2014年11月の読書メーター
読んだ本の数:33冊
読んだページ数:11493ページ
ナイス数:2429ナイス


さよなら神様さよなら神様感想
同じ小学生を主人公にしていても、前作(読んでいなくても特に問題なし)がメッセージ性のある一応ジュブナイルだったのに比べ今回は純粋に大人向けだと思います。前作と主人公は違いますし、イケメン鈴木君の神様は犯人名を語るだけなのに底意地の悪さが増している気がします。前半は身近な殺人とはいえ穏やかに読んでいましたが、途中の「バレンタイン昔語り」でガツンとやられ、その勢いで最後まで引きずられ、さらにあの一文字とラスト一行に震えがきました。神様はゲームを楽しんだかもしれませんが、もちろん一番怖いのは神様ではありません。
読了日:11月30日 著者:麻耶雄嵩
純喫茶「一服堂」の四季純喫茶「一服堂」の四季感想
タ○ーラン?表紙絵にも安楽椅子探偵にも突っ込みました。そして読み始めたら本家以上に探偵が好きになれない!なんなのこの店主も店も!正直東川さんたら何を考えてるんだろう?でもテンポはいいしちゃんと本格してるユーモアミステリなのは流石、などと思いながら読み進めました。突っ込みつつ春夏の2つの短編を読み終え、なんだかめんどくさくなった3編目の秋。そして惰性で冬に突入して目をむきました。ごめんなさいごめんなさい!読み飛ばしたところはもう一度ちゃんと読み直します!少々グロイ描写もありますが軽く楽しめました。
読了日:11月29日 著者:東川篤哉
テミスの剣テミスの剣感想
渡瀬警部が若いころ担当したある事件は実は「冤罪」だった…。それを明らかにしたときその事件は、関係者はどうなるのか。人が人を裁くことの恐ろしさというのを嫌というほど突き付けられます。事件は冤罪を明らかにするところまででは終わりません。23年経ってさらに起こる事件。さらにラストの展開には驚かされました。メッセージ性だけではなく、この渡瀬警部を作ったともいえる一連の事件はミステリとしても上質です。堪能しました。検事の静おばあちゃんを始め別作品で見かけるメンバーがたくさん登場していることもファンには嬉しいです。
読了日:11月26日 著者:中山七里
最終陳述最終陳述感想
二人を殺めて強盗殺人罪に問われ、罪を認めていた男の最終陳述。突然傍聴席から犯人は自分だという声が上がる…被告人は無罪なのか、真犯人は誰なのか。中盤までは冗長と感じ苦戦しましたが、後半は先が気になって一気に読みました。裁判員裁判という状況ゆえ期限の関係で手続きは簡素化され、弁護人検事警察に加えて裁判員の思惑までもがぶつかり合いこんな状況で正しい裁判ができるのかという恐怖すら感じます。最終的に誰が何をしたくてどう動いているかは想像しやすいですが、提示される問題については改めて考えるきっかけとなりました。
読了日:11月26日 著者:法坂一広
かたづの!かたづの!感想
実在した東北の女大名(のちに清心尼)の歴史小説ではありますが、一本角の羚羊の角、かたづの様の視点から始まり、途中に河童などの助けもありファンタジー要素も含んで普通の歴史小説よりは読みやすいのではないかと思います。ただ史実に基づいているから仕方がないのですが、こんなに彼女は頑張っているのに時代の流れというものは本当に惨いもので読んでいて本当に辛く悲しい思いをしました。同じ史実に基づいていても彼女たちの気持ちがかたづの様や河童たちとの交流でもっと穏やかなものとして書かれていたらもう少し救われた気がします。
読了日:11月24日 著者:中島京子
神様の裏の顔神様の裏の顔感想
誰にとっても神様のような存在だった坪井先生。彼のお葬式に参列した人々の回想から話は進みます。それぞれの回想の重なる部分から読み手には「あれ?」と思う点が少しずつ出てきて、通夜ぶるまいで彼らが会話をするころには予想通りに裏の顔が…さあ、そして!…元お笑い芸人さんとのこと、ネタを作る感覚でお話ができているのでしょうか読み手を上手く誘導し振り回す運びは凄く上手いと思います。一気に読まされ、楽しめました。この本自体はものすごいインパクトのある作品ではありませんが、今後の作品の成長がとても楽しみです。
読了日:11月24日 著者:藤崎翔
3時のアッコちゃん3時のアッコちゃん感想
またアッコちゃんに会えて嬉しいです。相変わらずのパワーで元気をもらえます。前作同様に最初の2編がアッコちゃんとのお話で、後半二つはアッコちゃんは出てこないのですが、この後半二つも自分の考え方や目線を変えることで前向きで元気になれるお話でとても良かったです。アッコちゃんのお話、大好きでとても素敵なのですがワンパターンと言えば言えるので半分ずつにするのはちょうどよいのかもしれません。それにしてもウメチカってそんなすごいんですね。考えてみたら京都はよく行きましたが大阪を一人で歩いたことはなかったです。
読了日:11月22日 著者:柚木麻子
フリークス (角川文庫)フリークス (角川文庫)感想
精神病棟が舞台の3つの中編です。ホラーテイストですがしっかり本格で、2編目は別出版社で単行本でも出ていました。患者の目から語られる時点で既に何が本当のことかがわからないのですがそれを探りながらあっと思わせるところは流石だと思います。既読でしたが全く覚えていなかったのでぐるんと情景がひっくり返される醍醐味と作者ならではの味を楽しみました。表題作は特に作者の上手さを感じます。こんなテイストですが表紙絵のようなおどろおどろしさはなく、意外とあっさりと読めて読後感も悪くはなかったです。
読了日:11月22日 著者:綾辻行人
Wonderful StoryWonderful Story感想
犬にまつわるアンソロジー。凄く良かったです。伊坂さんは犬目線の昔話でお馴染みの犬たちのファンタジー。とても軽いけれど続きが気になります。大崎さんは小学生男子目線の家族を題材にした切ないお話。犬吠埼の扱いが見事です。木下さんはバター犬との3P強要なんてスタートながら短い中にも綺麗な伏線と回収のある後味爽やかなお話。横関さんは盲導犬を扱った優しく切ないミステリ。貫井さんのはなかなか壮大で面白いです。好みは大崎さんと横関さんかな。解説の「犬になってください」と編集者が頼んだ時のエピソードもとても楽しかったです。
読了日:11月21日 著者:伊坂幸犬郎,貫井ドッグ郎,犬崎梢,木下半犬,横関犬
再会 (講談社文庫)再会 (講談社文庫)感想
江戸川乱歩賞に何度もトライ後の受賞だけあり文章もしっかりとしてとても読みやすいです。視点が変わることによって現在と23年前の4人の状況が上手く伝わってきますし、必ずしも全てを4人が共有していないことから小出しにされる状況など展開も上手くぐいぐい引っ張られて読み進めました。後半少々強引だと思える部分はありますがこれがデビュー作と思ったら本当に良く書けているのではないかと思います。23年前と現在のそれぞれの哀しく辛い思いがしっかり伝わってきますが、不思議と読後感は悪くありません。他の作品も読んでみます。
読了日:11月20日 著者:横関大
公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
冒頭でぐぐっとつかまれるのですが、全てが分かり易いので意外と淡々と読んでしまいました。最後まで一気に読ませる力はあると思いますが、もうひとひねり欲しい感じで全体的にいまひとつ。グロさも同じレーベルにカエル男がある関係であまり印象に残らないです。化粧品会社の話や幼いころの話など中途半端に浮いてしまっているのも惜しいと思います。印象深かったのは「向う側とこちら側」という表現ですね。期待とは少し違いましたがこちらは隠し玉のデビュー作。今後を期待して続編も読んでみます。
読了日:11月19日 著者:堀内公太郎
丑三つ時から夜明けまで (光文社文庫)丑三つ時から夜明けまで (光文社文庫)感想
密室!といったら本格トリックを想像しますが、この本ではなんと不可能犯罪は幽霊の仕業。霊能力者で構成された静岡県警捜査5課が頑張ります。霊の設定はきちんとしており、捜査一課の「私」(霊感ありのキレモノです)が一緒に行動して人間側の捜査もするため単純ではないストーリーになっています。短編としてはどれも良かったですが「幻の夏山」がほろりとして好きです。メンバーのキャラが立っているのに活躍しきれていないなど全体を通してみると勿体ないなと思う部分も多いのが残念ですが、ラストの回収も余韻も見事でしっかり楽しみました。
読了日:11月19日 著者:大倉崇裕
はぶらし (幻冬舎文庫)はぶらし (幻冬舎文庫)感想
一章のラストで既に、無理っ!と思いました。でも沢山の方が読まれているのでなにかあるのかなとイライラしながらも最後まで頑張りました。私自身夫の仕事の関係で2歳まで親も頼れないほとんど母子家庭のような状況で子供を育てましたから、子供を一人で育てるのがどれだけ大変かは少しは分かるつもりですが、それでもこの選択は絶対ないです。十年ぶり?!よほど親しくても私には理解できません。主人公が中途半端に助けてしまうのもわからないではないけれどかえって良くない。ラストに少し救いがあったけど本当にこの読書は辛かったです。
読了日:11月18日 著者:近藤史恵
ずっとあなたが好きでしたずっとあなたが好きでした感想
表題作のラストの一行に、この表紙絵にそのオチなんだ、となんだか微笑ましく思ったスタート。短編13編収録ととても厚いので、なんで2冊にしなかったんだろうなどと思いながら一つ一つの恋愛ストーリーをのんびりと楽しんで読み進めました。途中少し感じるものはありましたが、それでも驚いたのが最後から二つ目。妙な納得と嬉しさに思わずいろいろ確認してしまいました。最終話もラストまで完璧です。本を閉じ、裏表紙の絵も堪能した後、あらためて見る題名と花束を持つ少年に一話読んだ後とは違う物語を見てつくづく上手いなあと感激しました。
読了日:11月18日 著者:歌野晶午
破門 (単行本)破門 (単行本)感想
黒川さんがテレビで、第五作「破門」を持ってこのシリーズを完結にしようとしていた、とお話されたのを見ていたのと、直木賞受賞作ということで必要以上にこの一作に期待をして読んでしまったかもしれません。相変わらずの二人の掛け合いと命を張った駆け引きはもちろん楽しめましたが、正直「疫病神」や「国境」の方が二人のパワーが感じられて好きです。直木賞はシリーズとして受賞されたと考えるのがいいのかもしれません。受賞作だからと今作のみ読んで楽しまれた方は是非シリーズの最初の方も手に取ってほしいと思います。
読了日:11月18日 著者:黒川博行
家守 (角川文庫)家守 (角川文庫)感想
光文社文庫版の加筆修正再文庫化だそうです。歌野さんの家にまつわる初期短編5編。「人形師の家で」の雰囲気が好き。「家守」は密室トリックは無理だろうと思うし被害者の事情にも想像がついたのですが、何気なく最初に戻って最初に見ていたものが全く違った光景だったことに気づいて驚きました。こういうのは流石上手いですね。「埴生の宿」「鄙」も何とも切ない事情が読み応えがありました。「転居先不明」はブラックですが身勝手さに自業自得だと思ったり。トリックや強烈なインパクトではなく、じわじわとくる余韻をじっくり楽しみました。
読了日:11月16日 著者:歌野晶午
殺人鬼  ‐‐逆襲篇 (角川文庫)殺人鬼 ‐‐逆襲篇 (角川文庫)感想
あの殺人鬼が山から下りてきてしまいました。前作は意外とさらりと読みましたがそれ以上のスプラッタ、とくに最初の小さな子供への描写はいけません。真面目にここで本を投げそうになりました。その後ももうエグイこと!絶対に読み返すなんてしたくなく、あまりどこの部分がどうなんて考えず、絵面で浮かぶ前にぐいぐい読みました。今回はちょっとSFが入ってきます。そのおかげでちゃんと見えていた伏線にあとから確かに「あっ」とは思いましたが、こちらの方がさらにミステリ要素は薄いですね。3作目への意欲もあるようですが私はもう十分です。
読了日:11月15日 著者:綾辻行人
殺人鬼  ‐‐覚醒篇 (角川文庫)殺人鬼 ‐‐覚醒篇 (角川文庫)感想
有名なホラービデオの世界がさらにパワーアップした形でここにあります。映像とは違うのでさらっと読める人はいいですが、そういうのが受け付けない方は絶対やめておきましょう。最初から何かが隠されているのは想像できます。十数年前に一度読んでグロさだけが印象に残った本作でしたが、今回は読んでいる間に違和感からそれを思い出しました。鋭い方は読んでいてある程度は気づくと思いますが巧妙に仕掛けられていますので、トリックを当てようとするよりスプラッタ描写に戦きながら一気に考えずに突っ走って読んで最後に驚く方がいいと思います。
読了日:11月15日 著者:綾辻行人
バリ3探偵 圏内ちゃん (新潮文庫)バリ3探偵 圏内ちゃん (新潮文庫)感想
バリ3圏内でなければ具合が悪くなるという引き籠りの圏内ちゃん。FXで生計を立てる彼女は小さなネットの情報から細かな個人情報まで集めてしまう特技を持っています。板での祭りへの参加やモラルはとりあえず置いておいて、要するに彼女が夫の助けを借りながらこの特技を生かして最終的に犯人を追いつめていくお話。新レーベルにこの表紙絵でどんな世界観かと思いましたが、適度にグロく伏線はバッチリプロローグから事件とのつながりも見事でいつもの七尾さんの世界そのものでした。残した部分があるので続きがあるのでしょう。期待しています。
読了日:11月14日 著者:七尾与史
THE 名探偵 (ジョイ・ノベルス)THE 名探偵 (ジョイ・ノベルス)感想
基本ミステリ読みなのですが、嵌ったのは新本格というジャンルが確立されてから。それ以前の古き良き名探偵たちの名作は正直どこから手をつけていいやらわからず形ほどしか触れてこなかったのでこの本を見たときに飛びついてしまいました。新かな新漢字に統一して下さっていますので底本よりかなり読みやすいと思います。それぞれの探偵の違った性格が短編からでもよくわかりました。独特の雰囲気を持つ仁木兄妹の「灰色の手袋」が好みです。恥ずかしながら初見の探偵さんもいまして別事件の活躍も読んでみたいと思いました。
読了日:11月14日 著者:江戸川乱歩,高木彬光,福永武彦,角田喜久雄,仁木悦子,戸板康二
([お]13-1)クローバー・レイン (ポプラ文庫)([お]13-1)クローバー・レイン (ポプラ文庫)感想
編集者が本にしたいと切に願う原稿に出会えても、簡単には本にはならない現実。出版後売れるまでの苦労。さらにそれが文庫になるためには…。私たちが平積みでなんとなく手にする一冊の本にはたくさんの人の思いが詰まっているのを教えられます。優等生の主人公が悔しさをバネに自分を省みながら成長していくところも良かったしのめり込んで一気に読みました。ずっと気になっていた伏線がラスト数行で回収されたときは思わず泣きそうになりました。大崎さんの人と人との繋がりを大事にされる、本にまつわるお話はどれも後味が良く好みです。
読了日:11月13日 著者:大崎梢
警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官感想
このミス受賞作。警視庁捜査二課で数字を精査する日々を送る通称電卓女郷間綾香。彼女が突然銀行立てこもり事件の指揮官に任命され…。タイトスカートにピンヒール、ちょっとした仕草などがいかにもドラマにありそうな設定ではあります。前半はキャラのはっきりした魅力的な脇役に支えられ背景を想像しながらぐいぐいと読み進められました。事件の動機や結末などは、歴史問題を扱ったりコメディぽい軽さもあったりで中途半端な感じも受け、伏線もあからさまですので後半失速した感はあります。ですがこれがデビュー作、今後の作品が楽しみです。
読了日:11月13日 著者:梶永正史
どこの家にも怖いものはいるどこの家にも怖いものはいる感想
5つの怪談の短編集なのですが、それが作家と彼のファンの編集者のところへ偶然集まったどこか共通点のある5つ…実話?という構成が恐怖を煽ります。「赫眼」がめっちゃ怖かったのでこちらのひとつひとつのお話はそれほど恐怖は感じませんでしたが、最初のお願いと参考文献がやたら怖いです。ミッシングリンクらしきものを二人が追うミステリ仕立てになっていて、なんだかすっきりしないけれど踏み込みたくないというラストの展開と余韻が流石だと思いました。「残穢」と比べてる方が多いですね。私は「残穢」の方が怖かったです。
読了日:11月12日 著者:三津田信三
ねじまき片想い (~おもちゃプランナー・宝子の冒険~)ねじまき片想い (~おもちゃプランナー・宝子の冒険~)感想
玩具メーカーの敏腕プランナー富田宝子。彼女が片想いの相手のために密かに頑張るミステリ仕立てになっています。とても読みやすいのですが、片想い相手が柚木さんらしいダメ男なので好きになれないし、いくら恋は盲目とはいえカードを返却してもらう手段などあまりにも身勝手で宝子自身にもイライラしました。恋愛無しで仕事のピンチを救っていくようなお仕事小説じゃダメだったのかな。私には合いませんでしたが会社のメンバーや友人の個性的なキャラはとてもよかったので、そういうことを気にしない方は柚木さんらしいお話を楽しめると思います。
読了日:11月12日 著者:柚木麻子
特捜班危機一髪 警視庁特捜班ドットジェイピー特捜班危機一髪 警視庁特捜班ドットジェイピー感想
ドットジェイピー2作目。前作同様、くだらない、と思ってしまえばそれで終わり。でもこの馬鹿馬鹿しさがとても楽しいのです。前回ドットジェイピーに恥をかかされた形の都知事がメンバーの一部入れ替えを目論んで、新メンバーを投入します。もちろん都知事のもくろみ通りに事が運ぶわけもなく…。香連の描く同人誌(腐)の描写に爆笑しました。エピローグの一之瀬にも。全くの続きの話なので、前作を読んでからの方がいいと思います。作者には迷惑以外の何物でもないですが、あとがきから逆にジャーロの加筆修正前バージョンに興味が湧きました。
読了日:11月12日 著者:我孫子武丸
ナイト&シャドウナイト&シャドウ感想
エリートSP首藤がアメリカのシークレットサービスへ研修に出向いた間のひとつの事件の話です。彼はほとんど超人的で研修の身ながら現地のメンバーを超えるほどの活躍を見せ本当に格好良く、危機にも安心して読め、とても楽しいです。相棒のバーン捜査官が変わっていく所もいいですね。柳さんはこのタイプのお話は本当に上手いと思います。さて、まだ彼らが気づいていない黒幕の存在が読者には明かされていますが、これとラストの一行が意味するもの…時代も考えるとその件の続編があるのでしょうか。事件が大きすぎて読むのが恐ろしい気もします。
読了日:11月10日 著者:柳広司
伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社ノベルス)伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社ノベルス)感想
シリーズ4作目。人によっては嫌うであろう数学の薀蓄がトリックと無関係でないこともあって私は結構好きです。もうこの方のトリックは実現はどうなの?って形が多くて想像ができません。でも机上の空論を振りかざすのも味だと思うし、楽しんできました。今回はシリーズ通じて明らかにされるべき過去の事件や繋がりについて転換期に来ているようなのですが…ラスト、百合子によって指摘されたことにはそちらの方向に話が行くとは想像していなかったので唖然としました。ここまで楽しんで読んできたけれど今後続けて読むかはちょっと考えます。
読了日:11月9日 著者:周木律
アポロンの嘲笑アポロンの嘲笑感想
読み友さんからのご配慮で、この話が震災を扱っていることを事前に知りました。おかげでダメージは少なく済みましたが、やはり震災をエンターテイメントとして読むのはまだとても辛いです。話は混乱の時期に起きた殺人事件の被疑者が逃亡を図り、事故直後の原発へ向かう事から始まります。疾走中の彼の目から描写される立ち入り禁止区域の状況、原発で働く人の実態には震えが来ます。彼の目的は何なのか、徐々に明らかになっていく事情に一気読みさせられてしまいましたが、強烈なメッセージの込められた直球勝負の作品です。事前の覚悟が必須です。
読了日:11月9日 著者:中山七里
裏切りのステーキハウス (幻冬舎文庫)裏切りのステーキハウス (幻冬舎文庫)感想
ステーキハウスでのほんの数時間のお話。登場人物も限られ、それほど変わった展開が起こるとも思えないのですが、そこは舞台脚本を書いてきた木下さん、狭いステージの中を見事に振り回してくれます。後半は考える暇もないほど話はぐいぐい進みひっくり返され…ものすごいスピードで読み終わってしまいました。強烈なインパクトを残すようなラストではありませんが後味も悪くありませんし、何も考えずに本の世界にのめり込みたいときはピッタリかと思います。
読了日:11月8日 著者:木下半太
神様ゲーム (ミステリーランド)神様ゲーム (ミステリーランド)感想
ミステリーランドだけれど、あまり子供に勧めたくない展開…人が亡くなるシーンとかトラウマになりそうです。子供が主人公なのも重いですよね。小さな日常の出来事や名前もいちいち突っ込みたい。本当に学校の図書館にあるのかしら。そんなことを思いながら読み進めていったラスト。一瞬息を止めました。叙述トリック以外でこんなに驚かされるとは思ってもみませんでした。読後戻ったりして思わず納得できる答えを探してしまいました。どうやら読者である私が神様とのゲームに参加させられたようです。このインパクトはきっと忘れないでしょう。
読了日:11月6日 著者:麻耶雄嵩
文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)感想
内容もみっしりの大変読み応えのある本でした。いくつかの事件がそれぞれ別の形で関わったメンバーの口から京極堂のもとに集まると、隠れたストーリーが現れてきます。「魍魎」の意味するところ。ちょうどよい「匣」。息を詰めるようにして読み進めたラストの対決の後に残ったのは哀しさとやりきれなさ。境界を超えてしまった人間の嫌な部分悲しい部分を見せつけられたのにも関わらずなぜかストーリーに美しささえ感じるのは、匣の少女を見せる冒頭シーンとラストシーンがとても印象的だからでしょうか。「人を辞める幸せ」に妙な説得力を感じます。
読了日:11月6日 著者:京極夏彦
銀翼のイカロス銀翼のイカロス感想
航空会社の再建。そして政界。読んでいてイライラするほどの保身と隠蔽、明らかなトカゲの尻尾たち。一気読みさせられる勢いは健在ですが、あまりにもドラマが印象的すぎて頭の中は堺雅人にミッチーに愛之助さんの姿と声が飛び交います。前三作を読んでいるときと違ってまるでドラマのシナリオを読んでいるようでした。そんな中今回は中野渡、富岡の二人が印象的です。黒崎も言葉だけでなく少しイメージが変わりました。これだけ綺麗な勧善懲悪だと、銀行の内部を知るというより完全フィクションとしか思えなくなってしまったのが少し残念です。
読了日:11月2日 著者:池井戸潤
うぶめ (京極夏彦の妖怪えほん)うぶめ (京極夏彦の妖怪えほん)感想
怪談えほん「いるのいないの」で強烈なインパクトをくださった京極さんが得意な妖怪をテーマにシリーズとして立ち上げた妖怪えほんシリーズの1冊目。弟か妹が生まれてくるのを楽しみにしていた主人公。ところが弟も妹も生まれてきませんでした。お母さんも戻ってきません…そして彼は夜、泣き声を聴くのです…母親という立場では読むのがとても辛いです。でも彼に対応するお父さんが切なくも素晴らしかった。挿絵の雰囲気にも圧倒されました。シリーズには楽しい話もあるようですので是非手に取ってみたいです。高学年~一般向けとのこと。
読了日:11月2日 著者:京極夏彦

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