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2月の読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:6581
ナイス数:3369


テーラー伊三郎テーラー伊三郎感想
福島の田舎町、老舗仕立て屋「テーラー伊三郎」に突然飾られた18世紀のコール・バレネ。この素晴らしさに心を打たれた男子高生海色が押しかける形で、「テーラー伊三郎」の革命が始まります。川瀬作品はなんて人物が生き生きと動くのでしょう。個性的な二人の高校生はもちろん、老人たち、特に嫌な老婦人の描き方の見事なこと。着物の端切れには自分の祖母の姿を重ねて思わず涙し、条例に基づく保護にやるせなさを味わい、不条理が世の中という担任に納得し(この担任が密かにカッコイイ)。ミステリではないエンタメ、しっかりと楽しみました。
読了日:02月27日 著者:川瀬 七緒
BAR追分 (ハルキ文庫)BAR追分 (ハルキ文庫)感想
ああ、これ、好きだ。読み始めてすぐ思いました。実は有名作品を一度挫折してしまったので、これが著者の本初読みになります。昼はバールで夜はバー、新宿ねこみち横丁のBAR追分。ふとここに立ち寄るのは人生の岐路にたつ人々。バールの美味しいお料理やバーの美味しいお酒、さらにはBARや横丁の人たちとの優しいやり取りで、小さな物語が生まれます。人情味あふれるとても素敵な連作で、あっという間に物語の世界に取り込まれ、登場人物たちに惹かれました。是非続きも読んでBAR追分の常連になりたいと思います。
読了日:02月25日 著者:伊吹 有喜
クリスマスを探偵とクリスマスを探偵と感想
元はムックに発表されたもので、その時に読んではいました。でもこうして絵本の形になると読み手の入り方も違いますね。クリスマスプレゼントにもなるように、と作られたそうですが、大人になってこんな絵本をもらえるのも素敵だと思います。クリスマスイブに尾行をしていた探偵カールが、公園のベンチである男の人と出会って話をします。こんなに短くても、しっかり伊坂さんの作品だと納得させられてしまう素晴らしさです。こじつけ、いや、可能性のゲームが繋がる先がとても良かった。このあとのカールに想いを馳せ、物語に浸りました。
読了日:02月22日 著者:伊坂幸太郎
猫ミス! (中公文庫)猫ミス! (中公文庫)感想
ミステリアスな“相棒”をめぐる全八篇。ミステリのミスじゃなかった、と読後気づきました。8つもあるのに外れはないですね。新井素子さんのお話は久しぶりに読みましたが優しいある意味作者らしいお話でした。好みは芹沢央「春のつくり方」ミステリアスな常川幸太郎「猫泥棒猫」。菅野さんと長岡さんのもとても良かった。ラストのそにしけんじさんのマンガ、ニャンロックホームズがとにかく可愛くて、優しい読後感を運んでくれました。(本日猫の日)
読了日:02月22日 著者:新井 素子,秋吉 理香子,芦沢 央,小松 エメル,恒川 光太郎,菅野 雪虫,長岡 弘樹,そにしけんじ
MOE特別編集 エドワード・ゴーリーの優雅な秘密 (白泉社ムック)MOE特別編集 エドワード・ゴーリーの優雅な秘密 (白泉社ムック)感想
発売と同時に買ってじっくりと堪能したものですが、思い出して発掘して再読しました。ゴーリーワールドの住人や緻密なモチーフの話も楽しいですが、ゴーリー自身がどんな人だったかや、ブックデザイナーとしての本の紹介や独特のハンドレタリングなども素晴らしいです。文字は日本語版にするときの苦労も伝わってきました。ポスターや絵封筒は欲しくなります。未邦訳がいくつかあるようなのでいつか日本語で読めるのを楽しみに待ちたいと思います。ポストカードが8枚ついているのが嬉しいです。
読了日:02月22日 著者:
笑うな (新潮文庫)笑うな (新潮文庫)感想
絵本「駝鳥」を読んだら無性に筒井さんのショートショートが読みたくなったので、数十年ぶりの再読です。自分の蔵書だったはずなのに正直覚えていたのは表題作だけ。さらっと読んでしまって味わっていなかったのだと思います。今回読んでいて身震いするほど印象的だったのは「傷ついたのは誰の心」。他に立てていた将来設計が予定よりはるかに速く進んでしまい慌てる「マイホーム」が好みです。ブラックやシュールやナニコレ?な(つまりわからなかった)いろんなテイストのショートが並んでいて、時には何度か読み返し、初読のように楽しみました。
読了日:02月21日 著者:筒井 康隆
駝鳥 (Children & YA Books)駝鳥 (Children & YA Books)感想
筒井氏の「笑うな」に入っている一編「駝鳥」。駝鳥がモチーフとなった作品を数多く発表されている福井江太郎氏の作品で絵本になりました。砂漠に踏み迷った旅行者と一羽の駝鳥。慣れてどこまでもついてくる駝鳥に旅行者は食べ物を分け与え、彼の羽毛にくるまって眠ります。カバー袖に「フィナーレはそおっと静かにめくってください」とあるように筒井氏のショートですからそれなりの結末が用意されています。もともとがひとつひとつの作品ですから絵が素晴らしいです。表紙絵のダチョウの愛くるしい目が、読み終わると違って見えてきました。
読了日:02月19日 著者:筒井 康隆,福井 江太郎
知識ゼロからの妖怪入門知識ゼロからの妖怪入門感想
「知識ゼロからの」というだけあって、本当に基礎の基礎だけのようですが、知っている事が多くても、あの「しゃばけ」の柴田ゆうさんのイラストですから、妖怪たちがどれもみんな可愛らしく楽しいです(説明を読むとものすごい怖いのもいますが💦)。しゃばけで見たことのある子もいます。データや正体、コラムなど、短くまとめてありさらっと読めました。全国マップと称した地方の妖怪紹介も面白かったですし、妖怪と幽霊、怪獣、神の違いや、事象であったいくつかの妖怪が水木しげる氏によって具象化されたという説明も興味深かったです。
読了日:02月19日 著者:小松 和彦
熟れた月熟れた月感想
伝えたい大事なことは、いつか届くのでしょうか。いろいろな人たちの生活の小さな一コマ。その何気ない一コマが誰かに影響しているのかもしれません。登場人物それぞれがどのような未来を、どのような結末を選ぶのか夢中になって読みました。人生は思ったようには動かない。人間はそんなに強いわけじゃない。それでもきっと悪いものじゃない。思わず自分の歩んできた道を振り返りました。とても強くて優しい作品でした。
読了日:02月19日 著者:宇佐美 まこと
羆嵐 (新潮文庫)羆嵐 (新潮文庫)感想
日本獣害史上最大の惨事と呼ばれる羆による惨劇と闘いが、目に見えるように耳で聴こえるように描き出されています。彼らはどれだけ怖かったか、どれだけ悔しかったか。子供を思う母親の叫び、少なくなってると表現するしかないやるせなさ。羆との戦いだけではなく村による貧富の差や、上に立つ者の圧倒的情報不足と経験の乏しさもリアルに伝わってきます。羆側にとっては、これが自然の摂理以外のなにものでもないとわかるのが苦しいです。当時7歳だった大川翁が熊撃ちになった思いのわかる倉本氏の「解説に変えて」が更なる余韻を運んできました。
読了日:02月18日 著者:吉村 昭
綾志別町役場妖怪課 すべては雪の夜のこと (角川文庫)綾志別町役場妖怪課 すべては雪の夜のこと (角川文庫)感想
綾志別町役場編2作目。朧月市役所シリーズは夢中になって一気読みしましたし、こちらの一作目も読みにくかった印象はないのですが、今回は苦戦。半分くらいまでとても読みにくかったです。何が違ったのか読了した今でもわかりません。きちんと伏線はあったし、畳みかけるような後半は楽しめましたが、気持ち悪かったり、話が大きすぎて呆然としてしまった部分も。ラスト、彼の気持ちがあの花で癒されたのかどうか、胸を抉られるものがあり、爽やかに読了とはいきませんでした。私は妖怪退治より妖怪と仲良く共存する話が読みたいのかもしれません。
読了日:02月18日 著者:青柳 碧人
くらべる値段くらべる値段感想
高いもののほうが良いものだと思うのは当然のことですが、高い方が美味しいというわけでもないのですね。同じお店の「うなぎ」の値段の差が量だけというのはなんだか嬉しいです。コラムも勉強になります。必ずしも天然が養殖や人工に勝るわけでもないこと、きちんとしたエントリーモデルは高いものを買ってみたいと喚起させる力があるということなど。安いものに「値段相応」だと言うのは悪いことのように思えますが、むしろそれが当然であって誰かの努力により値段以上に安く手に入れられているということを理解しないといけないと思いました。
読了日:02月16日 著者:おかべ たかし,山出 高士
ロシアンバレンタインロシアンバレンタイン感想
バレンタインに木下さんからの手作りショートショート。Twitterにアップされたことを読友さんに紹介していただきました。いつもの歴史小説とは違って、「ロシアンバレンタイン」という制度のある国での、とある一コマの掌編です。さらっと読めるのですが綺麗に落とす、バレンタインらしい甘くて苦い好みのお話でした。歴史小説ではない、こんなお話も素敵ですね。今月発売の新作もとても楽しみです。https://twitter.com/musketeers10/status/963632447165468672
読了日:02月15日 著者:木下 昌輝
のぞきめ (角川ホラー文庫)のぞきめ (角川ホラー文庫)感想
序章で変な視線を感じたら本を閉じろと言われ、余計な恐怖を貰いました。一部「覗き屋敷の怪」で、別荘地にアルバイトに行った学生が出会った怪異を一気に読ませ、二部「終い屋敷の凶」では民俗学者・四十澤の記した昭和初期のノートから過去の出来事をたどり、読み手も学生たちの出会った怪異の原点を知ることになります。ミステリとホラーの融合ということで、実は謎解きが用意されている部分もあります。でもそこを解き明かしてもらっても!逆にホラー部分の恐怖が増しました。受け取りは様々なようですが私はよく計算されていると感じました。
読了日:02月14日 著者:三津田 信三
あるミアタリの女 監察の神あるミアタリの女 監察の神感想
著者初読。警察内部の調査をする監察係から見た、二人の女性のお話。どちらも倒叙形式ですが、監察係の神と西岡二人のただ鋭いだけではない、寄り添いながらも相手を落としていく駆け引きをドキドキしながら読み進めました。交渉人の女に関しては、警察官なのにそんな私情で!と腹立たしさをも感じましたが、見当り捜査員の女に関しては徐々に予想がつくとはいえ、読んでいて痛々しく哀しくなりました。彼女たちも弱さを持った一人の人間です。それでも警察官である以上、もっと強くあって欲しかった。さらりと読めましたが大きな余韻が残りました。
読了日:02月13日 著者:弐藤水流
タイムマシンでは、行けない明日タイムマシンでは、行けない明日感想
「ふたつの星とタイムマシン」で登場したタイムマシンに乗って、過去に亡くなった彼女を救いに行こうとする主人公。ところが彼が戻った世界は自分の経験してきたものとはちょっと違って…。タイムマシンのパラドックス。バタフライエフェクト。結局自分の元居た世界とは少し違う世界を生きることになった主人公の日々は、優しく、哀しく、何度も涙がこぼれました。日々を過ごし、いろいろな経験を経て彼が悟る縁というのはとても素敵です。たどり着いたラストもとても良かった。読後の今、私の明日も今の私から続けて伸びている事を実感しています。
読了日:02月11日 著者:畑野 智美
ふたつの星とタイムマシン (集英社文庫)ふたつの星とタイムマシン (集英社文庫)感想
すこしふしぎな世界の短編集。タイムマシンがこそっと大学の研究室にあったり、瞬間移動や時間を操れる女の子が登場したり、ロボットが一人一台買える時代だったり…。でも年は2016年ですから、そんなパラレルワールドということなのでしょう。全てが独立した短編なのに、少しずつ人物がリンクしていて、ふわりと繋がっているのがとても好みです。そしてどれもが柔らかく優しく読後感もとても良かったです。
読了日:02月11日 著者:畑野 智美
ワルツを踊ろうワルツを踊ろう感想
辛口です。気分の悪い話だということは聞いていました。そして本当に楽しくない話です。限界集落における独特の村意識。村八分という言葉をこんなにリアルに感じたのは初めてです。主人公には最初から最後まで好感が持てず、上手くいかないのも当然と思ってしまいました。救うべき限界集落をこんなに貶めてどうするんだ、この話は誰得なんだ、と思いつつ読み進めたラストのワルツ。そして思いもかけないモノの登場…なるほど。確かに衝撃のラストですが、私は最初から最後まで好きではありません。訴えたかったことも正直よくわからなかったです。
読了日:02月11日 著者:中山 七里
彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)感想
最初にストーカーのように描かれる陣冶には嫌悪感しか感じません。なぜ十和子が一緒にいるのかとという疑問が、十和子が描かれるにつれなぜ陣冶はこんな十和子の言うなりになっているのだろう、と変わっていきます。ミステリとしての黒崎の件は想像がつきましたが、それでも、こんなに切ないこんなに悲しいラストが待っているとは!彼女と一緒に放心し、時が止まりました。これは愛ですか?こんな愛は辛すぎます。いや、こんな愛は認めたくありません。凄いものを読みました。きっとこのラストには、読んだ人それぞれが違う印象を持つのでしょう。
読了日:02月10日 著者:沼田 まほかる
赤々煉恋 (創元推理文庫)赤々煉恋 (創元推理文庫)感想
少しグロくて少しホラーでファンタジーな短編集。たぶん同じ設定で同じようなストーリーを経ても、ラストが違う方向に転べば好きな人はたくさんいるのだと思います。でもこれ、好きだ!と言い切ると人格を疑われそうなラストが並んでいます。印象深かったのは一番最初だからか衝撃が大きかった「死体写真師」とラストシーンに心のおさまりがつかずしばらく放心した「レイニー・エレーン」。好みは「私はフランセス」と「アタシの、いちばん、ほしいもの」。誰にでもすすめられるものではありませんが、私はこのダークな世界観がかなり好きです。
読了日:02月10日 著者:朱川 湊人
こちらあみ子 (ちくま文庫)こちらあみ子 (ちくま文庫)感想
こちらあみ子と発信続ける彼女に応答してくれるのは誰でしょう。純粋でまっすぐな彼女。彼女視点で話が進むために、哀しい出来事を経てあみ子に振り回されて壊れていく家族が、一生懸命なだけに痛々しく哀しくてたまりませんでした。当然あみ子に非があるわけでもありませんが他の選択肢も思い浮かばず、とてもやるせないです。この思いを引きずったまま読んだ「ピクニック」も「チズさん」もいろいろな想いを想像して、暗い穴の中に落ち込んでいくような読後感が残りました。凄い圧力でした。最後に読んだ町田さんの解説に救われた気がします。

読了日:02月09日 著者:今村 夏子
【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)感想
余命宣告されて保険金を受け取った後の癌完全寛解が続いたことに疑問を覚えた医師が、それを追いかけるうちに元恩師の病院と何らかの関係があることに気づきます。私自身は調べたことがあるので多少の知識は持っていましたが、実際にがん研究センターで癌研究のキャリアを持つ作者だからこその丁寧な描写には、今まで興味のなかった人にもわかりやすく訴えるものだと思います。でも色々なことを盛り込みすぎたのか、読みやすくはなかったですし最後のひとつはいらなかったような気がします。後半の怒涛のような展開はミステリとしては楽しめました。
読了日:02月08日 著者:岩木 一麻
螺旋の手術室 (新潮文庫)螺旋の手術室 (新潮文庫)感想
「ブラッドライン」加筆改題文庫化。同じ教授の座を争っていた医師の連続死をきっかけに、術死した同じく候補の父親の死の真相を、同じ医師として息子が探ろうとします。一医師のできることを超えているような気もしますが、医療ミステリとしてぐいぐいと引っ張られ、後半ガラッと変わって現れる過去との関連など、ラストまで一気読みさせられてしまいました。この種類の病気について知っていることもあり、読後はとても重いものが残りました。家族の愛の物語であり、愛するが故のそれぞれの行動が、とても印象に残る一冊でした。
読了日:02月06日 著者:知念 実希人
死体を買う男 (講談社文庫)死体を買う男 (講談社文庫)感想
江戸川乱歩の未発表作?雑誌に連載開始された「白骨鬼」。作中作として進むこの話は乱歩と萩原朔太郎が謎に挑むという、いかにもな乱歩の雰囲気を纏っています。一方で外側では、作家細田辰時がこの連載に固執します。「白骨鬼」の中の謎には読者としてはよくあるトリックを想像するのですが、さすが歌野さん、そんなにすんなりとはいきませんし、それだけでは終わりません。外側の世界と作中作の世界が繋がったとき、思わずため息がもれました。葉桜のようなインパクトではありませんが、新本格らしいお話で十分に楽しみました。
読了日:02月05日 著者:歌野 晶午
密室・殺人 (角川ホラー文庫)密室・殺人 (角川ホラー文庫)感想
ある雪の別荘における密室からの転落死。自殺か他殺か。密室を作ったその方法は?探偵・四里川陣に命じられて、助手の四ッ谷礼子が情報収集に頑張ります。普通にミステリを読んでいるつもりが、途中で、あ、これホラー文庫だった、みたいな描写がちらちらと…。伏線は綺麗で、時に冗長に感じる登場人物とのやり取りが、全てが明らかになったとき無駄のないものだと気付き驚きます。しかもこの物語の読ませどころは思っていたのと違うという、ピースがはまる快感もあり楽しめました。多くの個性ある登場人物の出てくる他の話も是非追いたいです。
読了日:02月02日 著者:小林 泰三

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