2月の読書メーター読んだ本の数:13読んだページ数:4181ナイス数:1492
箱の中 (講談社文庫)箱の中 (講談社文庫)感想女性向けBLというのはキラキラとした現実の影のないファンタジーのようだと個人的には感じています。でもこの本はそうではないです。変な泥臭さを持ち、BL界の芥川賞作と謳われたのにも妙な納得を覚えます。子供のまま育ってしまったような純粋な喜田川と、自分の信じる平穏を貫こうとする堂野。読ませる筆力は相当なもので、ものすごい勢いで一気に読んでしまいました。BLの枠をはめるのは惜しい、というのがわかるいろいろなものが詰まっていますが、登場する女性に嫌になるほど悪役しか割り振らないところなどはBLらしいですね。読了日:02月27日 著者:木原 音瀬
通い猫アルフィーのはつ恋 (ハーパーBOOKS)通い猫アルフィーのはつ恋 (ハーパーBOOKS)感想前作で落ち着いた通い猫としての生活を手に入れたアルフィー。今回は空き家に逃げるようにして越してきた不審な一家(白猫つき)に関わろうとすることで話が進みます。自分をとても大事に思ってくれる相手を好きになったなら、生きていくのは楽に違いない。でも好きになる相手は選べない。つれない白猫と一家を助けるために彼は奮闘します。ーーお話に問題があるわけではないですが、今回は猫ちゃんたちがあの小さな頭でいろいろ考え行動していることを想像して愛おしい、というよりも、ただの擬人化ファンタジーに感じてしまい私は少し残念でした。読了日:02月27日 著者:レイチェル ウェルズ
もういっかい彼女もういっかい彼女感想若者がタイムリープで本当の恋を見つけるのかしら?などと想像していたのですが、読み始めてみたら、タイムリープしていたのは年をある程度重ねた官能小説家。老いた彼に過去をインタビューするというこの形式がとても好感が持てました。彼は過去の自分に干渉してしまうのですが、さて、その後は?…惜しむらくは楽しんで大事に丁寧に読んでいたため、ひとつの言葉に引っかかって、あれ?と何度かその部分を読み直してしまったこと。そのためその後の展開が手に取るように見えてしまいましたが、それでもよくできた優しいラブストーリーでした。読了日:02月25日 著者:松久 淳
壁の男壁の男感想子供でももっと上手いだろう、と思われるレベルの絵で町の大半が埋め尽くされている町。頼まれて絵を描く伊刈の半生を、帯にあるように伏せたカードをめくるように明かしていくことで話が進みます。いきなり突きつけられる2章の回想が辛くて悲しくて読むのがとてもきつかったです。いろいろなことに、なぜ、どうして?と思い続けながら読み進んだ先にあったのは…見ていた景色に突然色がついたような納得と、それでもこんなことがあっていいのかと思うほどの残酷さ。とても読み応えのある作品でしたが、闘病する関係者のいる方にはお勧めしません。読了日:02月23日 著者:貫井 徳郎
時鐘館の殺人 (中公文庫)時鐘館の殺人 (中公文庫)感想短編集。予備知識なしで読み始めたので、こんなにいろいろなテイストが混じっているとは思わず驚きました。ものすごく濃いわけじゃないけれど、どれもみんなしっかり心に爪痕を残していく短編です。「隣の殺人」や「恋人よ」のようなサスペンスも良かったし、少し不思議の「あの子はだあれ」も好みでした。表題作は中編ではありますが、この長さによくもこれほど詰め込んだなと思えるいかにもないろいろに、さらにラストに!とサービス満点でした。軽く読み始めましたが、思いがけずとても良かったです。読了日:02月20日 著者:今邑 彩
セイレーンの懺悔セイレーンの懺悔感想起きたのは女子高生誘拐事件。番組存続の危機にさらされた報道記者がスクープを取るために奔走します。報道の在り方について、嫌でも考えずにはいられないがっつり社会派です。さすがの筆力でぐいぐい引っ張られ、一気に読まされてしまいました。ただ、主人公の新米女性記者が、重いものを背負っているとはいえ、行動も考え方も全く好きになれず、ラストの締めの報道も好みではなかったので、綺麗に終わっているのに気分的にすっきりしませんでした。章題がはっきりしすぎなのも、身構えて読んでしまって勿体ないと思いました。読了日:02月20日 著者:中山 七里
スティグマータスティグマータ感想主人公は再びチカ。サクリファイスから6年を経て、彼はまた成長していました。ドーピング疑惑により地に落ちた英雄が復活を遂げようとする世界最高の舞台で、否応なしに不穏なものに巻き込まれるチカ。レースの駆け引きだけでなく、サスペンスの要素にも引き付けられ、夢中になって読みました。伊庭、ミッコ、二コラとその後が気になっていた彼らそれぞれの生き生きとした描かれ方もとても良かったです。選手としてそこにいる、たったそれだけのことでもどれほど大変なことなのか。次の年も走るための彼らの努力や運は読んでいて胸が痛くなります。読了日:02月20日 著者:近藤 史恵
髑髏城【新訳版】 (創元推理文庫)髑髏城【新訳版】 (創元推理文庫)感想順番に読んでいませんが、バンコランシリーズ3作目だそうです。パスティーシュされた、「人狼城」と「双月城」を先に読んでしまっているので、ついそちらと比べてしまい事件の謎に関しては特別な驚きなどはなかったのですが、バンコランの鋭さ、ことにアルンハイム男爵との対決の結末は想像を超えてきました。出てくる女性たちがみな強いのも印象に残りました。新訳はとても読みやすく、訳者のあとがきも、青崎さんの解説もわかりやすくて良かったです。森美夏さんの表紙絵もとても好みです。読了日:02月15日 著者:ジョン・ディクスン・カー
憑かれたポットカバー: クリスマスのための気落ちした気色悪い気晴らし憑かれたポットカバー: クリスマスのための気落ちした気色悪い気晴らし感想これまでのゴーリー本にあった、特徴的な緻密なペン画は少し荒くなっています。そしてどうしようもない救いのなさもこの本にはありません。でもゴーリーらしさは健在なのです。読んでいてすぐにディケンズの「クリスマスキャロル」のパロディであることに気づくのですが、そのパロディの加減がいかにもゴーリーらしく、次はどうなるの?次は?と元の話を思い出しながら夢中でページをめくりました。解説でバアハム・バグという虫の名の訳に感服しました。柴田さんの訳の素晴らしさに出会うたび、自分の英語がもっと堪能なら!思わずにいられません。読了日:02月14日 著者:エドワード ゴーリー
悪魔を憐れむ悪魔を憐れむ感想読むのが勿体ないほど好きなシリーズ。10作目。出版社が跨っていたこともあって時系列がバラバラ、短編集も時が飛んでいましたが、今回はタックの卒業後まもなくの時期、いろいろ気になっていた間の部分(ウサコが旦那様と出会ったり、先輩が教師になる過程など)を埋めてくれています。事件はすでに起こってしまった事件を読み解くもので、もちろん一筋縄では解けませんし、わかったつもりでいるとガツンと横っ面を張られるような苦い真相が潜んでいたりします。相変わらずの読み応えで、とても良かったです。全集出してくれたら勿論買います!読了日:02月10日 著者:西澤 保彦
偶然屋偶然屋感想「偶然」とは「運命」とはなんでしょう?早稲田卒でありながら、弁護士試験に挫折して就職活動中という主人公。軽いタッチの多い七尾さんですが、身の丈以上の早稲田に入ってしまったためにこうなった的な説明は妙にリアルでちょっと引きました。偶然?を重ねて彼女が手にしたのは「アクシデントディレクター」というお仕事。最初の一編で主人公の成長物語かと思ったら大間違い。少しずつ繋がっていく事件の色は徐々にダークになり、ラストに向けて思いがけない展開に一気に読まされてしまいました。続編があればぜひ読んでみたいです。読了日:02月07日 著者:七尾 与史
夜を乗り越える(小学館よしもと新書)夜を乗り越える(小学館よしもと新書)感想私の持っていた又吉さんのイメージは学生の頃も本の虫で無口でおとなしい少年。ところが、意外と行動的なんですね。そういえば、サッカーで大阪代表としてインハイに出たような人でした。私は本を読む理由なんて考えたこともないけれど、彼は読書をすることにきちんと意義を見出しているんだなと思えます。太宰や芥川への愛や、「火花」の創作秘話など、さらさらっと短時間で読めたけれど、はっとさせられるエピソードや言葉がたくさん詰まっていました。久しぶりに読んだ新書でしたが良かったです。読了日:02月06日 著者:又吉 直樹
あなたのための誘拐あなたのための誘拐感想誘拐犯との緊迫した時間に一気に引きずり込まれました。警察の動きはこんなに詳細に書いてしまって悪用されないの?と思うほどリアルです。後半は命の期限が迫った主人公の想いが痛々しく、更に全貌が見えているようで見えないもどかしさで次々とページをめくりました。カンの鋭い方なら犯人の検討がついてしまいそうだということと、退職している主人公と警察の動き、動機のわりに事件が大きすぎるのでは、など少々納得できないところはあるのですが、読み終わってみると不安定だったピースがカチンとはまったような、ホッとした思いがありました。読了日:02月01日 著者:知念実希人
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