2014年12月の読書メーター
読んだ本の数:25冊
読んだページ数:7663ページ
ナイス数:2208ナイス

家族シアター家族シアター感想
家族にまつわる短編集。印象的だったのは母子の関係を描いた「私のディアマンテ」私も「お母さんの頃とは違うんだからわかった風に口を出さないで」と言われることがあります。物語のあの状況で私が最良の方法を取れるかと言ったら自信はありません。少なくとも彼女と同じようにはできないでしょう。兄弟の話もどれも自分の妹との関係を思い出していました。兄弟姉妹の距離、夫婦の距離、親子の距離。短編の中にそれをギュッと詰めて表現する辻村さんの上手さを感じます。どの短編からも家族の良さやありがたさが最後にじんわりと響いてきました。
読了日:12月31日 著者:辻村深月
小野寺の弟・小野寺の姉 (リンダブックス)小野寺の弟・小野寺の姉 (リンダブックス)感想
40歳の姉と33歳の弟。早くに両親を亡くした二人が20年近くたった今でも一つ屋根の下でお互い独身で過ごしています。近くにいながら干渉しすぎずそれでも十分に相手を思いやる二人の関係が、視点が交互に入れ替わることによって読み手には手に取るようにわかります。他人から見たらいい年をして、という状況かもしれない。でも二人の関係がすごく良かったのです。最後のシーンの封筒にじんわりとして、ラストの一行にほろっと涙がこぼれそうになりました。こんな優しい姉弟ならきっと明るい将来が待っていると信じたいです。→
読了日:12月30日 著者:西田征史
怪しい店怪しい店感想
お店にまつわる、殺人事件から日常の謎までの作家アリスの短編集です。いつも通り二人の掛け合いは楽しく短編ゆえに強烈なインパクトこそありませんが、相変わらず綺麗な文章で安定した作品を届けてくれます。実際に「怪しい」のはやっぱりラストの「みみや」ですね。好みはアリスが古書店で出会った小さな謎を電話で綺麗に火村が解いてしまう「燈火堂の奇禍」。シリーズには珍しい倒叙形式の「ショーウインドウを砕く」。そして「潮騒理髪店」はとにかく読んでみて、といいたい美しさです。例え短編でもこのシリーズは読後幸せな気持ちになります。
読了日:12月29日 著者:有栖川有栖
Nのために (双葉文庫)Nのために (双葉文庫)感想
ある解決済事件に居合わせた4人が10年後それぞれの視点から過去をそして事件を振り返ります。誰もがすべてを共有しているわけではなく隠していることも知らないこともあるために少しずつ事件の本当の姿が浮かんでくるつくりはとても好みです。大切な人のために純粋に彼らは行動していますが、物語が見せるNと実際のNは同じでしょうか?本人すら気づかず彼らは実際は巧妙に自分の過去を顧みて自分自身のために動いているのでは、と思いあたった時、湊さんの物語の見せ方に舌を巻き不思議に思った一章の独白とラストシーンも腑に落ちました。
読了日:12月28日 著者:湊かなえ
うえきばちですうえきばちです感想
読友さんの感想を拝見して気になって仕方がなくなり図書館の児童書コーナーへ。うえきばちがあったので、あるものをうえてまいにちみずをやりました。めがでてはがでてはながさいて…そのあとは?なんともシュールです。でもこの発想はなんか悔しい(笑)。そしてもう一度うえると…!!!大人と子供ではきっと受け取り方が違うと思います。私は「うわあ」と思ったけれど子供は意外と素直に楽しみそうですね。
読了日:12月28日 著者:川端誠
みんなの少年探偵団 (一般書)みんなの少年探偵団 (一般書)感想
子供のころ夢中になってシリーズを読みふけった方にはこの装丁はたまらないのでしょうが、当時私はこの表紙絵が怖くて(笑)。何かの機会に何話か読んだ経験がある程度ですが豪華執筆陣に惹かれて手に取りました。好みは万城目さんと湊さん。このような短編でも力を感じられるのは流石です。どの作家さんからもシリーズへの愛が作品を通して伝わってきて、逆にこの機会に原作の方をきちんと読んでみたくなりました。江戸川乱歩生誕120年記念プロジェクトとのことでまだこの後企画があるようですのでそちらも是非手に取ってみたいです。
読了日:12月27日 著者:万城目学,湊かなえ,小路幸也,向井湘吾,藤谷治
鷹野鍼灸院の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)鷹野鍼灸院の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
鍼灸院という舞台設定に惹かれて手に取りました。期待通り鍼灸院の日常や施術、鍼灸専門学校で扱われていることや学校生活などとても興味深く読むことができました。読後知ったのですが作者自身が鍼灸師でもいらっしゃるということで生きた描写に納得です。分類としてはありがちな日常の謎系で事件としては重くてもミステリとしてはとても軽いです。むしろお仕事小説として主人公の成長や日常を楽しみました。実はこのミス受賞作の方は挫折しているのですがこちらは軽く楽しめましたのでシリーズになったらまた手に取ってみたいです。
読了日:12月27日 著者:乾緑郎
クリスマスのぶたぶたクリスマスのぶたぶた感想
12月24日と25日の二日間、サンタの格好をしたぶたぶたさんがプレゼントの配達をしています。それぞれの時間、それぞれの場所でぶたぶたさんに出会ったりすれ違ったりした人たちのショートストーリーで話は進み、出会う彼らと同様にシリーズ初読みの私も驚き、不思議に思い、でもほのぼのと癒されながら読み進めました。最後まで彼の詳細には全く触れられないまま終わるのかと思いましたが最終話はちょっと違って…またそのお話が最終話であることがとても良かったのです。すっかり彼に惹かれ、シリーズの別作品も是非読んでみたくなりました。
読了日:12月25日 著者:矢崎存美
クリスマスの4人 (光文社文庫)クリスマスの4人 (光文社文庫)感想
1970年20歳のクリスマスの夜、4人が引き起こしてしまった死亡事故を隠蔽してしまいます。必然か偶然かその後10年毎のクリスマスイブに集まるたびに起こる不思議…。謎が気になる割になぜか淡々と読めてしまいます。途中で違和感からもしかしたら、という思いはありましたが真相はちょっと違う方向なので人によっては好まれないかもしれません。ラストは綺麗に終わっているように見えますが実際の私の頭の中はいろいろなことを考えてぐるぐると落ち着かないままとなりました。なかなか経験しない読後感です。
読了日:12月25日 著者:井上夢人
仔羊たちの聖夜(イヴ) (幻冬舎文庫)仔羊たちの聖夜(イヴ) (幻冬舎文庫)感想
時系列ではシリーズ三作目。視点はタックですが今作では探偵は完全にタカチに移っています。二人の関係も少し変わっていきますね。イブの夜の飛び降りを追いながらタカチが見つめていたものは…。普通ではないタカチが何度も登場します。隠されていた嫌な部分が明らかになったあと、更に論理的にタカチによって導き出される過去の事件の真相はさらに苦いです。再読なので油断していたのですが、西澤作品に時々現れる歪んだ親子関係は最初読んだ時と違って、親の方からという違う目線でも見ることになり重さもひとしおとなりました。
読了日:12月23日 著者:西澤保彦
クリスマス・イヴ (講談社文庫)クリスマス・イヴ (講談社文庫)感想
岡嶋作品ですがミステリ要素はなく純粋なホラーサスペンスですね。山荘でのクリスマスパーティに呼ばれたカップルが到着するとそこは既に惨劇のあとだった…その後「13日の金曜日」を彷彿とさせる恐怖が襲ってきます。ジェイソンと比べても少し前に読んだ綾辻氏の「殺人鬼」(←これが強烈すぎるけど)と比べても相手が人間らしく感じるので襲われる恐怖や痛さは私には想像より少なめで、むしろ逃げている間の雪の中の寒さや川の水の冷たさを痛いほどに感じる読書となりました。リーダビリティは抜群です。読み始めたら最後まで一気でした。
読了日:12月23日 著者:岡嶋二人
悪いうさぎ (文春文庫)悪いうさぎ (文春文庫)感想
葉村シリーズ3作目。女探偵ですががっつりハードボイルド展開です。彼女の尊敬すべき点は何があっても後ろ向きにならない所。読んでも読んでも真相に近づいて行っている気がしないし、物凄く酷い後味が待っているんじゃないかと途中で心配になりながらも、先が気になって一気に読みました。最初から気になっていた題名の悪いうさぎの意味はこの表紙絵からは想像できません。全体にもうちょっと短くても良かったと思いますがそれでもよく計算されていると思います。一見どうでもよいラストの村木から受けた脱力感が後味を和らげてくれた気がします。
読了日:12月22日 著者:若竹七海
テロリストのパラソル (文春文庫)テロリストのパラソル (文春文庫)感想
乱歩賞と直木賞のW受賞作ということでハードルを上げた状態で読み始めたのですがこれは良かったです。アル中のバーテンがいきなり爆弾テロの渦中に!アル中だというのに彼はとても魅力的。記録を残さないために暗記するところなど痺れますね。塔子ももちろん。でも彼ら以上に私が惹かれたのは浅井です。もう恋でもしそうなくらいに。彼らに限らず関係者はみんな賢くてドキドキしながら読み進めました。伏線は綺麗ですしラストにすべてが綺麗に絡む部分は圧巻です。久しぶりに読後感まで十分満足の美しいハードボイルドに出会えました。
読了日:12月21日 著者:藤原伊織
サキ短編集 (新潮文庫)サキ短編集 (新潮文庫)感想
O.ヘンリ、と同じような綺麗に落とす短編を書かれますが、日本では知名度は低いですね。サキのほうが同じように落としてもブラックで教訓も何もない状況が多い気がしますのでそのあたりで好みがあるのかもしれません。この短編集には21の短編が収められていました。中でもやはり「開いた窓」は秀逸だと思います。最初の「二十日鼠」のような笑ってしまうものもいいけれど、「宵闇」「七つのクリーム壺」のようなラストにぐっと絶句してしまうようなのものが意外と好きでした。いつか再読もしたいと思いますし、他の短編集も読んでみたいです。
読了日:12月19日 著者:サキ
穴感想
芥川賞は読みにくいものだという感覚がありますがこれは読み易い方だと思います。表題作の持つ、何を信じていいのか足のついている地面をグラグラっと揺すられ放り出されるラストの展開と独特の雰囲気は、読後じわじわと聞いてきて私は結構好きです。連作短編の形になっている残りの二編は「いたちなく」のラストの衝撃がなかなか良かったので続きがない方が…と最初は思ったのですが同様に読後、対比するものやバランスを思ったときやっぱり続けて一つの話だと納得しました。表題作も後半二編も主婦という立場のほうが共感しやすいかもしれません。
読了日:12月17日 著者:小山田浩子
ダンデライオンダンデライオン感想
シリーズ三作目、今回もまず現れるのは空を飛んでいる途中で殺され、そのままの形でミイラ化したとしか見えない女性遺体というインパクトの強さ。彼女が双子であること、途中に挟まれる彼女視点の16年前、さらにシリーズキャラとして個性的で目を惹いていた姫野刑事(ヒメ)の過去と絡みリーダビリティの高さには感心します。伏線やラストの展開は書き方によってはもっと良くなったのではないかとは思いますが、デビュー三作目とは思えないそつのない上手さを堪能しました。シリーズの今後も、作者の成長も含めてとても楽しみです。
読了日:12月17日 著者:河合莞爾
悟浄出立悟浄出立感想
また変わったところ(いいところ)に目を付けましたね。すごく楽しかったです。中国の古典に現れる脇役に焦点をあてた作りで、実際彼らがそう考えていたかも、なんて思うと本編を見る目も変わりそうでワクワクします。ただ、そういう作りですので、実際に古典を読んだりしていなくても「三国志」「西遊記」のあらすじ程度と、司馬遷が何で有名かとかは知っていた方が楽しめる、というか知らないとただの平易な話に感じてしまうかも。沙悟浄や趙雲の本心も楽しかったけれど、一番インパクトが強かったのは四面楚歌の中の虞美人です。圧倒されました。
読了日:12月16日 著者:万城目学
依頼人は死んだ (文春文庫)依頼人は死んだ (文春文庫)感想
連作短編の形をとっていますが物凄く短いものもありそれぞれ短編としても秀逸です。どれも人間の嫌な部分を炙り出し、しかもフォローもなく終わるという何とも後味の悪い短編ばかり。前作「プレゼント」の影を引きずり、それによる主人公への仕打ちに至っては読み手まで悲しくなります。最終話にちょっとオカルトっぽい部分があったのが好みとは違いましたが、飄々と物語を綴りながらも読み手を惹きつけ突き放す作りには本当にこの作家さんの上手さを感じました。決して楽しいだけの読書ではないのにシリーズ続きがとても気になります。
読了日:12月15日 著者:若竹七海
あつあつを召し上がれ (新潮文庫)あつあつを召し上がれ (新潮文庫)感想
気になっていましたが機会がなく初小川糸作品です。ひとつのメニューに関わった短編が七つ。絶賛されている方が多いのですが、「親父のぶたばら飯」以外はどれも私には後味が切なかったり重かったり、薄い本なのに結構しんどかったです。中でも亡くなった母親の方に自分を重ねてしまった「こーちゃんのおみそ汁」はすごくきつかった。手放しで絶賛されている人たちはきっと自分がとっても幸せなんだと思います。ごめんなさい、もっと余裕のある時に読むべき本でした。楽しみにしていたので残念です。
読了日:12月15日 著者:小川糸
Xの悲劇 (創元推理文庫)Xの悲劇 (創元推理文庫)感想
学生時代に堪能して以来のご無沙汰のクイーン作品です。翻訳によってずいぶんと読み易さに違いがあった気がしたのですが、手元のものやアマゾンのプレビューなど3人ほど翻訳を比べてみましたがあまり差は感じませんでした。一度読んでいるものだからでしょうか。むしろ私の年齢では創元推理文庫版の字の小ささが辛くなりました^^;。ミステリ好きとしては二番目の殺人から想像するものはありますがそれでもとても真相には到達できません。一人で抱えてないで…と思いつつぐいぐいと引っ張られる後半は圧巻でレーンの魅力を存分に楽しみました。
読了日:12月14日 著者:エラリー・クイーン
幻視時代 (中公文庫)幻視時代 (中公文庫)感想
18年前の写真に、その4年前に亡くなった人が写っているという中々ショッキングなプロローグ。タックタカチシリーズのように、後半は作家と書評家と編集者という3人が集まって飲み食いしながら(こちらは酒豪ばかりではありませんが)推理を巡らせることで真相を考えていく手法になっていました。推理の途中で私にも真相は想像がつきましたが、悲痛な叫びが聞こえてくるようでとても痛かったです。例によって想像の域を出ずに終わりますがすとんと腑に落ちるエピローグで納得の西澤作品でした。ただ幽霊の存在意義だけはちょっと甘い気がします。
読了日:12月11日 著者:西澤保彦
法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)感想
虫が苦手なので読むのを躊躇したのですが昆虫法医学に惹かれて。最初の死体解剖時の描写は顔をしかめたくなりますが思いがけずダメージは少なく読み続けられました(あいつらは飛んでくることはないからかも)。テイストとしては「科捜研の女」ですね。昆虫法医学という分野はもちろん昆虫の生態についても凄く興味深く読みました。女性法医学者も刑事もキャラが生き生きと描かれとても読みやすかったです。ラストの展開だけはとても悲しくなりましたが、シリーズの続きも是非読んでみたいと思いました。最初の描写さえ乗り切れればお勧めです。
読了日:12月11日 著者:川瀬七緒
クロノ・モザイククロノ・モザイク感想
わけのわからないうちに現在と未来を行ったり来たりさせられるタイムジャンパーとなってしまった主人公。見てしまった未来を阻止するために奮闘します。自分の意志でタイムジャンプするわけではないので前半は少々読みにくかったのですが、後半過ぎある人が出てくるあたりから突然話に筋が通ったように感じて一気に読みました。恋愛部分も良かったと思います。SFはともかくファンタジー要素があまり好みではなく最終的に必然性については納得できなかったのですが、ひょっとしたらもう一冊出て補完してくれるのかもしれず、気になるところです。
読了日:12月10日 著者:二階堂黎人
マスカレード・イブ (集英社文庫)マスカレード・イブ (集英社文庫)感想
マスカレードホテルの前日譚ですね。短編集の形になっていてフロントクラークの山岸も、刑事の新田もまだまだ若いです。もちろんこちらから読んでも問題はないのですが、これを単品として読むのは短編集ということもあってかなり軽く物足りなく感じる人もいるかもしれません。私はこの軽さをさらっと楽しみましたが、文庫でいきなり出たのもなんとなく納得します。二人の過去はそれぞれこんなだったのね、とか表題作のエピローグでニヤリとしたり、ホテルの方を読んでいるゆえに楽しめた部分も多いのでこれから手に取る方は是非ホテルからどうぞ。
読了日:12月10日 著者:東野圭吾
翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)感想
多少予想はしていたものの彼の登場と退場のタイミングには吃驚しました。もちろんストーリーとしては純粋に新本格らしい前半と無理やりな推理をぐるぐるひっくり返す後半と素直に楽しんで読めました。でも真相というべき一番最後のどんでん返しだけは読者としてはずるいと思います。当たり前のことながらなんとなく新鮮だったのが、犯人は正しいことを言うとは限らないということ。これが21歳で書いたデビュー作とは本当にすごいと思います。ペダンチックな部分も人を選ぶのかもしれませんが私は好きです。作者のミステリへの愛が伝わってきます。
読了日:12月2日 著者:麻耶雄嵩

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