2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:7483ページ
ナイス数:2702ナイス


照柿〈下〉 (新潮文庫)照柿〈下〉 (新潮文庫)感想
わかってはいましたが、暑い…暑苦しい。合田シリーズの2冊目なのですが、これを警察小説とするのは無理がありますね。野田が追い詰められ熱に浮かされ夢と現の区別もつかないような状況でうろうろする様子は一緒に熱を感じてとても苦しかった。残念なのは合田の執着が突飛で理解できなかったこと。一課内での合田の苦悩に加えて、野田の劣悪な労働環境や過去の話もあるので男女間の話は野田サイドだけで十分「断末魔の悲鳴の色」を堪能できると思うのですが、ラストの手紙から考えるとこういう細かい心情が後作品に繋がるのでしょうか。
読了日:8月27日 著者:高村薫
照柿〈上〉 (新潮文庫)照柿〈上〉 (新潮文庫)感想
過剰に思えるほどの工場の描写。ねっとりと絡みつくようにこの世界に引きずり込まれます。このいかにも!という高村節が合わない人は全く合わないだろうなと思います。私も高村作品に出会ったばかりの頃はこれが目が滑って読みにくかったのです。でも今回はなぜかこれが高村作品を読んでいるという安心感を感じさせてくれました。それにしても、今回の合田はちょっと腑に落ちません。そもそも私、恋愛もの苦手なので…。さて後半では事件の本質等どんな展開を見せてくれるでしょう。続けて「下」へ。
読了日:8月25日 著者:高村薫
笑う警官 (ハルキ文庫)笑う警官 (ハルキ文庫)感想
登場人物が多く最初混乱しましたが、乗ってしまったら一気でした。警察の隠蔽体質、上下関係など警察小説にはよく出てくることなのですが、濡れ衣を着せられた上に射殺命令とは想像以上です。ここへ仲間への信頼だけで真っ向から立ち向かっていく彼らと、長くて短い24時間をドキドキしながら一緒に走り抜けました。佐伯は本当に切れる男ですね。もう少し先まで読みたかったと思いましたが、シリーズものなのでここで切るのが正解なのかもしれません。彼らの先の活躍も読んでみたくなりました。題名は私はもとの「うたう警官」の方が好きです。
読了日:8月22日 著者:佐々木譲
隣人の死体は、何曜日に捨てればいいですか? (メディアワークス文庫)隣人の死体は、何曜日に捨てればいいですか? (メディアワークス文庫)感想
インパクトのある題名と「謎が事件を呼ぶ猟奇ミステリ」との紹介。グロイのは苦手じゃないのですが、この本の嫌なのはそこじゃなかった。近隣五世帯が犯罪に対して連帯責任を負うという五人組。近隣と言ってもお互いによく知らない者たちで勝手にセットにされたらどうなるか。面白い設定だと思うし一応謎もあったりしますがとにかく読んでいて楽しくないです。人がこんなになれるのかと思うと心底気持ち悪い。そもそもイヤミスって好きじゃないから知ってたら手に取ってなかったです。力はある作家さんだと思うので次は別のタイプのミステリを是非。
読了日:8月20日 著者:伊原柊人
臨場 (光文社文庫)臨場 (光文社文庫)感想
ドラマを見てしまっているので倉石が内野さんになってしまったのですが、もし見ていなかったら全く別のイメージだった気がします。設定も少し違いますし、口癖と書かれていますが「俺のとは違うな」のセリフは出番が少なかったです。倉石は検視官という立場から事件に挑み鋭い推理を見せますが、解決に至るまでの経緯もきちんと書かれ、小説では短編それぞれ主役が違うことで事件だけでなく人間関係にも比重を置いて、短編一つ一つがとても読みごたえのあるものになっていました。倉石という男をもっともっと知りたくなりますが、この先の彼は…?
読了日:8月19日 著者:横山秀夫
誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)誰も僕を裁けない (講談社ノベルス)感想
プロローグでの法廷場面。東京と埼玉の地名を活用した名前。いかにも○りそうな館。連続殺人と並行して語られるもう一つの事件。どこがどう繋がるのか?と考えて読んでいましたが、あれとかあれとかいろいろギュギュッと詰め込んであって、なんかもう参りました、って感じです。処女作とか前作とか絶対受け付けない人もいるシリーズだったはずなのに、その手のことは薄めでむしろ社会派?しっかりと計算されて作られているのが伝わってきて、なんだか「悔しい」です。こんなにしっかりしたミステリだったとは。これで次も手に取ってしまうでしょう。
読了日:8月17日 著者:早坂吝
果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)感想
ムカツク嫌なエリートだった竜崎も前作を経て左遷され、所轄の署長となりずいぶん変わりました。キャリアでありながら現場に出る。所轄の人間にとっては最初は煙たいだけの男も自分の信念に従って動き彼らの信頼を得ていきます。この経緯がいろんな失敗などを含んでわざとらしくなく、すごく人間らしくて気持ちがいいのです。今回も家庭での問題が浮上しますがやはり奥様が素敵でため息が出ます。家族との関わりもちゃんと変わっていっていますね。本部とのやりとりや事件解決までの経緯にも夢中になって一気に読みました。楽しい読書タイムでした。
読了日:8月17日 著者:今野敏
探偵・日暮旅人の探し物 (メディアワークス文庫)探偵・日暮旅人の探し物 (メディアワークス文庫)感想
視覚しかない、五感のうちの残りの4つは何らかの形で視覚で感じ取るという旅人。「愛」さえも見えてしまう彼の世界はどれほどきついでしょう。自己犠牲もいとわず探し物の探偵として動きます。一緒に暮らす園児のテイ。担任ではないものの関わりを持つことになった保育士の陽子。日常の謎モノと思っていたお話が、メインはそこではなく過去まで含んだ壮大な人間関係のお話と分かってくる頃には、ふわふわと優しいだけと思っていた旅人に私が見ている色も変わってきました。魅力的な周りの人たちを含めたくさんの謎の行方がとても気になります。
読了日:8月17日 著者:山口幸三郎
ドラゴンクエスト30thアニバーサリー ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ! /原著 堀井雄二 (SE-MOOK)ドラゴンクエスト30thアニバーサリー ドラゴンクエスト名言集 しんでしまうとは なにごとだ! /原著 堀井雄二 (SE-MOOK)感想
1から8までプレイしているので、これは本当に楽しかったです。名言とともにその場面の画像が載っているのでプレイしていたその空間ごと思い出して楽しみました。堀井雄二さんのひとことが思いがけない裏話も聞けてニヤニヤしてしまいます。限られたシステムの中でどれだけプレイヤーに配慮して作られてきたかが伝わってきました。1~6までのものが多いので、前半をプレイした人の方が楽しめるかと思います。もう一度プレイする気力はもうありませんが、思いがけなく素敵な思い出に浸れました。
読了日:8月16日 著者:.
海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)感想
石油がどれだけ人々の生活と直結し、必要なものであるかはわかっていたつもりですが現在の状況があるのは彼が、そして彼についていった男たちがいたからであることを見せつけられ、日章丸事件の部分では読んでいて涙が出そうでした。経済統制と自由競争。今の日本は彼のような人たちによって作られてきたのですね。人間尊重の精神を貫き通した彼のような人物がいたことに感嘆し、今の時代にそれができる人や会社がどれだけあるのかも考えさせられました。このように読み易い小説の形でこの実話を知ることができたことを嬉しく思います。
読了日:8月15日 著者:百田尚樹
海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)感想
凄い男がいたものです。戦前戦中戦後と、ずっとゆらぎがありません。「馘首はならん」で始まるのはまさしくこの男の信念を一言で表しているようなもの。戦後の混乱期を乗り越えるために彼の部下たちがどれだけ彼を信じ本気で動き、働くか、一章でそれをまざまざと見せられた上での時系列を戻しての第二章。もし時系列順に読まされたら読みにくいかもしれない戦前戦中の部分が時系列を逆転させたことで納得のいくものとしてすんなりと入ってきます。百田さんの読ませる技術も凄いと思います。さて「七人の魔女」とは...?
読了日:8月15日 著者:百田尚樹
小説 君の名は。 (角川文庫)小説 君の名は。 (角川文庫)感想
あらすじから入れ替わりの物語であることは分かっていました。ただよくある物語と違うのは、彼らは夢と共に入れ替わり、別々のところにいて接触できないことなのです。次第に入れ替わり時にノートやスマホにメッセージを残すことによってなんとか交流をしていきますが…彼らはどうして入れ替わることになったのか、必ずあるはずの意味を考えながら優しくも力強いファンタジーの世界に浸りました。読後、この題名が愛おしい。アニメで想像するのにぴったりの美しい田舎と東京の情景。劇場ではさぞ強烈に色と音で彼らの強さを伝えてくれるでしょう。
読了日:8月15日 著者:新海誠
怒り(下) (中公文庫)怒り(下) (中公文庫)感想
現場に残された「怒」の血文字。いったい山神はこの中の誰で、何をこの字に込めたのか。上巻ではそれを追いかけるミステリを読んでいるつもりでいたのですが、下巻になって少しずつこの本の意図しているものがまた別物でもあることが見えてきます。下巻ももちろん一気読みです。ガッツリ社会派ですね。山神に振り回されたそれぞれのストーリーはきちんと収束を迎えますが、決していいものばかりではありません。大事な相手について知りたいと思う事は当たり前ですが、知らないままで相手を信じることは意外ととっても難しいことですね。
読了日:8月13日 著者:吉田修一
怒り(上) (中公文庫)怒り(上) (中公文庫)感想
リーダビリティは抜群です。始まりは凄惨な殺人現場。その後複数の場所でそれぞれのストーリーが少しずつ展開していきます。登場人物は徐々に増え、不審な人物もそれぞれに…。先が気になって次々とページをめくるしかありませんでした。
読了日:8月13日 著者:吉田修一
屍蘭―新宿鮫〈3〉 (光文社文庫)屍蘭―新宿鮫〈3〉 (光文社文庫)感想
前作と雰囲気が変わる本作では、こんな犯罪の尻尾をつかめるのかと恐怖するほど犯人側が巧妙です。さらに後半は鮫島の過去の件も絡んで、命の危機より嵌められる事に対しての恐さがやってきました。今回特に印象深かったのは女性たちです。ふみ枝、綾香、あかねの言動から伝わってくる女性の微妙に見せない心情の描き方が実に巧みで、色々と想像して緊張しました。彼女らが怖いというよりこれを描けてしまう大沢さんが怖い。また藍や晶の方向の違う強かさも心を打ちます。解説にもありますがワンパターンにしない作品の強さをしっかりと感じました。
読了日:8月13日 著者:大沢在昌
海の稜線 (創元推理文庫)海の稜線 (創元推理文庫)感想
東京のガチガチの警察小説を読んでいると、黒川氏の警察小説は別物です。関西弁でぽんぽんとやり取りされるリズムとスピード感に乗せられぐんぐんと運ばれます。海運業界という全く知らない業界での社会派と言ってもいいほどの話でしたが、とても分かりやすく勉強にもなりました。今回は初版の版元の違いだそうで同じ大阪府警でも黒マメコンビではなく違う班のブンと総長が活躍します。東京と大阪、キャリアとノンキャリアなども絡めて人間関係の話も綺麗にまとまっていると感じました。ラストの情景もなかなかで読後感も悪くなかったです。
読了日:8月8日 著者:黒川博行
掟上今日子の退職願掟上今日子の退職願感想
4つの死体にまつわる短編です。すべて違った女性刑事視点で語られます。今日子さんは相変わらずなのですが、それぞれの女性刑事の事情や考えていること、気持ちの変化など楽しめました。でも、事件自体は重いのにその事件も女性刑事も今日子さんの言動も特に残るという感じではなく、すぐ忘れてしまいそうな気がします。全部独立した話だからでしょうか。やっぱり厄介くんが登場する方が好きですね。
読了日:8月6日 著者:西尾維新,VOFAN
僕は何度でも、きみに初めての恋をする。 (スターツ出版文庫)僕は何度でも、きみに初めての恋をする。 (スターツ出版文庫)感想
一日しか記憶の保てないハナと家庭の問題を抱え自分の存在を否定しかねないセイ。私の中の二人の世界は切り取った写真の中まで含めて鉛筆画のパステルカラー。ふわりと優しくでも消えていきそうにはかなく危うい。なのに読後残るのは彼らの強さです。何度も交わされる「約束じゃない」という会話が優しく悲しい。決して二人のような辛い思いをしてきたわけではないけれど、たくさんの悩みを抱えどっちに進んでいいかわからなかった若い頃この本に出会っていたら、私も彼らのようにもっと強くなれたでしょうか。
読了日:8月6日 著者:沖田円
孤狼の血孤狼の血感想
ヤクザとの癒着を噂される大上刑事のもとに配属された新人の日岡。ほとんどヤクザの懐に入って彼らを操れるほどの大上に、運もあって可愛がられ、ただ振り回されるのではなく実力で彼に食らいつき、組織と彼との間で闘います。読友さんたちに好評でなんとなく手に取った本でしたが、思いがけず渋いハードボイルドで引きずり込まれてぐいぐい読みました。zippoがいい仕事をするなあとのんびり思っていたところへ、各章の頭の日誌にあった削除の意味に気づき、震えが来ました。人を選ぶと思いますがこれは私は楽しかった。読んで良かったです。
読了日:8月5日 著者:柚月裕子
代償 (角川文庫)代償 (角川文庫)感想
悪の権化のはずなのに、現場で何もせずに「やめろよ」なんて声をかける。これが犯罪者にならないという事実。とにかく人の心を操るのが上手いんですね。不幸な事故をきっかけに、子供の頃彼と彼の母親の理不尽な悪意に翻弄された圭輔が弁護士となり、容疑者となった彼に弁護を依頼されます。彼は全く変わっていない。相変わらず人を操り弁護人の彼すら翻弄します。今度こそ圭輔は過去の事件を含め彼の尻尾をつかめるのか。法廷ミステリと思いきや後半は意外としっかり本格です。ああ、現実の世界ではこんな男が野放しにならないことを信じたい。
読了日:8月3日 著者:伊岡瞬
毒猿―新宿鮫〈2〉 (光文社文庫)毒猿―新宿鮫〈2〉 (光文社文庫)感想
キャラクターの作りが凄く上手いですね。とても丁寧に描写されているので登場人物が沢山いても迷うことなく物語の中に没頭できます。今回はほぼ鮫島は脇役。殺し屋の毒猿と残留孤児二世だった奈美との関わり、休暇で日本に来たことになっている台湾刑事・郭と鮫島の信頼関係が胸を打ちます。二人の別れのシーンは涙が出そうになりました。ものすごい勢いで量産されていく死体に麻痺しそうになりながらラストの救いを求めて後半一気にページをめくりました。毒猿の最後のセリフも印象的です。私は意外とこういう血生臭いの好きだったようです。
読了日:8月1日 著者:大沢在昌

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