2014年4月の読書メーター
読んだ本の数:30冊
読んだページ数:9218ページ
ナイス数:1784ナイス


壁抜け男 (異色作家短篇集)壁抜け男 (異色作家短篇集)感想
ずっと気になっていた「壁抜け男」。とにかくすごいインパクトです。どうなるのか期待しながら読み進めたその先は・・・思いがけず寂しいラストが待っていました。表題作以外では「カード」「よい絵」「サビーヌたち」が特に印象的でしたが、他の収録作も含めてみんなラストに違った余韻を運んできてくれるのです。そのため奇妙な味ばかりの短編集でもいろいろな種類のお話を読んだように楽しむことができました。また時を経て読み返してみたい本です。収録は他に「パリ横断」「パリのぶどう酒」「七里のくつ」
読了日:4月27日 著者:マルセルエイメ
つれづれ、北野坂探偵舎  ゴーストフィクション (角川文庫)つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション (角川文庫)感想
探偵舎への今回の依頼は一枚の絵を見つけること。相変わらずの彼らの距離感がとても好きです。今回は伏線がしっかりとしていて幽霊の正体やしたいことなどがわかった!と思ったのですが実際はもうあと一ひねりあり楽しませてもらいました。本筋の物語に関しても過去はかなり明らかになり、少女に関しても大きな転機が訪れ…と一気に物語が動いた気がしましたが読み終わってみるとそれほど大きな進展ではなかったのかな?でも彼の中ではストーリーが定まりつつあるようです。どんなハッピーエンドを迎えるのか楽しみに続きを待ちます。
読了日:4月27日 著者:河野裕
こだわりのブックカバーとしおりの本 (玄光社MOOK)こだわりのブックカバーとしおりの本 (玄光社MOOK)感想
本好きには見逃せません。本と関わる方々のこだわりの一品の紹介ですからご自身の作品を使ったり非売品だったりと手に入らないものも多いですが見ていてとても楽しいです。壁紙のカバーがとても印象的でした。本屋さんの紙製ブックカバーの紹介もあります。紀伊国屋さんのは現在の私もちょっと嬉しいカバーの一つですが、静岡育ちの私には谷島屋のブックカバーが紹介されていたことがとても懐かしく嬉しく思いました。カバーの写真ひとつで実家の本棚がすっと浮かんできました。好みの栞になかなか出会えないので栞の紹介が少ないのは残念でした。
読了日:4月25日 著者:
新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)感想
「不祥事」と比べるとこちらは特命係ということで、臨店の扱うものとは事件の規模が違います。指宿が主人公のはずなんですが、途中から唐木怜が特命に加わると話がキリッと締まった気がしました。池井戸さんは芯の強い女性を描くのが上手いですね。池井戸作品は勧善懲悪で気持ちの良いラストだと信じているからこそ楽しんで読めますがきっと現実はこんなに簡単に尻尾はつかめないのだろうと恐ろしさも感じます。それぞれ短編なのが惜しいほどですが全部を中編で読んだら重すぎるのかもしれず、この終わり方がちょうどよいのかもしれません。
読了日:4月24日 著者:池井戸潤
これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義感想
MITで動画で無料公開しているウォルター・ルーウィン教授の物理学入門の講義の一部をテキスト化したものです。確かに彼の講義が魅力的でわかりやすい事は伝わってきますがでもテキストはテキストであって、彼が体を張って証明する実験の数々は映像で見るのとは迫力が違うというのが正直な印象です。これを読んでからだと英語の動画でもなんとなく中身はわかりますので補助テキスト的に読むのがいいのかもしれません。「白熱教室」を見逃してしまったのですがこれを読んでDVDを見てみたいと思いました。
読了日:4月24日 著者:ウォルタールーウィン
珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)珈琲店タレーランの事件簿 3 ~心を乱すブレンドは (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
前作まではミステリとしてはもう一息かなという感じがしていたのですが、3作目となる今作では難しいものではないもののかなりしっかりとしたミステリ仕立てになっていて作者の成長を感じました。大会の主催者側にいい気持ちがしなかったのと最終選考に残ったバリスタの誰も好きになれなかったなど思い入れ出来なかったのが残念でした。そしてやっぱり読後感が苦くて悲しいのです。シリーズの特徴なのかもしれませんがたまにはすっきり気持ちよいラストで読みたいものです。否定的な事も書きましたがシリーズのこの先も期待しています。
読了日:4月21日 著者:岡崎琢磨
新装版 不祥事 (講談社文庫)新装版 不祥事 (講談社文庫)感想
連作短編です。テラーとしてできる人であった花咲舞は、配置換えで臨店の仕事になっても当然できる人で、不正に立ち向かっていく様は読んでいて気持ちがいいです。それにしても、こんなに不祥事ばかり起こしていたら信用第一の銀行では潰れてしまいます。フィクションだとわかっているからこそ楽しく読めますが実際の銀行員があんな出世欲と保身だけでできていたら恐ろしいですね。短編形式なのでさくさくと勧善懲悪の物語を楽しめました。短編の並べ方も上手くて綺麗にまとまっていると思います。是非シリーズで出して欲しいです。
読了日:4月20日 著者:池井戸潤
つれづれ、北野坂探偵舎    著者には書けない物語 (角川文庫)つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語 (角川文庫)感想
前作と違って複数の事件の積み重ねではなく、彼らの過去に関わる大学でバラバラな脚本を正しく並べ一つシーンを加えるという依頼の長編になっていました。分割された脚本が手元にあるわけではないので、読むだけで自分の頭で前後関係を考えながらつなげて理解するのはなかなか骨が折れましたが、クライマックスの舞台上の緊迫したシーンはとても楽しめました。二人の過去や少女の正体などかなり明らかになっているのですが、ラストシーンを読むとまだまだこれからの気がします。登場人物達の作る独特の雰囲気が好きなので続きも楽しみです。
読了日:4月20日 著者:河野裕
殺戮にいたる病 (講談社文庫)殺戮にいたる病 (講談社文庫)感想
再読です。最近読まれている方が多くて懐かしくなったので掘り出してきました。初めて読んだときはそれこそ天地がひっくり返ったような衝撃でしたね。そもそもいろいろな描写が受け入れられずに四苦八苦しながら読んだ覚えがありますので細かい部分なんて読み込んでられなかったんだと思います。今回別の意味で衝撃だったのがあの読みにくかった部分を年月を経たら淡々と読み進められるようになってしまっていたこと。初読の時は気づかなかった伏線もちゃんとありました。でも理解の範疇を越えたラストシーンは再読でも恐ろしかったです。
読了日:4月18日 著者:我孫子武丸
雀蜂 (角川ホラー文庫)雀蜂 (角川ホラー文庫)感想
内容はわかっていて手に取ったのですが、虫が好きではないのでいろいろなシーンが頭に映像で浮かんでしまいグロテスクでちょっと苦痛でした。文字数も少なくてどんどん読めるのですが想像以上に冷静でどこかシュールな主人公にも、彼によって語られる他の登場人物にもあまり思い入れができなくてサバイバルホラーのはずなのに淡々と読み進めてしまいました。そのせいか裏に隠されていることには気づいても実際のところは全然わかっていなかったのでラストには驚きました。わかってみると伏線はバッチリで、このあたりはやはり上手いと思います。
読了日:4月17日 著者:貴志祐介
最後の証人 (宝島社文庫)最後の証人 (宝島社文庫)感想
法廷ミステリですが、そんなに素直ではありません。ですが、法廷での3日間を描きながら途中に過去や事件を起こすまでの状況を挟むので、わかりやすくとても読み易くなっていて一気に読まされてしまいました。巧妙に隠されているものに早々と気づいてしまったのでその点では驚きなどはありませんでしたがさすがに最後の証人までは見抜けませんでした。弁護士の佐方の信念は痛いほどです。彼が小坂を選んだ理由にも現れていますが証人を証言台に立たせた言葉、最後に真生に返した言葉も真っ直ぐに心に刺さってきました。シリーズの先も楽しみです。
読了日:4月17日 著者:柚月裕子
おさる日記おさる日記感想
奇妙な味の国内作品(絵本です)ということで、読み友さんたちが話題にしていたのでとても興味をそそられて図書館でお借りしてみました。パーサーのおとうさんがおみやげにくれたちいさいおさる。そのおさるとの日々が日記で綴られます。村上さんのイラストがぴったりです。どことなくすわりの悪さを感じながらもするすると読み続けたラストの一文は…!感じていた違和感はなるほどこのためか、とじわじわと読後効いてきました。
読了日:4月16日 著者:和田誠
彼女は存在しない (幻冬舎文庫)彼女は存在しない (幻冬舎文庫)感想
何かが仕掛けられているのは題名からも想像できるし、たくさんの違和感が潜んでいるのです。なのに多重人格者という煙幕が見通すことを邪魔します。決して読み易い内容ではなく嫌な描写もあるし混乱もするのですがこのページ数をほとんど一気に読み切ってしまいました。この手のトリックはわかってしまうとそれ以降が楽しめないのでなるべく考えずに素直に騙されようと思って読むのですが、今回は特に一気に読んだので見事に騙されました。潜んでいた違和感が一気にクリアになったのは気持ちが良かったのですが、内容は重くとても悲しかったです。
読了日:4月16日 著者:浦賀和宏
5分で読める! ひと駅ストーリー 冬の記憶 東口編 (宝島社文庫)5分で読める! ひと駅ストーリー 冬の記憶 東口編 (宝島社文庫)感想
冬の記憶なのでクリスマスか雪に絡んだものが多いです。印象深かったのは一番最初の佐藤青南「雪の轍」とラストの中山七里「アンゲリカのクリスマスローズ」。深津十一「闇の世界の証言者」も好みです。いくつか挙げるとどうしてもこのミス受賞作家さんの作品ばかりになってしまうのはもともとミステリ好きだからなのもありますが、やはりラノベやラブストーリーの方がショートのオチがつけにくいのかなとも思います。それぞれがとても短いゆえにさらさらっと読めてしまい新しい好みの作家さんに出会う、という形にはならなかったのは残念でした。
読了日:4月16日 著者:
霧越邸殺人事件<完全改訂版>(下) (角川文庫)霧越邸殺人事件<完全改訂版>(下) (角川文庫)感想
ほとんど覚えていない状況で読み進めた上巻と違って多少思い出した状態で突入した下巻では、視点の彼が自分は蚊帳の外と思い込んでいるのか恐怖感がまるでないのが少し気になってしまいましたがそれも元プロットが学生時代という若さゆえの勢いなのかなとも思います。本格好きでこのタイプを好まない人の言い分もわかりますが、私はやはり本格部分はしっかり本格だと思いますしこのボリュームをしっかりと楽しみました。「もう一人の中村青司氏」の意味など、最後に収録されている特別インタビューが大変興味深く、新装版を手に取ってよかったです。
読了日:4月15日 著者:綾辻行人
霧越邸殺人事件<完全改訂版>(上) (角川文庫)霧越邸殺人事件<完全改訂版>(上) (角川文庫)感想
新潮文庫版で読んだのはもう15年近く前です。再読のきっかけがなかなかつかめずにいたのですが今回新装版の遠田さんの美しい装丁に惹かれて手に取りました。かなり好きな話だったはずなのですが読み始めてみるとほとんど覚えていなかったのに驚きました。いつ三階の見取り図が出てくるんだろう?なんて思いつつ読み進めていくうちに少しずつ思い出しました。クローズドサークルと見立て殺人。館シリーズとは違った美しい描写と幻想的な雰囲気。綺麗な文章で読者を世界に引き込むのはさすがだと思います。
読了日:4月15日 著者:綾辻行人
蜩ノ記 (祥伝社文庫)蜩ノ記 (祥伝社文庫)感想
10年後の切腹、それまでは家譜の編纂を命じられた藩士戸田秋谷。ある不祥事から彼を輔佐と監視することになった檀野庄三郎の視点で最後の3年が語られます。フィクションのはずなのに、実際にあった出来事のようにリアルに物語が流れ込んでくるのです。この時代、どれだけ人々が自分の命を賭していろいろなことに向き合って行ったのか自分の大切な人を守り、信義を貫くためにどれだけ考え強くあったのかが痛いほど伝わってきました。「蜩ノ記」の意味、最後の一行。他にもたくさんの心打たれる言葉の詰まった大変読み応えのある本でした。
読了日:4月14日 著者:葉室麟
キャット・アート―名画に描かれた猫キャット・アート―名画に描かれた猫感想
読み友さんの感想を見て興味を持ちました。表紙絵のインパクトも凄かったのですが、中のイラストもすべてこんな感じで有名なもののパロディばかりなのでページをめくるたびに楽しくて仕方ありませんでした。各ページにある解説も笑いを誘われます。「記憶の個室」でかかっているのがマウスだったり(作者のネコバドール・ダリダッケもツボでした)、「晩鐘」で収穫されているものに合わせてちゃんと後ろに小川が流れていたりするところがとても好みです。猫好きさんは絶対楽しめると思いますので是非。オールカラーでこのボリューム。楽しみました。
読了日:4月10日 著者:シュー・ヤマモト
甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺感想
表紙も美しいですが、とにかく目を惹くのは章ごとの中扉に使われている千代紙のような綺麗な和柄の装丁です。お話は両親の死後、叔父に和菓子店を追い出された兄弟が嫌がらせにも負けじと頑張るちょっとみをつくし料理帖を思い浮かべるようなお話でした。兄弟の役割分担のしっかりしているところや根本でお互いを信じわかりきっているところが素敵です。ここぞというときに助けてくれる脇役の存在も良かったです。少し薄めですがこれでお終いなのはちょっと勿体ない気がします。続編は書かれないのかしら?この先の藍千堂も見てみたいです。
読了日:4月10日 著者:田牧大和
カササギたちの四季 (光文社文庫)カササギたちの四季 (光文社文庫)感想
優しい連作短編集でした。この小さな人間関係の中に実はたくさん嘘が詰まっていたりするのですが、それが切なさではなく優しい読後感を作り出してしまうのが不思議ですごいと思います。毎回の在庫商品の列記に道尾さんが楽しんでいるのが伝わってきます。三人それぞれのキャラが良かったのはもちろん、全編通して出てきた住職がいい味を出してました。最初の強欲なところも楽しかったのですが、最終話で「泣くな」と叱責するところ、そして蜜柑の接ぎ木の話はとても良かったです。それにしても道尾さんはいろいろな引き出しをお持ちで驚きます。
読了日:4月10日 著者:道尾秀介
美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)感想
澪は本当に強いです。もう少し人を頼ってもいいはずなのに、きちんと自分で考え気づき、行動を起こして道を開いていく。それも決して新しく始めることで迷惑をかけることもなく。いろいろなことがきちんとゴールに向かって動き始めたのがわかる巻です。辛い思いをした人もいますが、彼女にもきっと高田さんは優しいラストを用意してくださるのだろうと思います。巻末にもう出てこないのかしら、と思っていた気になるあの方の様子がわかる短編がついているのも嬉しかったです。続きが楽しみですが終わってしまうのが勿体なくも思います。
読了日:4月9日 著者:高田郁
それでも僕は夢を見るそれでも僕は夢を見る感想
夢を追い、夢を捨て、そして…。そんな一人の男のストーリーを鉄拳さんのイラストで綴った一冊。もしも、全く同じストーリーを文字だけで伝えられたならきっと素直には受け取れないと思うのです。パラパラ漫画同様にページをめくるたびに現れるイラストと一文が視覚で一瞬のうちに心の中に流れ込んできます。彼のイラストが与えるインパクトは凄いですね。優しい気持ちと切なさで読み進めたあとのラストの手紙は本当に熱いです。読みながらほとんど泣きそうでした。はい、私は今、生きています。そのことをあらためて考えます。
読了日:4月8日 著者:水野敬也
([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)感想
最初、ひらがな多用の文章に戸惑いましたがこれが独特の女性の語りの柔らかさを生んですぐに世界に入っていくことができました。ベネツィアの景色はもちろんのこと、登場人物達の会話がとても美しいです。もちろん美しいばかりではなく、例えば腕のPの字にピエタの現実を知らしめられたりします。ヴィヴァルディ氏の過去とクラウディア、ヴェロニカ。月日が過ぎ、繋がるべくしていろいろなことが繋がるとき静かな感動を覚えずにはいられません。全体を通してゆっくりと特別な時間の流れを感じる物語でした。
読了日:4月8日 著者:大島真寿美
5分で読める! ひと駅ストーリー 冬の記憶 西口編 (宝島社文庫)5分で読める! ひと駅ストーリー 冬の記憶 西口編 (宝島社文庫)感想
ひと駅ストーリーシリーズを初めて読みました。5分で読めるというだけあって短く、27人分ですからどれも薄味で印象に残りにくいかな、と思っていたのですが読み終わってみるとやはりいくつも印象に残る話がありました。林由美子「祈り捧げる」沢木まひろ「ファースト・スノウ」咲乃花音「クリスマス-ローズ」桂修司「断罪の雪」印象に残っている好みの作品を書き出してみるとどれも後味が切ないものでした。七尾さんのはお約束なんですか?ラスト一話、これだけ浮いてるような?いえ、嫌いというわけではありませんが…。
読了日:4月8日 著者:
攪乱者 (実業之日本社文庫)攪乱者 (実業之日本社文庫)感想
普通の日常生活を送りながらテロリストとしての一面も持つ3人。最初の指令はスーパーにレモンを置いてくること。これがどんなテロになるのか串本という仲間が推理しますが、最初から背筋が寒くなりました。証明はされないまま結果も語られないまま次々話は進むのですが、TURN2に入り指令を受ける細胞である彼らの側が感情を見せ始めると続きが気になって一気に最後まで読まされてしまいました。ラストの展開まで含めて石持さんらしい作品だったと思います。解説によると続編でもっと明らかになる部分があるとのこと、是非読もうと思います。
読了日:4月7日 著者:石持浅海
地獄と極楽地獄と極楽感想
「絵本地獄」を読んで「絵本極楽」もあるのを知りました。これは2冊を合わせて文庫化したもののようです。「絵本地獄」と比べると小さくなった分だけ迫力は落ちるかもしれませんが、このサイズの方が隅々まで見やすかったです(小さくても怖いです)。「極楽」は、死後徳を積んだ人が行けるところだと思って読み始めたので(親より先に死んではいけないはずの)子供の視点で描かれていることに戸惑いましたが極楽がどんなものかという定義が違っていて、心に残るものでした。極楽は美しい情景ですがやはり地獄の方がインパクトが強いですね。
読了日:4月6日 著者:西川隆範,宮次男
リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)感想
前作の雰囲気はそのままに今回は長編でカンボジアのストリートチルドレンが描かれます。「叫びと祈り」の中の一編とも取れるように意識して書かれたのでしょうね。今回もこの世界の描写には圧倒されました。日本に生まれ育てば遠い世界のことだと感じてしまうこの情景が日本人の少年が存在するだけで一気に現実味を帯びて伝わってきます。ミステリとして読むと、しっかり騙されたとはいえトリックありきでちょっともったいなかった気がしますがこんな表現のできるこの作家さんの感性はとても好きで、この先も注目していきたいと思いました。
読了日:4月6日 著者:梓崎優
殺戮ガール (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)殺戮ガール (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
いろいろな視点で、時間も前後して語られるいくつかの場面。それが上手く整列して実際に起こっていることがわかり始めるとき、この作家さんは読み手をつかむのが上手いなといつも思います。ただ、その場面が決してワクワクするとか解放感とかではなく何とも苦いものなのですが。今回も視点であった人物が次の場面では死体になっていたりして、真実に到達するのか心配しながら読み進めました。そしてたどり着いた先は…。彼女を形作ったものが出生だけだとは絶対思いたくない。ラストの彼と彼女が可哀想すぎですがこれが作者の持ち味なんでしょうね。
読了日:4月4日 著者:七尾与史
恋歌恋歌感想
女性の目から見た天狗党の乱。この時代の歴史はあまり得意ではなかったので最初は戸惑いました。でも、この手記を読むという形が大変読み易かったのです。なんて彼女たちは強いのでしょう、強くいられるのでしょう。母の強さは私にも理解できますが、恋する女も強い。この時代、歴史を変えるために必死だった人々も命を懸けて相手を想った。辞世の句の形をとった恋の歌たち。もはやいないことのわかっている相手への恋の歌。ひとつひとつの歌が本当に心に沁みました。女性の描く柔らかい文体なのに本当に力強いストーリーで圧倒されました。
読了日:4月3日 著者:朝井まかて
浜村渚の計算ノート 5さつめ 鳴くよウグイス、平面上 (講談社文庫)浜村渚の計算ノート 5さつめ 鳴くよウグイス、平面上 (講談社文庫)感想
解説の結城浩さんの「数学ガール」を読んだ後だとこのシリーズが本当に柔らかく噛み砕いてあってわかりやすいのを感じます。魔方陣、鳩の巣原理、パップス・ギュルダンの定理、ラストは放物線と接線。これがこんなに簡単に説明できるものなんですね(パップス・ギュルダンの定理のとこだけは、重心が簡単に求められる図形の方が少ないだろう!と突っ込みましたが、改めて円錐の美しさには感激しました)。さて、今回は気になっていた武藤さんの過去に触れていたり、ストーリーは少し進んで変化もあり、この後も長く続きそうです。続きも楽しみです。
読了日:4月2日 著者:青柳碧人

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