3月16日 著者:森鴎外
高瀬舟高瀬舟感想
横山秀夫の「半落ち」を読んでいる時、高瀬舟が思い浮かび、読後Kindleで見つけたので読んでみました。以前に読んだ時は、事件に至るまでの弟の苦しみ、弟を結果として死なせてしまった兄の悲しさ、リアルな場面描写が心に強く残っていた気がするのですが、今読んでみると護送を命じられて一緒に乗り込んでいる同心と罪人である喜助との貧乏やお金、生活に対する考え方がより印象に残りました。これだけ短い話の中に本当に深いものがたくさん詰まっているのを感じます。
読了日:3月16日 著者:森鴎外
半落ち (講談社文庫)半落ち (講談社文庫)感想
妻殺害後二日経ってから出頭した警部。頑なにその二日間を語ろうとしない彼に、その後彼にかかわってくる人々がそれぞれの視点で謎の二日を追います。視点となる彼らの立場上の葛藤が何とも悲しく、もどかしい思いで読み進めました。実際にそれが可能かどうかは別としてもそのために思いとどまった彼の決意を知った時はなんとも言えない重さをズシンと感じました。彼をそっとしておいてあげてほしかったという気さえしてきました。章ごとに違う視点にすることで読者を引っ張る筆力はさすがだと思います。
読了日:3月16日 著者:横山秀夫
消失グラデーション消失グラデーション感想
横溝正史ミステリ大賞ということでしたが最初はラノベ風の軽いものかと思いました。どの登場人物も微妙に隠している部分があるのは感じていました。消失のトリックはなんとなく想像できましたが、さすがに最後は驚きました。好みは分かれそうですが私はよくできていると思います。なかなか個性のある登場人物でこれで終わりなのは勿体ないなと思ったらどうやら続編があるようですね。是非読んでみたいと思います。
読了日:3月14日 著者:長沢樹
サヴァイヴサヴァイヴ感想
サクリファイス前後、エデン前後の短編集です。文庫化を待てず図書館でお借りしました。短編でもあっという間に物語の中に引き込んでいく筆力には脱帽です。どれもみな期待以上に心に響いたのですが、やはり大きかったのは石尾と赤城の話です。この本で彼らについて知るとサクリファイスを読み返したくなりました。きっと違う印象で違った思いを受けるに違いありません。偶然サヴァイブから入った方の衝撃は如何ばかりかと思います。続けて三冊読んでどっぷりシリーズに浸かってしまったのでこの後何を読もうか途方に暮れています。
読了日:3月12日 著者:近藤史恵
エデン (新潮文庫)エデン (新潮文庫)感想
前作から三年後、彼はツール・ド・フランスに挑もうとしています。300ページ以上あるのに一気に読ませてしまう筆力はさすがです。おそらく主人公のまっすぐなところが読み手の心を打つのでしょう。ミステリ色は薄く、純粋にロードレースの駆け引きにスポンサーやドーピングと言った暗い部分も含めてどっぷり浸ることができました。今回はニコラを中心とした人間関係で読んでいる私自身が手足が冷たくなるような感覚を味わいました。チカは本当に強く、最後に取った選択もとても気持ちがよかったです。今後の活躍も期待せずにはいられません。
読了日:3月10日 著者:近藤史恵
サクリファイス (新潮文庫)サクリファイス (新潮文庫)感想
読み友さんの間でも評価の高い本です。ようやく読みました。ロードレースについてはほとんど知らなかったのに全く問題なく物語に必要な知識をするすると教えてもらいながらどっぷりとロードレースの魅力に取りつかれて読みました。後半主人公が一つ一つ理解して気づいていくことには戦慄を覚えずにはいられません。最後に彼がたどり着いた推測の衝撃は半端ではなかったです。「Sacrifice」の意味が私にもとても重くのしかかってきました。こんなアシストを受け取った彼はこの後大きく成長しなくてはなりません。続編が楽しみです。
読了日:3月8日 著者:近藤史恵
脳男 (講談社文庫)脳男 (講談社文庫)感想
映画化で平積みされていて手に取りました。容疑者鈴木一郎を過去の彼を探すことで解き明かしていく過程はドキドキしたし、その後の展開も一気に読まされてしまいました。正直ものすごくうまいとは思いませんし、突っ込みたいところは山ほどあるのですがそれでもよくできていると思います。ミステリというよりSFを読んでいるような気がしてしまいました。鈴木一郎はもちろんですが、他のキャラの背景をもう少し書き込んでくれるともっと読みやすかったと思います。どうも最後が回収不足と思ったら続編があるのですね。読んでみようと思います。
読了日:3月8日 著者:首藤瓜於
微笑む人微笑む人感想
「本の置場がなくて邪魔だった」と妻子を殺した男。その男の過去を追及していくことで話が進んでいきますが彼がどんな男だったか、過去にある疑惑などもわかるにつれ、現実にこんな男がいそうなことに恐怖を覚えながらもどんな結末が待っているか夢中になり、一気に読み進めることができました。結末は、なるほどこうきたかという感じですが、私はもっとなんらかのガツンと読み手の心に訴えてくるもので終わって欲しかったです。つまり私自身がわかりやすいストーリーで安心したいということなんでしょうね。
読了日:3月7日 著者:貫井徳郎
モラトリアム・シアターproduced by腕貫探偵 (実業之日本社文庫)モラトリアム・シアターproduced by腕貫探偵 (実業之日本社文庫)感想
腕貫さんのシリーズなのに大富豪探偵の方がメイン?なんて思いながら読み進めました。一人称を信用するなと言われていて、ちゃんと疑い深く読み進めているのに、もしや、と思ったときにはもう物語終盤。そうだよね大富豪だもん…。しかも気付いてみれば伏線はバッチリなので参ります。腕貫さんはちゃんと役目を果たしていますが、それでもやっぱり彼の出番がもっと欲しくてその点は残念でした。西澤さんの作品では登場人物が必ずしもマジョリティでないのですが今回も人間関係がすごく入り組んでいて途中で理解するのを放棄しそうになりました。
読了日:3月6日 著者:西澤保彦
余った傘はありません余った傘はありません感想
一つ一つは本当に短い掌編。だからさらさらと気を抜いて読んでいたら途中で壮絶な後悔をすることに!一度戻ってじっくりと読み直し、読後さらにループして二周目。今度は散らばった小さなつながりにドキドキしながら堪能しました。前作で感じた飛び抜けた才能を思ってかなりハードルを上げて読み始めたのに、読み終わってみると今回も緻密に計算されていることに脱帽するばかりです。読み返すたびに違って感じる、彼女らしいシュールさと得体のしれない怖さ。彼女でなければ表せないであろうこの世界観をまた是非お願いしたいです。
読了日:3月4日 著者:鳥居みゆき
密室に向かって撃て! (光文社文庫)密室に向かって撃て! (光文社文庫)感想
烏賊川市シリーズ2作目。シリーズを順番に読んだ方が楽しめる気がします。いきなり被害者が前作でお世話になった人でちょっとショックでした。個性の強いキャラ達は健在でユーモアミステリとして楽しめますが、もちろんしっかり本格で謎解きも十分楽しむことができました。犯人の動機へ至る過程を自分でも流平と同じようにたどっていたので彼が披露する場面はワクワクしました。8発の銃弾の鵜飼探偵の見事な謎解きも十分に楽しみました。シリーズの続きを読むのが楽しみです。
読了日:3月2日 著者:東川篤哉
震える牛震える牛感想
社会派ミステリとしても魅力のある刑事が動く警察小説としても読むことができました。題名通りの内容、そしてデフレ時代の食に切り込む問題点。一家の食卓を預かる身では家族の身に直接降りかかってくるものとしていろいろなことを考えずにはいられません。情報公開に関して現在の体質を変える事、SCの今後なども生活に直接かかわってくることとしてリアルに考えさせられるものがありました。一方で警察の天下りの件などまで盛りだくさんで消化しきれなかった部分もあり、もう少し絞ってもよかったのではないかとも思いました。
読了日:2月28日 著者:相場英雄
けさくしゃけさくしゃ感想
かなり期待して読み始めてしまったのであまり人物に思い入れできなくて期待外れと思ってしまったのですが、戯作で謎解きというちょっとしたミステリを読んでいると感じられるようになってからはお勝さんが格好よかったり謎の善太に惹かれたりと楽しめました。主人公にもっと惹かれるものがあれば更に楽しめたと思うのでそのあたりがちょっと残念。シリーズの最初の一冊かと思っていのでほっこりと綺麗にまとめて終わってしまいびっくりしました。主人公が実在だったというのにさらに驚き、読後経歴など調べてしまいました。
読了日:2月26日 著者:畠中恵
共喰い (集英社文庫)共喰い (集英社文庫)感想
芥川賞で文庫になったし、と読んでみましたが、表題作はああ純文学ってこういうのだったな、と言う印象になってしまいました。でも純文学のわりには読みやすかったと思います。人物の描き分けが(特に女性)上手いと聞いていましたがそれには納得しました。でもやはり純文学特有の白黒画像で臭いがしてきそうないろいろなシーンはあまり好きではないです。二つのお話よりも、瀬戸内寂聴さんとの源氏物語に対する二人の対話がとても面白く印象的でした。その意味では文庫で読んでよかったと思います。
読了日:2月24日 著者:田中慎弥
長い廊下がある家 (カッパ・ノベルス)長い廊下がある家 (カッパ・ノベルス)感想
いつもの二人を思うと、アリスだけしか出てこない回があったり、ちょっと掛け合いが物足りない気がしないでもありません。またいつもとはちょっと毛色が違うものが多いのですが、二人はやはりそれぞれ「らしい」ので安心して読めます。表題作はアリスの謎解きに笑ったのですが自分も違ってました…。「ロジカル・デスゲーム」はすごく緊張しました。火村先生もこんなに緊張する10秒はなかったでしょう。見事としか言いようがないです。この問題は知っていて理論的にもわかるのにそれでもいつもなんだか騙されているような気がするのです。
読了日:2月23日 著者:有栖川有栖
猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)感想
百瀬弁護士がとにかく好きです。靴をおとなしく買うところは思わず吹きました。いろいろなところから名言がパンチを効かせます。脚本家だと後から聞いて納得の生き生きとしたキャラ設定。散りばめられた伏線を最後にするすると拾うのではなく、これはこう繋がって…と百瀬より先にいろいろな想像ができていながら、足りないピースが出てくるのを待つドキドキ感。ラストに明らかになる真実や本音もとても素敵で読後感もとてもよかったです。軽いテンポのよいミステリが読みたいときにぴったりでした。続きも読みます。
読了日:2月22日 著者:大山淳子
屍者の帝国屍者の帝国感想
プロローグでググッとつかまれたものの、その後がなかなか難解でスピードが落ちてしまいました。でも図書館の本でしたのでここで脱落するわけにはいかないと頑張って一気読みしました。円城さんは初読みでしたが読み終わってみるととてもよくできていると思えたし、実在の人物といろいろな物語上の人物が共演するのも楽しかったし、エピローグもとても好みでした。残念ながら自分の知識がついていけていないところがあり、十分に読み下せているかと言われると自信はありません。いつか必ずゆっくり再読したいと思います。
読了日:2月21日 著者:伊藤計劃,円城塔
鳴風荘事件 殺人方程式II (講談社文庫)鳴風荘事件 殺人方程式II (講談社文庫)感想
作者にとっては館シリーズよりこちらの方が狭義の本格のようですが、こちらの方が響くんの性格もあってか堅苦しくなく楽しく読むことができます。何より最初から一気に物語にのめりこめるのが嬉しいです。響の計算していたものと、伏線にはちゃんと気付いていたのですがあれだけ鮮やかに回収されると、すごいと思うしかないです。しっかりと本格を楽しめました。タケマルが可愛かったです。きっと幸せに暮らしているよね。可能性は低いみたいですがキャラがとても好きなので続きも是非お願いしたいです。
読了日:2月19日 著者:綾辻行人
香菜里屋を知っていますか (講談社文庫)香菜里屋を知っていますか (講談社文庫)感想
ここに行けば「お帰りなさい」と迎えてくれるところがある。こんな幸せはなかなかないもの。工藤さんが、香菜里屋が、常連客が、雰囲気がとても好きでした。でもそれが永遠じゃないってのも当たり前のことですね。伏線をするするっと回収し、物悲しい思いは残りますが綺麗なエンディングだったと思います。今回、他のシリーズのメンバーがそっと登場されていましたが、香菜里屋が他のシリーズに登場しているところもあるそうで、もし彼がご存命だったらこの後の幸せな工藤さんをどこかで見ることができたかもしれないととても残念な思いもします。
読了日:2月18日 著者:北森鴻
螢坂 (講談社文庫)螢坂 (講談社文庫)感想
前作は後味が苦い物が多かった印象がありますが、今回はどれも悲しくても優しくてじんわりと心にしみてくる来るものが多かったです。「双貌」と「孤拳」が特に好みです。毎回のことですが美味しそうなお洒落なお料理はもちろんのこと、ビアバーの中がメインのお話のはずなのに、美しい季節の情景が手に取るように伝わってくるところに感嘆します。三軒茶屋周辺の描写も見事です。世田谷線から太子堂線路脇に石碑が見えるのをリアルに想像できたり、池尻までの徒歩ルートを想像したり。とうとうあと一冊。どんなラストが待っているんでしょうか。
読了日:2月17日 著者:北森鴻
理由 (新潮文庫)理由 (新潮文庫)感想
宮部作品は長くてもその長さを感じさせられないものが多いのですが正直これは長かった…。事件が収束してからの第三者視点で、関係者に話を聞きながら事件を明らかにしていくという手法が、私をいつまでも事件の外側にいる傍観者のままとしてしまったからなのかもしれません。社会派ミステリとして家族と言う形態、血の繋がりとは何かなどを考えさせられるものでした。分不相応のものやよくわからないものに手を出すことの結果など若い人に読んで欲しいと感じた部分もありました。本を楽しんだというより現代社会の陰の勉強をしたような感じです。
読了日:2月15日 著者:宮部みゆき
椿山課長の七日間 (朝日文庫)椿山課長の七日間 (朝日文庫)感想
ずっと気になっていたものの機会がなく初浅田次郎作品です。椿山課長が我が家の大黒柱とそう変わらない年齢で同じように激忙しいのでなかなか読み始めは重く、悲運に痛々しさを感じながらも結果としてどんどん引き込まれ楽しく読み進め、さらに物語は思わぬ方向に転んで絡んで…最終的に何度も泣きそうになりながら夢中になって読みました。とにかくすごくよかったです。結末もいろいろと考えさせられました。(押ボタン方式、私は認めたくないです。)是非浅田さんの他の作品も読んでみようと思います。
読了日:2月12日 著者:浅田次郎
幻想電氣館幻想電氣館感想
前作と比べての感想になりますが、こちらの方がミステリ色は強く逆にホラー的な要素は薄いです。こちらの方が少し現実的で苦かったりします。映画館と言う設定も上手いな~とは思いましたが、前作のキャラの方が親しみを持てたせいなのかなんとなく前作の雰囲気の方が好きです。無難にまとまっているというのが感想として正直な所でしょうか。続編、と聞いていましたがこれだけ読んでも問題ないと思います。でも前作を読んでいると共通する人物が出てきて「おお!」となったり、前作のシーンが回想できたりします。それがとても楽しかったです。
読了日:2月11日 著者:堀川アサコ
幻想郵便局幻想郵便局感想
文庫化され読書メーターの帯がついたことを聞いていたところへちょうど図書館で出会ったのでお借りしてきました。ファンタジーに薄めのホラー、ミステリ風味も加わったなかなか好みの話でした。人は一人で生きているのではなく、人との繋がりで生きている、それをふっと思い出させられます。亡くなってしまったらそれで終わりではないというところも共感を覚えます。ただちょっと期待しすぎてしまったのか、なんとなく薄くもう一歩が足りないという感じを受けました。ですがエピローグがとてもいい感じでしたので是非続編も読んでみたいと思います。
読了日:2月10日 著者:堀川アサコ
インシテミル (文春文庫)インシテミル (文春文庫)感想
ライトノベル風のクローズドサークルミステリという感じでしょうか。沢山の登場人物で絶対に混乱すると思ったのですがサクサクと話を読み進めている間にちゃんとキャラが頭に入ってきていたのには驚きました。ひたひたと見えない犯人に追い詰められるような恐怖感を期待していたので方向性は違ったのですが、ドラマを見ているようにストーリーを楽しみました。この主人公は結構好きです。最終的に謎のままのことが多かったのが残念。確かに知らなくていいと言えばいいのかもしれないのですが全てをクリアに回収してもらった方が私としては好みです。
読了日:2月8日 著者:米澤穂信
ボトルネック (新潮文庫)ボトルネック (新潮文庫)感想
予備知識なしで読み始めたので驚きました。ミステリ部分はもちろんありますがミステリでくくってしまっては勿体ないですね。米澤さんらしいと言えばらしいのでしょうか。私はサキと「ぼく」とではあきらかに「ぼく」に近い生き方しかできないので読んでいる間ずっと彼が痛々しくてたまりませんでした。彼は悪くない、と思い続けての救いを求めたラストですが到達してみると自分だったら、ととても苦い思いをしました。ですがパラレルにいる間の彼の行動を見る限り、彼は私よりずっと強い。読後落ち着いてじっくりとラスト二行をかみしめました。
読了日:2月7日 著者:米澤穂信
夏のレプリカ (講談社文庫)夏のレプリカ (講談社文庫)感想
萌絵の友人杜萌視点で物語が始まったことで、このシリーズの中では少しイメージが違いました。不思議に思っていることもあったし、伏線はきちんと見える所にあったのに今回も全てが明らかになると驚くばかりでした。人はいつまでも変わらないままではいられないのですよね。ラストのチェスシーンが印象的です。そしてそのまま終わり、ではなかったのも衝撃でした。前作を読んですぐだったので、前作の話題だとすぐわかった部分はありましたが、いつか2冊を章番号順にきちんと対比させながら読んでみたいです。
読了日:2月6日 著者:森博嗣
幻惑の死と使途 (講談社文庫)幻惑の死と使途 (講談社文庫)感想
このシリーズを読むと、ああ、これこれ、こういうのを読みたかった、といつも思います。話の中にどっぷりと浸かれる幸せ。残念ながら私はどれだけ無い知恵を絞っても物語の中の彼らのように綺麗な正解は求められないのでただただ物語を楽しむのみ。今回は名詞の概念に対する犀川先生の考察が印象的でした。あの名前を呼ぶシーンは本当に切なかった。また毎回思いますが今回も題名がすばらしいです。次巻は偶数章で時系列が重なっているんでしょうね。続けて読む予定ですが時々こちらをめくって確認してしまいそうです。楽しみです。
読了日:2月5日 著者:森博嗣
彼女が追ってくる (碓氷優佳シリーズ)彼女が追ってくる (碓氷優佳シリーズ)感想
優佳の活躍する倒叙シリーズの三作目。またしても優佳の行動やものの言い方はどうにも好きになれません。ですがやっぱり前二作同様、彼女のキレに感嘆しながら一気読みをしてしまいました。ラストの展開も秀逸。全部わかっていて彼女は最後に部屋を出たのだろうと読み終わった後納得させられてしまいました。シリーズとしての展開は完璧だと思いましたが個人的には女性二人と男性一人の関係とここに至る経緯をもう少し詳しく読みたかったです。
読了日:2月4日 著者:石持浅海
みぃつけたみぃつけた感想
しゃばけシリーズファンの大人のための絵本でしょうか。若だんなと鳴家たちの出会いが書かれたとても優しいお話です。何度も繰り返して読みたくなります。本編を知っているからこその微笑ましさはもちろんありますが、子供たちがこの本から入ってしゃばけシリーズ本編を読む、というのもいいと思うのです。なのに難しい字がとても多いのにルビが全く振っていない…。絵も素敵だし、その点だけがちょっと勿体ない気がします。
読了日:2月3日 著者:畠中恵
ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)感想
私には虐殺器官よりは読みやすかったです。コードの意味するものがなんなのか徐々に想像されてくると息まで止めるようにしてページをめくっていくしかありませんでした。虐殺器官をテロの最中に読み、現実と混じって大変な読書をしたと思っていましたが、今回のこのケースの方が更に近未来にありそうな感じを受けました。最初はここまでは絶対にならないと思っていたのですが読み終わってみると本当によくできていると思います。でもだからこそ作家さんの執筆時の状況を思ったとき彼がどれだけ自分と向き合ったのかも考えずにはいられませんでした。
読了日:2月3日 著者:伊藤計劃
ブランケット・キャッツ (朝日文庫)ブランケット・キャッツ (朝日文庫)感想
自分でもびっくりしましたが初重松清です。猫を中心としたふんわりと優しい話かと思いきや、二泊三日でレンタルキャットを借りる人間の方には当然ながらいろいろな理由があるわけで、そんな彼らが猫ちゃんをレンタルすることで変わっていく、優しいばかりではない時には重く時には苦い連作短編集でした。そんな中で涙腺が壊れそうになった猫視点の「旅に出たブランケット・キャッツ」後味の優しい「嫌われ者のブランケット・キャッツ」がお気に入りです。
読了日:1月30日 著者:重松清
ガーディアン (光文社文庫)ガーディアン (光文社文庫)感想
主人公が危険に合わないように絶対的に守ってくれる不思議な力「ガーディアン」。最初はどこからミステリになるの?と思ったのですが、この力はきちんとした原則があって、ある謎に対して実際はどうなのか、なぜなのか、と前半はしっかりとミステリとして楽しむことができました。後半では主人公が変わってそれぞれの「ガーディアン」の受け止め方も違うのでまるで別の話になっていてびっくりしました。後味も全く違いました。SF的力を前提とするところは初期のころの西澤さんの作品を思い出しましたが、中身はちゃんと石持テイストでした。
読了日:1月30日 著者:石持浅海
バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)感想
一作目同様やっぱりハードボイルドにしては…と思ってしまうところがあります。でもその完璧でない探偵の格好悪さがなんだか愛しくそれがこのシリーズの魅力なんでしょう。そんなに朝から昼から酒ばっかり飲んでたら身体壊すよ、と心配になってしまったり。一作目より読みやすく話に入っていきやすかったので純粋にストーリーは楽しむことができました。多少は予想がついていましたがそれでもラストは切なかったです。しっかり楽しめたのでこの先ものんびりと読み進めてみたいと思います。
読了日:1月28日 著者:東直己
君の望む死に方 (祥伝社文庫)君の望む死に方 (祥伝社文庫)感想
余命を知ってある社員に殺されようとする社長と、殺そうとする社員。お膳立てのできた研修と言う期間に前作のキレモノの探偵役優佳が加わったことで、予定通りには進まなくなります。視点がその社長と社員の二人なのが斬新で、楽しく読めました。相変わらず優佳は好きになれませんが、ラストの彼女の行動は読めなかったのでびっくりしました。本人たち以上に彼女は理解してしまったのか、それともその先まで想定しているのか…。私はこのラストは好きですね。前作のその後について想像できる部分があるので順番に読んだ方が楽しめると思います。
読了日:1月27日 著者:石持浅海
銀の匙 Silver Spoon 6 (少年サンデーコミックス)銀の匙 Silver Spoon 6 (少年サンデーコミックス)感想
馬術には興味はありましたが詳しくはなく、勉強になることが多かったです。とても楽しめました。彼がきちんとひとつひとつをこなして成長して行っているのがわかります。さすがにエゾノー祭のアレらを全部受けたのには無理が来ましたね。心配ではありますが高校生という時期にそんなことまで経験して学習できる彼は幸せだと思います。最後のコマ、迫力ありました!続きはどうなるか、週刊なので次巻の刊行まで長く待たなくていいのは嬉しいです。
読了日:1月25日 著者:荒川弘
扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)感想
倒叙もの。どれだけ都合のいい状況が揃ったのかと最初は思いました。扉が閉ざされたままでいなければならないのはなぜなのかはちゃんと伏線も貼られていて、ジリジリと論理的に探偵に追い詰められていくドキドキ感を味わえました。動機については賛否両論あって当然だと思います。私的にはアリですがそういうことに直面したことがなければ共感できないのが当たり前なのではないでしょうか。この探偵は正直あまり好きじゃないです。登場人物にも思い入れはできなかったのですが、ちょっと変わっていて楽しめたのでシリーズの続きも読もうと思います。
読了日:1月25日 著者:石持浅海
怪談えほん (4) ゆうれいのまち (怪談えほん4)怪談えほん (4) ゆうれいのまち (怪談えほん4)感想
今まで読んだ怪談シリーズとは違う怖さですね。大人になってしまった私には自分ではこういうところに行くことはないだろう、と思えるからなのかゾッとする怖さではありませんが、子供が読んだら夜の外が怖いのではないでしょうか。自分を忘れてしまうところとか、ラストの心もとなさとか、恒川さんらしいお話だと感じました。絵はちょっとイメージと違うかなと思ったのですが、パジャマのまま成長した絵などインパクトがあり印象的でした。
読了日:1月23日 著者:恒川光太郎
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)感想
読中にアルジェリアテロの一報に出会い、物語と現実が重なって途中から自分が何を読んで感じているか全くわからなくなり、途方に暮れ最初から読み直しました。こんなに現実を重ねて辛い思いをしてしまったのはなぜなのか、作者が9.11以降として考えていたもの、これを書いていた時のご自身の状況なども考えると単純には言葉にできないものがあります。これ以外はなかったであろうエピローグも私の最後の気力を奪っていきました。大変重い読書でしたがそれだけ考えることができ価値のある時間を持てたのだと思います。いつか再読してみたいです。
読了日:1月23日 著者:伊藤計劃
謎解きはディナーのあとで 2謎解きはディナーのあとで 2感想
今回は最初から謎解きは気にせずキャラのやり取りを楽しむことにしたので十分面白く読めました。ミステリとして読んだら突っ込みどころ満載で楽しむには程遠いような気がします。実際に謎解き自体は前作の方がよくできていたと思いますし。でも影山がだんだん身近になってきたり、あれだけ鬱陶しかった風祭警部がだんだん可愛く感じられてきたりもしています。ラストの一話はいろんな意味でびっくりしました。さて3ではどんな展開が?
読了日:1月20日 著者:東川篤哉
謎解きはディナーのあとで謎解きはディナーのあとで感想
再読。本屋大賞に惹かれて初めて読んだときにはトリックだけを切り取ってもらっても…と思いあまり楽しめなかったのですが、ドラマを一部見て読み方や楽しみ方が自分の中で変わったのか、今回はキャラのやり取りを十分楽しむことができました。東川さんの別の本を読んだ事も影響しているかもしれません。再読でよい方に感想が変わるのは嬉しいです。
読了日:1月20日 著者:東川篤哉
サクラ咲く (BOOK WITH YOU)サクラ咲く (BOOK WITH YOU)感想
最初の掲載が中学生向けの連載だったためか、辻村さんの作品によくある心の奥底の嫌な部分をつつくようなところは全くなく、とても爽やかで優しく、読後感もとてもいいです。こんな風にキラキラと学生生活が送れたら素敵ですね。この連載をリアルタイムで追っていた中学生がちょっとうらやましいです。「小説宝石」に掲載されたという三話目が優しいけれどほろ苦さも感じてとても好みです。お得意のリンクがまた素敵。特に一話目と三話目のリンクがとても優しくてここだけで幸せな気持ちになれました。
読了日:1月17日 著者:辻村深月
鬼の跫音 (角川文庫)鬼の跫音 (角川文庫)感想
ホラー短編としてすらすらと読めてしまうのに、読み返すとじわじわとそれぞれの短編に潜んでいる人間の身勝手さ醜さ弱さなどが染み出してきます。一度目にはするっと読んでいて気づかなかった怖さも2度目3度目には見えてきました。鬼の足音が聞こえているのは「冬の鬼」の主人公だけじゃないのですね。どれもよくできていると思いましたが「悪意の顔」のラストの余韻が秀逸。手法の勝利だと思う「冬の鬼」も好みです。
読了日:1月16日 著者:道尾秀介
いっちばん (新潮文庫)いっちばん (新潮文庫)感想
今回もとても優しい気持ちになれる話ばかりです。若だんなも栄吉もお雛ちゃんもきちんと少しずつでも成長していく、これがはっきりとわかるのがこのシリーズに惹きつけられる理由でもあると思います。今回はまず、前作から気になっていたアレがここに繋がるのか!とわかった時嬉しくなりました。「餡子は甘いか」は辛かったけど最後は一緒に泣きそうになりました。修行に出た先の主がこういう方ならばきっと栄吉もいつかは必ず大成するだろう、と想像できるのが嬉しいです。
読了日:1月15日 著者:畠中恵
長い長い殺人 (光文社文庫)長い長い殺人 (光文社文庫)感想
財布視点というのが面白く、どんどんと読み進められました。それぞれの財布がちゃんと個性を持っていて話し方にも特徴があったりするのが面白かったです。別々の持ち主のそれぞれの財布が持ち主について語っているだけなのに実は事件の全貌が少しずつ明らかになっていくという手法は感激しました。期待しすぎてしまったのか事件の本質などには大きな驚きなどはなかったのですが、殺人を犯した人の動機が明らかになった時、現代には普通にいそうで恐ろしくなりました。これがデビュー2年目の作品と聞き、改めて宮部さんのすごさを感じます。
読了日:1月13日 著者:宮部みゆき
あなたが愛した記憶あなたが愛した記憶感想
なかなかグロイ事件の描写が出てくるのでストロベリーナイトのような小説だと思い込んで読み進めていたため、ジャングルジムのシーンで「?!」となりました。ちょっとびっくりしたのですが逆にその後の展開は畳み掛けるようで一気に読まされてしまいました。ちょっと残念だったのが中盤でラストのオチが見えてしまったこと。ストーリー的にはとてもよくできていたと思います。オチがわかっていてもあの部分はゾッとしました。
読了日:1月13日 著者:誉田哲也
偉大なる、しゅららぼん偉大なる、しゅららぼん感想
実は初の万城目作品。この方の世界をよく知らなかったのと、琵琶湖に馴染みがなかったので最初の設定に戸惑いましたが、突拍子もないのにしっかりと世界ができていて、あっという間に引きずり込まれ一気に読みました。普段ファンタジー系は好まない私ですがミステリ的な伏線をちょこちょこと拾って、きっとこの人物はキーに違いない!とワクワク読み進め、すごく楽しかったです。エピローグが切ないなあ、と思っていたらなんとも素敵な余韻を貰えるラストで感激しました。読み終わってからゆっくりと表紙の絵のシーンを想像するのも楽しかったです。
読了日:1月10日 著者:万城目学
小さいおうち (文春文庫)小さいおうち (文春文庫)感想
戦時中の話をこんな目線でこんな形で表したものは知らなかったので新鮮でしたが読み終わってみると今は亡き祖母の話が思い浮かびます。彼女から夫が戦死した後乳飲み子を抱えて大変な苦労をして戦後の混乱の中母を育てた話ももちろん聞きましたが、それ以上にたった二年しかなかった結婚生活でどれだけ楽しいことを沢山経験したかを聞きました。戦時中というのが特殊ではなく日常の延長にあったことを嫌でも感じさせられます。ラストの展開は意外で楽しめましたが切ないですね。想像にゆだねる部分があるところは好みです。
読了日:1月9日 著者:中島京子
ご依頼は真昼のバーへ    Barホロウの事件帳 (角川文庫)ご依頼は真昼のバーへ Barホロウの事件帳 (角川文庫)感想
辛口です。期待しすぎたかな。登場人物誰一人として魅力を感じられるキャラがいなくて途中で読むのが苦痛になってしまいました。なんとか最後まで読み切ったけれどラストまで誰一人として思い入れできなかったのはそのままだったし、それぞれの話の謎の事情も理由も好きじゃないです。最初に提示された件も終わり方が納得できなかったし。謎のある人物も全く魅力がなくて、最終的に読んだのを損したような気持ちになってしまいました。インディゴシリーズはキャラが魅力的で楽しかったのですがこちらは残念ながら私には合わなかったようです。
読了日:1月7日 著者:加藤実秋
ちんぷんかん (新潮文庫)ちんぷんかん (新潮文庫)感想
このシリーズは優しくて後味がよいのが好きなのですが、今回は読み終わって切ないと感じたものが多かったです。死と向かい合うものが多かったせいでしょうか。最後の「はるがいくよ」は特に切なかったです。松之介の件もちょっと寂しい気持ちです。各話の扉にある絵が相変わらず可愛らしく、いつものように読み終わって見直していましたが、「はるがいくよ」の絵で泣きそうになりました。一枚の花びらにそっと両手を差し出す鳴家の後ろ姿。それを見守る若だんな。
読了日:1月6日 著者:畠中恵
このミステリーがすごい! 2013年版このミステリーがすごい! 2013年版感想
読メに登録しているおかげで、国内ベスト20は読んでいなくてもきちんと情報として持っていて読みたい本に登録してあったり図書館で予約済みだったりというものがとても多くて、読メの情報量ってすごいんだなと改めて感じさせられました。(皆様に感謝です!)ミステリの新刊はハードカバーが多いので読みたいと思ってもすぐに読むのは難しいのが難点です。人気作家56名の隠し玉と特別エッセイが楽しく、好き作家さんの新刊予定にちょっとドキドキしたりしました。
読了日:1月5日 著者:
ウィンター・ホリデーウィンター・ホリデー感想
周りの人たちが、大和の過去の友人たちも含めてみんな素敵な人ばかりなので、安心して読むことができます。新人の大東もいいキャラですね。彼が暴走したお正月の話もよかったし、バレンタインの父子の会話にはほろっときました。この調子で少しずつ少しずつ新米父は成長していってほしいです。ただ今回は最後に母親側の気持ちに同調してしまい、取られるという気持ちもわかり、大和はずるい、とちょっとだけ切なく思ってしまいました。さて、ラストのあれこれでちょっと関係が変わりそうでこの後がとても気になります。続きも是非お願いしたいです。
読了日:1月4日 著者:坂木司
ワーキング・ホリデーワーキング・ホリデー感想
どこかが飛びぬけているという印象の本ではないのですが、坂木さんらしい読後感の良い本でした。登場人物がみんなとてもいい人たちで一生懸命で読んでいて優しい気持ちになれます。彼らがこの短い期間できちんと成長していくのが嬉しいですね。きっと何度か読み返してしまうでしょう。このあと冬休みの彼らを読むのがとても楽しみです。
読了日:1月4日 著者:坂木司
密室の鍵貸します (光文社文庫)密室の鍵貸します (光文社文庫)感想
とても読みやすく、あっという間に読めるのですが実は中身はしっかりしています。ドラマにもなった「謎解きは~」より私は読み応えがあって好きです。トリックはしっかり本格できちんと伏線を拾っていました。もちろんユーモアミステリだから現実にそれはないだろ、ってのはたくさんありましたが、でもそれだからこそしっかり楽しめました。言葉遊びも楽しいですし、ちょっとほろ苦い部分もあるところが好みです。これがデビュー作とはすごいですね。シリーズの先を読むのが楽しみです。
読了日:1月3日 著者:東川篤哉
黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2感想
相変わらずのクワコーのグダグダっぶりに気が抜けるのですが、読んでると突然ツボに来て焦ります。つまり悔しいけど結構楽しんで読んでしまいました。貧乏な食生活がリアルすぎてザリガニの味が口の中に想像できそうになりました。前作で太字にビックリしましたが今作でもそれは健在。でも今回はあまり気にならなかったかも。そしてとにかく謎解きがしっかりしてて鮮やかに伏線を回収されるのに嬉しくなりました。さすがジンジン。彼女の活躍をもっともっと読みたいです。ラストの情景も微笑ましくとてもよかったです。
読了日:1月3日 著者:奥泉光
死亡フラグが立ちました! ~カレーde人類滅亡!? 殺人事件 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)死亡フラグが立ちました! ~カレーde人類滅亡!? 殺人事件 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
今回はちょっと違うぞ?と思いながら読み始めましたが、前作で活躍したメンバーとお馴染のトラップが畳み掛けるように出てくるころには前作同様に一気にページをめくっていくしかなくなってしまい、とても楽しんで読み終えました。新作スマホに三週間並ぶとか、プラチナラインとか死亡フラグアラームアプリとか、旬の今だからこそ笑えるものも多かったです。このあたりは数年後に読むと感じ方が変わってくるかもしれませんね。すっかり本宮さんのファンになってしまったのでまた是非彼の活躍を読んでみたいです。
読了日:1月2日 著者:七尾与史

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