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10月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:6182
ナイス数:2919


ドクター・デスの遺産ドクター・デスの遺産感想
今回犬養刑事が挑むのは安楽死。私自身にも難病と闘う父がいますし、自分も病気をしましたから、そんな状況になったとき「死ぬ権利」を主張せずにいられるかどうかわかりません。ですから難病の娘がいる犬養刑事が、安楽死を与えるドクターデスをただの殺人鬼だと思い込もうとする苦渋が痛いほど伝わってきました。犬養刑事の選択は重いですしドクターの事情もとても痛々しかった。中山さんらしいどんでん返しなどを期待して読み進めるとあっさりかもしれませんが、嫌でもきっちり考えさせてくれるしっかりとした社会派ミステリでした。
読了日:10月29日 著者:中山 七里
チェーン・ポイズン (講談社文庫)チェーン・ポイズン (講談社文庫)感想
もう死んでしまおう、と決心した時、あと一年生きたら楽に死ねる薬を貰えると言われたら…。そんな彼女の一年と、三つの自殺に関連性を見出した週刊誌記者がその自殺を追う視点との二つが交互に進行します。平凡な女性が一人で生きるとき、自分の存在意義を考えるなという方が難しい。余命一年としたら何をしようというのと、一年後に自殺できると考えて一年生きるのは全く違うのだと彼女の生き方を見ると考えさせられます。気付く人は気づくと思いますが、ミステリとしてもよくできていると思います。読後感が良かったのが嬉しかったです。
読了日:10月28日 著者:本多 孝好
終わらない夜終わらない夜感想
ゴンサルヴェス,ロブ氏の絵に感銘を受けたトムソン,セーラ・L氏が詩をつけたものだそうです。表紙絵はよく見ると湖に移る木の影の隙間からふわりふわりと女性が現れるような作りになっています。こんなだまし絵のような美しい絵が詩とともにページをめくるたびに現れ夢中になりましたが、終わらない夜という題名だけあって神秘さと美しさの中に怖さもにじんできました。絵本として読み聞かせをするというより、芸術として絵を楽しみたいですね。シリーズであと二冊あるようです。是非手に取ってみたいです。
読了日:10月27日 著者:セーラ・L. トムソン
極限冷蔵庫 (PHP文芸文庫)極限冷蔵庫 (PHP文芸文庫)感想
極限トランクに続くシリーズ2作目だそうですが、繋がっているわけではありません。居酒屋の四十歳独身の女性店長とアルバイトの女子大生が閉じ込められたのは業務用冷蔵庫。庫内の温度が徐々に下がっていくことから、事故ではなく故意に閉じ込められたと悟った二人はその原因を探るべくお互いの秘密を明かしていきます。回想は入るものの、今回の舞台もなんと狭いこと!何が仕掛けられているのか気になり予想しつつも簡単に真相は見えてこない。さらっと読ませて期待通りにこういうラストを持ってくる、さらにこの微妙な読後感も好みです。

読了日:10月24日 著者:木下 半太
告白 (中公文庫)告白 (中公文庫)感想
「なんでそんなことになってしまったのか。あかんではないか。」冒頭で熊太郎が嘆きます。丁寧に彼の人生をなぞった長い物語は河内弁のリズムであっという間に引き込まれ、圧倒されました。私自身も幼い頃、思った事をを文章で組み立ててから恐る恐る口に出すような所があったので、思弁的と表現される彼の思考錯誤は本当に痛々しかった。何とか許されようと、辻褄を合わせようと、もがき苦しみ嵌り込んでいく彼に、信じていた正義すら容赦はありません。そして彼が最後に呟くのは…。もし彼が生まれたのが現代ならば、違う道が見えたでしょうか。
読了日:10月22日 著者:町田 康
クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係クジャクを愛した容疑者 警視庁いきもの係感想
シリーズ4作目は、ピラニア、クジャク、ハリネズミに関わる中編が三つ。ドラマを見ていたので、前作までに自分の作っていたキャライメージに戻すまでに少々苦労しましたが、やっぱり楽しかった。薄さんの不自由な言葉の部分がちょっと多すぎる気がしましたが、この掛け合いも込みでのいきもの係なんでしょうね。新キャラ芦部巡査部長も加わり、笑えて動植物の勉強にもなり考えさせられるこのシリーズ、まだまだ長く続いてほしいです。
読了日:10月21日 著者:大倉 崇裕
ドローン探偵と世界の終わりの館ドローン探偵と世界の終わりの館感想
館です。クローズドサークルです。その中を見事にドローンが飛びますが探偵は外側です。大学の探検部が、廃墟となった館を探検中に起こる連続殺人。犯人は誰で、なぜ殺人を犯すのか。ドローンにつかまって飛ぶ130cm30kgの探偵とか絵面を想像して楽しんでいると、最後に?マークが頭の中で飛び交い、最後にようやくさらっと読み飛ばしていた色々な部分が無駄のない伏線だったことに気づかされました。読者への挑戦状から始まるある意味とっても早坂氏らしい作品だと思います。探偵の成長譚にもなっていたのが嬉しかったです。
読了日:10月18日 著者:早坂 吝
掟上今日子の裏表紙掟上今日子の裏表紙感想
今回今日子さんは殺人事件の容疑者で拘留中。でもいつの間にか自分が容疑者であるその事件を解き明かすことを依頼させてしまいます。自分の無罪を立証するのにお金を取るのはなんとも今日子さんらしいです。依頼主は担当になった忘却探偵経験者の日怠井警部。彼が忘却探偵専門家の厄介君に相談をすることで話は彼側との二つの視点で進み、とても読みやすかったです。まあツッコミどころは満載ではありますがこのシリーズはそれでいいのでしょう。ついつい新刊が出ると手に取りますが、今日子さんの秘密はいつ教えてもらえるのでしょうか。
読了日:10月18日 著者:西尾 維新,VOFAN
スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
本当にスマホを落としただけです。拾った人間の手元でかけた人の本名と顔写真を表示しスマホが鳴る、という当たり前の怖さ。ターゲットは落とした本人ではなく、たまたま電話をかけた彼女に!知識がなくても名前と顔写真から当たり前にフェイスブックにたどり着き、あっという間に個人情報など丸裸になります。多少の知識があればさらに内部データも引き上げられます。まして拾ったのがハッカーで殺人鬼だったら!他人のスマホに入った自分の情報など管理できません。読後だれもが自分の情報の管理や発信について考えずにはいられないと思います。

読了日:10月15日 著者:志駕 晃
吸血鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)吸血鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)感想
温泉宿で女性巡って毒杯での決闘をする二人の男を描くプロローグに始まり、ストーリーは妖艶なその女性の周りに起きる様々な事件を経て進みます。乱歩らしい雰囲気を堪能しました。一連の犯人はミステリを読みなれているとわかってしまいますが、誘拐、密室、死体消失等次々と解き明かす明智探偵の魅力はバッチリです。ラストの事件は思わず、これはあれだわ!というトリックで思わずニヤリ。またこれが小林少年初登場作品だそうで、この後少年探偵団に繋がっていくのかと思うと感慨深いものがあります。
読了日:10月15日 著者:江戸川 乱歩
ワッハ ワッハハイのぼうけん: 谷川俊太郎童話集 (小学館文庫)ワッハ ワッハハイのぼうけん: 谷川俊太郎童話集 (小学館文庫)感想
私自身が子供のころとっても好きだった「ワッハワッハハイのぼうけん」。数十年の年月を経て文庫で読むことができました。暗記するほど読んだ抜群の言葉のリズム。まさしくナンセンス童話の金字塔ですね。「けんはへっちゃら」4部作もユーモアたっぷりに子供たちの世界を描いています。「ここからどこかへ」はおばけと少年のふれあいの話ですが、連載誌の事情で完成まで50年かかったそうで、その50年を逆手にとって現代ならではのおばけも登場してとても楽しかったです。当時の和田誠さんのイラストがそのまま収録されているのも嬉しいです。
読了日:10月14日 著者:谷川 俊太郎
あるかしら書店あるかしら書店感想
こんな書店が身近にあったらいいのに、ときっと誰もが思う「あるかしら書店」。本好きにはあるあるで、しかもとっても楽しくて一つ一つの絵の隅々まで見入ってしまいます。是非手に取ってみたいのが「月光本」。あの「本のつくり方」通りに作った本を是非読んでみたいし、「本のその後」もあんなだと嬉しい。そして意外と深いのが「本屋さんってどういうところ?」。あるかしら書店でなくっても本屋さんって本当に楽しい素敵な場所なんですよね。オチも完璧です。
子供と一緒に読むのとは違うルビのないヨシタケさんの絵本は新鮮で堪能しました。
読了日:10月14日 著者:ヨシタケ シンスケ
あなたのゼイ肉、落としますあなたのゼイ肉、落とします感想
読友さんがこの本に啓発されてどんどん綺麗になっていくのを見て(?)、私も、と手に取ってみました。最初の乃梨子の話は耳が痛すぎて読んでいて何度も本を閉じたくなりました。彼女以上に手放せない私はおそらく彼女より重症です。それでも二章三章と読んでいくうちに彼女と同じことをしても意味がないのだということに気づきます。人生の岐路に立っている家族がいる生活は穏やかには行かないけれど、その時はこの本を思い出し切り替えようと思います。自分の今の立ち位置や今後を、落ち着いて考えられただけでもこの本を読んでよかったです。
読了日:10月11日 著者:垣谷 美雨
粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)感想
エゴイストの同級生に振り回されて死体の処理をさせられそうになる一章から、二章では一転して彼の兄視点の密林強行軍。巨大な人喰いミミズにゴキブリ、30cmもある巨大蛭といったバケモノのような生き物たちとの死闘は思わず眉間にしわが寄るほどグロテスクです。それがふと気づくと頭が蜥蜴で体が人間という爬虫人をキーに絶妙な繋がりを見せ、構成の妙に唸ります。ホラーでありながら思わず笑ってしまう箇所があり、そして読後気づけば巧妙な伏線の張られたミステリであり愛情の物語でもあったのです。これは凄かった。参りました。
読了日:10月09日 著者:飴村 行
後悔と真実の色 (幻冬舎文庫)後悔と真実の色 (幻冬舎文庫)感想
若い女性を殺害し、指を切り取る連続殺人鬼。普通は犯人の背景や警察と犯人の攻防を楽しむものなのでしょうが、この本は一味違います。連続殺人鬼ということで様々な場所から駆り出された刑事たち。彼らの妬み嫉み、相手を出し抜こうとする気概が警察内での壮大な人間ドラマを生み出します。自分に絶大な自信を持つ男が一歩間違えただけで見せる転落の軌跡は、驚きつつもラストまで一気に読まされてしまいました。犯人はわかりやすいかもしれませんがミステリとしても上質です。ラストシーンの彼には思わず息をとめ、題名の意味をかみしめました。
読了日:10月08日 著者:貫井 徳郎
カツオが磯野家を片づける日 後悔しない「親の家」片づけ入門 (SB新書)カツオが磯野家を片づける日 後悔しない「親の家」片づけ入門 (SB新書)感想
読友さんレビューで気になった本です。核家族化が進む現在、老いた親に任せきりの実家がどうなるかは避けては通れない問題です。この本は20××年の磯野家を、波平の急逝によりカツオが実際に片付けることで実家の片づけ、さらには遺産相続、終活等、わかりやすく説明しています。アドバイザーとなるのが花沢さん、早川さん、中島君ですからとても読みやすかったです。義父を見送りましたので知っていることもありましたがこういう本は早めに読んでおくべきでした。自分自身のためにもいくつかはすぐ実践しようと思います。
読了日:10月08日 著者:渡部 亜矢
真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥 (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥 (ポプラ文庫)感想
前作でいろんなことに決着がつき、今作では前作から5年の月日が経っています。班目氏、ソフィア、弘基、希美、暮林、それぞれの視点の中短編が一つずつ。5年は決して短いわけではなく、そして順風満帆というわけでもなく…。それでも彼らはきちんと一歩ずつ自分の足で進んでいっているのがわかります。真夜中である理由もすとんと腑に落ちたし、暮林視点のラストもとても良かったです。読み終わって肩の荷が下りたようにほっとしました。
読了日:10月05日 著者:大沼 紀子
首洗い滝 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)首洗い滝 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)感想
このシリーズは題名も表紙も、さらには因縁でさえもがとても恐ろしいものなのですが、春菜の強さゆえか、ホラーにしてはかなり読みやすいと思います。今回は名前が表すような過去にそれなりの出来事があった、地図にない滝が舞台です。怨念の理由は読み手が想像するより奥深いのですが、曳き屋の仙龍がそれを鎮めるために行う方法はとても美しくほっとするものでとても良かったです。途中、大きな地震で石仏群や灯篭が倒壊しているシーンは目に見えるようでとても悲しくなりました。いろいろな事情があり因習を守り続けるのが難しい時代なのですね。
読了日:10月03日 著者:内藤 了

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