3月の読書メーター読んだ本の数:20読んだページ数:6449ナイス数:2264
静かな炎天 (文春文庫)静かな炎天 (文春文庫)感想葉村晶は40代になっていますが、思わず頑張れ、とエールを送りたくなるほど相変わらず満身創痍です。ハードボイルドの四十肩、私は笑えないです…。好みは彼女の切れ味鋭い「副島さんは言っている」展開の見事な「血の凶作」相変わらずの責任感(お人好し)から酷い目に合う伏線の見事な「聖夜プラス1」。でも意外と「青い影」の事故のインパクトより印象深いオチの苦さとか「静かな炎天」のすべてが繋がった時のやるせなさとかのほうが長く印象に残りそうな気がします。どれもとても良かったです。彼女にはまだまだ現役で頑張ってほしいです。読了日:03月29日 著者:若竹 七海
涙香迷宮涙香迷宮感想一つ作るのさえ大変なはずのいろは歌が、四十八首で挑戦状だなんてそれだけでワクワクします。現代での殺人事件との関わりはともかくとして、このいろは歌から始まる一連の謎解きがもう面白くて楽しくて仕方ありませんでした。囲碁や連珠の知識があったらもっと楽しめたのかもしれませんが、竹本氏の本でそれを言ったらどれだけ知識があっても足りませんね。本格ミステリを読む目的で手に取るにはこれは違うと思いますし、相当人を選ぶ内容だと思いますが、私は十分楽しみました。作者の黒岩涙香への愛がいっぱいに詰まっています。読了日:03月28日 著者:竹本 健治
告白の余白告白の余白感想ミステリとしてはちょっと変わっていて、ラストの展開まで(好き嫌いは別として)悪くないと思います。京都の伝統や拘り、奥ゆかしさ、言葉の妙などをうまく取り入れたかったのだと思いますが、京都になじみのない人間としては、京都の人と話すときはこんなにいろいろ勘ぐって話さなくてはいけないのかしら、と読んでいるだけでドキドキして疲れてしまいました。また、老両親に農作業は預けっぱなしなのでしょうか。その長い滞在費は勿体なくないのでしょうか。ごめんなさい。私にはミステリを楽しむより別のいろいろが気になってしまい残念でした。読了日:03月19日 著者:下村 敦史
老乱老乱感想年を取ったことで自分ではうまくいかないことでもなんとかしようとする、失敗を隠そうとする。家族に迷惑をかけたくない一心で。自分の親もきっとそうするだろうと思いました。私だってきっと…。認知症の出始めた肉親に対し、それが進まないようにと何とかしようとすることが、介護する側の都合だと割り切れるまでの夫婦の葛藤が痛々しくもとてもリアルに響いてきました。少なくとも私はこの本を読んだから例え自分がどちらの立場になっても読む前より少しだけ心構えが違うでしょう。辛い読書でしたが読んだ甲斐はあったと思います。読了日:03月19日 著者:久坂部羊
ブラック・ドッグブラック・ドッグ感想極端に儲けるためにペットを’生産’する【アヌビス】。動物愛護を大義として得体のしれない動物を操りテロを起こす【DOG】。ストーリーは閉鎖された会場で、襲い来る巨大な犬のような動物から逃げ惑う(グロい)パニックホラーです。背景をしっかり持った登場人物が多すぎて、メッセージとしてたくさんのことを詰め込みすぎたような気がしますが、いろいろなことを考えながら一気に最後まで読まされてしまいました。いわゆる「動物」と「人間」との間に引かれた線について、人として生まれたからにはもっと考えなければいけないのでしょう。読了日:03月18日 著者:葉真中 顕
かがやき荘アラサー探偵局かがやき荘アラサー探偵局感想アラサー女子3人が家賃替わりに事件の謎を解く、という連作短編。3人ともインパクトあるキャラなんですが残念ながらあまり好きになれず、家主と秘書の会話も一人ノリツッコミを長々と読まされているようで斜め読みしてしまいました。烏賊川市シリーズがとても好きなのでどうしてもそれと比べてしまうせいなのか、次々出てくるシリーズにどうもはまりません。洗濯機の謎など謎解きとしてはとても良かったものもあり、私には合わなかっただけだと思いますが残念でした。読了日:03月17日 著者:東川 篤哉
マカロンはマカロン (創元クライム・クラブ)マカロンはマカロン (創元クライム・クラブ)感想シリーズ三作目。前作より一編の長さが短くなっているのか展開が早くたくさんのお話が詰まっています。ビストロにいらして下さるお客様の事情を小さなことから好転させたり、お店の人が不思議に思っていることを解いてみたり。優しいお話ばかりではないですがほろ苦さも楽しむことができました。「青い果実~」だけは悪意を感じますが、一見不穏な「タルタルステーキ~」「ヴィンテージワイン~」が最後まで読むと実は味があって印象深かったです。「ブーダン・ノワール」と「ムッシュ・パピヨン~」のその後が幸せなものであることを祈ります。読了日:03月17日 著者:近藤 史恵
おんみょう紅茶屋らぷさん ~陰陽師のいるお店で、あなただけの一杯を~ (メディアワークス文庫)おんみょう紅茶屋らぷさん ~陰陽師のいるお店で、あなただけの一杯を~ (メディアワークス文庫)感想最初に読んだ古野まほろ作品がこれで良かったかどうかは謎ですが、陰陽師の五行をうまく取り入れ(説明が丁寧で優しいです)アニメにしたら可愛いだろうぬいぐるみのような式神をうまく使って、悩みのある人をうまく導く連作短編になっていました。どれも軽くさらさらっと読めるけれど抱えている悩みは意外に重く、メディアワークス文庫にぴったりなのではないかと思います。せっかく作者が紅茶好き(缶好き?)なのでもっと紅茶に関する蘊蓄を聞きたかったです。むしろサンドイッチに詳しくなったかも。続編が出たようなので続きも読んでみます。読了日:03月16日 著者:古野まほろ
無菌病棟より愛をこめて (文春文庫)無菌病棟より愛をこめて (文春文庫)感想病名は違いますが、手術による切除と化学療法を経験しました。子供が成人するまでは死んでたまるかというそれだけが支えでした。たくさんの辛さと感謝を同様に経験しました。そして私も今、生きています。何を書いたらいいのか、本当に迷いましたが、これだけは言えます。彼女は本当に強く、同じ病気を患っている人々の希望の星です。これを世に出したことには意味があり、たくさんの人が救われることを信じています。ただ、人の受け取りは千差万別です。特に心が弱っているときは。誰にでも気楽に勧められる本ではないことはわかってほしいです。読了日:03月15日 著者:加納 朋子
いまさら翼といわれてもいまさら翼といわれても感想古典部シリーズ6作目。短編集ですが、根本的なところは変わりません。いや、登場人物は少しずつ成長して大人になっていますね。「わたしたちの伝説の一冊」での摩耶花は特に印象的です。「箱の中の欠落」で語られる奉太郎の鋭さ、「鏡には映らない」「連峰は晴れているか」での彼の優しさ、さらに彼がこうなった原因を自らの口で語る「長い休日」。これらもとても良かったです。そして表題作。えるの叫びが聞こえます。娘がいる自分は、おそらくえると同年代の人たちが感じるものとは違う意味で心が痛くなりました。読了日:03月14日 著者:米澤 穂信
時限病棟 (実業之日本社文庫)時限病棟 (実業之日本社文庫)感想閉鎖された病院に集められた男女5人がリアル脱出ゲームに挑む。彼らが集められた理由は何か、犯人の目的は?前作と比べて、あるいは有名な映画と比べて、低評価という方が多いようですが、私は前作を読んでからかなり間が開いていましたし、その映画を見ていないので純粋に楽しめました。読み手には外の様子が書かれることで犯人は想像できるのですが、それでも最後まで一気に読ませる筆力はさすがだと思います。正直、最後まで想像の範囲を出なかったので究極のどんでん返しではありませんでしたが、前作との小さな繋がりも含め十分楽しみました。読了日:03月14日 著者:知念 実希人
ジニのパズルジニのパズル感想日本語を話し朝鮮語を話せない在日朝鮮人ジニが、中学から朝鮮学校へ通わなくてはならなくなったことで、苦悩し闘う様子が綴られます。単民族国家という日本の状況は彼女のような人には本当に生きにくいのだと改めて感じます。彼女が自分を表現するために起こした行動は、結局どういう結果を引き起こしたのか、本当に痛々しく読んでいてとてもつらかった。出自など自分で選べるものではありません。作者が込めた思いを私がどれだけ受け取れたかはわかりませんが、とにかく読後疲れてしまうほど、パワーに圧倒され、いろいろなことを考えました。読了日:03月13日 著者:崔 実
太宰府オルゴール堂 独身貴族の探偵帳 (双葉文庫)太宰府オルゴール堂 独身貴族の探偵帳 (双葉文庫)感想辛口ご容赦。題名に惹かれましたが、大宰府あまり関係ないです。梅が枝餅とか方言とか出てきますが、むしろ方言を強要する部分はイラっとします。オルゴールも事件には全く関係ないし。事件解決の仕方も後日談も都合のいいようにとってつけたようで、二つめの事件はもう読むのが辛くて途中でやめようかと思ってしまいました。続編ありきで何かを隠しているキャラにも全く魅力を感じません。双葉文庫ですがどんな方を読者として想定しているのでしょう?いいミステリを読んだ直後で余計辛口評価になっているかもしれませんが、私には残念でした。読了日:03月11日 著者:篠宮 あすか
真実の10メートル手前真実の10メートル手前感想太刀洗万智を本人でなく第三者の視点で捉えた短編集。彼女のストイックな面が際立って伝わってきます。どれも暗く痛々しいのに素晴らしい、ああ米澤さんってこういうミステリを書く人だったなあと、しみじみと世界に浸りました。特に、表題作と「恋累心中」は万智の切れ味を余すところなく見せつけられ、印象的です。「ナイフを失われた思い出の中に」がずっしり重いですが一番好みです。そして災害時に取り残された夫婦を描いた「綱渡りの成功例」は、とにかく彼女が彼らの救いになることを祈りたい。これも一生忘れられない一話になりそうです。読了日:03月11日 著者:米澤 穂信
掟上今日子の旅行記掟上今日子の旅行記感想冤罪の代償でフランス旅行にやってきた厄介君が空港で今日子さんと出会い…の海外パリ編。うーん。エッフェル塔を盗むという怪盗相手でスケールは大きく、一冊読んでいろいろ蘊蓄はありましたが全く残らず。こういうシリーズだといわれてしまえばそれまでですが、普段ミステリを読んでいるせいかシリーズの中でもこれは軽すぎて私には残念でした。このシリーズはさくさくっと一日で解決する短編のほうが好みです。いくらでも続けられるシリーズなので、そろそろ少しずつでも彼女の過去を見せてもらえたら嬉しいです。読了日:03月10日 著者:西尾 維新,VOFAN
居酒屋ぼったくり〈6〉居酒屋ぼったくり〈6〉感想美音と要の恋愛模様も落ち着いた様相を見せてきますが、美音が健気に描かれすぎていて、女性としては少し辛いです。優しいラストが早く読みたいものです。さて、今回も商店街のいろいろが少しずつ描かれますが印象的だったのはやはり小さな本屋です。誰もがPCの中に本屋を持つ時代ということより、発行される本の点数が多すぎて実店舗の書店では扱いきれないということのほうが印象的でした。さて、明日はコンビニでアルミボトルの大吟醸、探してみましょうか。手抜きタルタルソースや昆布締めもすぐやってみたいです。読了日:03月09日 著者:秋川 滝美
コクーンコクーン感想日々の小さな選択の後悔などいくらでもあることですが、最初の息子を亡くした母親の情景は、本当に痛々しいです。物語の中でカルト教団が象徴としていた黄金の蝶は、それ自体がバタフライエフェクトの象徴としても描かれ、静かに静かにすべてに波及していきます。震災や行路病院等、それぞれに含むところのある4つの物語が互いに絡み繋がっていき、最後まで目が離せない展開でした。「絶叫」や「ロストシンボル」のような強いメッセージとは違い、詰め込みすぎたかなとも思いますが、私はこの不安定な読後感は嫌いじゃないです。読了日:03月09日 著者:葉真中 顕
王とサーカス王とサーカス感想太刀洗万智は事前取材のためジャーナリストとしてネパールへ。現地で知り合ったガイドの少年を傍らに彼女はちょうど勃発した王族殺害事件をを追います。実際に起きた事件が下敷きなので当時のネパールの様子などとても興味深いです。取材相手が殺害されたりするのですが、殺人事件のミステリとしてよりも、報道の在り方、ジャーナリストとして選ぶ道などをとても考えさせられました。ラジェスワルの言葉が、最後まで読んでみるととても重いです。でもだからと言って目をつぶるわけにもいかない。正解など誰がわかるというのでしょう。読了日:03月08日 著者:米澤 穂信
バリ3探偵 圏内ちゃん: 凸撃忌女即身仏事件 (新潮文庫nex)バリ3探偵 圏内ちゃん: 凸撃忌女即身仏事件 (新潮文庫nex)感想軽めの面白いシリーズだという変な思い込みができてしまっていましたが、考えてみれば相当恐ろしい話なんですよね。一部の忌女たちのしていることって、ほぼ、どころか完全に犯罪だと今回は改めて思いました。圏内ちゃんが今回はおとなしめなのも、そんなことが関係しているのかもしれません。カルト教団はまだしも、○○チューバーにAI。今回も現代だからこその情報社会の怖さをリアルに感じます。正直この黒幕は嫌だわ…。次回は圏内ちゃんのこれまでなどが話題になるようです。さすがにそろそろきっかけなどを知りたいので続編を待ちます。読了日:03月06日 著者:七尾 与史
計画感染計画感染感想東京行きの旅客機での謎の感染症。バンコクで記憶を失った男の逃走劇。東京で組織に追われる男が死に、離島では新型インフルエンザによる大量死。こんな時、政府の対応は否応なくこんなところに落ち着くのでしょうか。すべてが繋がり、一気にラストに向かう部分は、息を詰め、ページをめくる手がもどかしいほどでした。新型ウィルスの流行には、本当に恐怖を覚えます。パンデミックを抑えただけではない現代ならではのラストも爽快感だけではない何かを運んできました。読友さんのレビューで手に取りましたが、出会えてよかったです。楽しみました。読了日:03月05日 著者:大原省吾
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