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4月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:5965
ナイス数:3228


宮辻薬東宮宮辻薬東宮感想
題名は参加されたミステリ作家さんの頭文字。単なるアンソロジーではなく、前の作家さんの書かれた作品を読み、そのモチーフを受け継いで作品を書く、というバトン形式なのです。宮部さんの作品はさすがの貫禄ですばらしく、続く作家さんたちも普段とは違う引き出しを開けられたり、バトン形式でなければ味わえない、とても楽しい一冊でした。最後の宮内さんは自分が締めだとは聞いていなかったそうですが、綺麗に最初の宮部さんの作品に繋がっていて、とても良かったです。気持ちが伝わってくる作者の言葉も楽しかった。贅沢な読書タイムでした。
読了日:04月29日 著者:宮部 みゆき,辻村 深月,薬丸 岳,東山 彰良,宮内 悠介
ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)ロボット・イン・ザ・ガーデン (小学館文庫)感想
親の遺産でぬくぬく暮らすベンと弁護士として活躍する妻エイミーの元に、突然旧型のロボットタングが現れます。元々不満があった妻は出ていき、ベンは故障しそうなタングを治すため作り主を探して旅に…。タングは幼稚園児同様、駄々をこね、ききわけ、自分で何もかもしようとし…。ひとつひとつの仕草もリアルで、とにかく可愛くて愛おしくてたまりませんでした。彼の生まれた経緯を知ると、どれだけの奇跡を重ねてこんな愛にあふれたロボットに成長したかと胸が熱くなります。彼と一緒にベンも変わっていくのも嬉しかったです。続編も楽しみです。
読了日:04月28日 著者:デボラ インストール
散り行く花散り行く花感想
読後詰めていた息を吐き出し、思わず息を止めていたことに気づきました。なんて静謐で美しいミステリなのか。大正時代、罪を犯した女の元にモデルを頼みにやってくる美人画絵師という形の連作短編。それぞれが幾重にも張り巡らされた伏線を綺麗につなぎ、さらりと罪を暴く端正なミステリでありながら、この時代ならではの女の苦しみや葛藤、そして強さと哀しさを、どの短編からも冷たい温度さえ纏って伝えてきます。プロローグとエピローグがすべてを繋ぐ構成も見事。題名も装丁もぴったりで素晴らしかった。本当に出会えて良かった作品です。

読了日:04月27日 著者:伽古屋 圭市
彼方の友へ彼方の友へ感想
戦前戦中戦後と激動の時を「乙女の友」とともに駆け抜けた女性が、老人施設で当時のことを回想するという形で進みます。著者がどれほど大事に取材し、この物語を紡いだかが読むほどに伝わってきました。こんな現実があったのだと哀しくて辛くてこみ上げてきた涙は、戦後の一作目の売り出しのところで別のものとなり一気にぼろぼろとこぼれました。恋愛ものはあまり得意ではない私ですが、色々なこと全てを詰めて差し出してきたあの五線譜には完敗です。読後、第4部のラストの美蘭視点の意味に気づき、著者の配慮に感動しました。読んで良かったです
読了日:04月25日 著者:伊吹 有喜
悪徳の輪舞曲悪徳の輪舞曲感想
シリーズ4作目。弁護士事務所に突然妹が現れ、母親の弁護を依頼します。肉親でも、高額報酬だけが目当ての、依頼人と弁護士の関係を築こうとする御子柴ですが、彼が今まで興味のなかったことを知ることになり、鉄面皮の彼に人間らしい様が見え隠れするようになります。そして最後に彼の行きついた先には…。ラストはなかなかの衝撃でした。このシリーズは本当にミステリを読んでいる!という醍醐味を味わえてとても好きです。彼が本当の意味で過去を償える日はくるのでしょうか。この先の彼もどうぞ見届けさせてください。
読了日:04月23日 著者:中山 七里
許されようとは思いません許されようとは思いません感想
著者初読。表題作は祖母の目的がわかるとゾクゾクしました。これはとても好きです。「目撃者はいなかった」は嫌悪感で途中から斜め読み。「姉のように」「ありがとう、ばあば」は途中でからくりが見えてしまったけれど、心の動きが手に取るように伝わってきて、とても辛かったです。ラストの「絵の中の男」は第三者視点で語られるためか読みやすく結構好きです。こういうジャンルを得意とされているのだと思いますが、自分はこういうイヤミスよりはラストで一発ガツンと落とすブラックのほうが好みなんだということを再認識することになりました。
読了日:04月20日 著者:芦沢 央
青空と逃げる (単行本)青空と逃げる (単行本)感想
父を探す追手から逃げる母子の逃避行、という設定自体が私自身は納得できません。でもそれはさておき、小学5年生の息子と母親が逃げた地でいろいろな人と出会い、経験をし、成長していく様子を一文一文かみしめるように読み進めました。大切な人のためならば、人はどこまでも強くなれる。そして大切な人のために頑張っているはずが、実は大切な人に守られてことにも気づく、その過程がとても良かったです。中でもきのうとあしたを繋ぐ写真館のエピソードがとても好きです。折り返しまで含めて繋がっているカバー絵が、読後とても沁みました。
読了日:04月20日 著者:辻村 深月
なぞとき 〈捕物〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)なぞとき 〈捕物〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)感想
話題の女性作家6人の捕物に特化したアンソロジーです。捕物帖というのはシリーズになっているものが多く、好きなのですがなかなか手に取れないものの一つです。こちらもシリーズの中から一編を選んでいますが、それだけを読んでも問題はありませんでした。話題作家さんだけありどれも良かったです。私は宮部みゆきさんの「鯖千両」が読みやすくて一番好きでした。収録元の「はつものがたり」を読んでみようと思います。再録ばかりなので女性の描く捕物帖を普段から読んでいる人よりも、これから発掘したい人向けなのかもしれません。
読了日:04月18日 著者:和田 はつ子,梶 よう子,浮穴 みみ,澤田 瞳子,中島 要,宮部 みゆき
旅をする木 (文春文庫)旅をする木 (文春文庫)感想
カリブー、グリズリー、ムース。アラスカの流れが違うとすら思える時間を切り取った星野氏の写真にはいつも圧倒されます。この本では星野さんのアラスカでの日々を優しく深い言葉で綴っています。当たり前ですが、ぽっと現地に飛んだところであんなに素晴らしい写真が簡単に撮れるわけがない。先日BSドキュメンタリーで観た現地の人々や景色、さらにはいかに彼が現地に溶け込み愛されていたかが重なって、星野さんの満ち足りた時間と生きた証が目で見るように伝わってきました。これからは彼の写真の中に、彼自身を感じることができると思います。
読了日:04月16日 著者:星野 道夫
浅見光彦と七人の探偵たち浅見光彦と七人の探偵たち感想
題名に惹かれて手に取りましたが、〈北区 内田康夫ミステリー文学賞〉受賞作家七人によるアンソロジーでした。全て初読み作家さんでしたが、特にハズレはなく、どの方もそつのないストーリーだったと思います。でも正直特別なインパクトはなかったのですぐ忘れてしまうかも。ラストに、ページ数にして75ページほどの内田先生の浅見光彦もの「地下鉄の鏡」が収録されていますが、やはりさすがでとても良かったです。光彦坊ちゃまはとうとう独身のままになってしまいましたね。新作を読めないのがとても残念です。ご冥福をお祈りいたします。
読了日:04月16日 著者:内田 康夫,織江 耕太郎,井上 凛,山木 美里,岩間 光介,高橋 正樹,米田 京,立木 十八
死者のための音楽 (角川文庫)死者のための音楽 (角川文庫)感想
どの短編もとても良くて、一つ読み終わるごとにため息をつくほど好みでした。怪談であり、どれもが幸せなラストとは言えないのに、なぜこんなにも優しく切なく心をつかむのでしょう。特に「鬼物語」、「鳥とファフロッキーズ現象について」はまるでその場に居合せたように情景が浮かび、涙がこぼれそうになりました。「井戸を下りる」や「黄金工場」の独特の雰囲気もとても好み。ラストの「死者のための音楽」にちょっと死ぬ時がが楽しみになったのは内緒です。
読了日:04月15日 著者:山白朝子
ごはんのおとも 2ごはんのおとも 2感想
今回も「ひとくちや」を通じたゆるーい繋がりの連作です。ごはんのおともというより一品料理だったり、丼だったりしますが、スタンスは一冊目と変わりません。ひとつのお料理を通じて、落ち込んだり悩んだりした人達がほっこりと幸せになる漫画です。料理はもちろん美味しそうで作りたくなりますが、今回は前回と比べて一般家庭で普通に出てくる一品が多く、レシピとしては初心者さん向け家庭料理という感じ。でも、思わずほろっと涙がこぼれたりして、読後優しい気持ちになれるのは間違いないです。
読了日:04月14日 著者:たな
祈りのカルテ祈りのカルテ感想
研修医・諏訪野が二ヶ月ごとに診療科を移りながら、研修を積んで一人前になっていく過程の、5つの科の5人の患者さんとの話が連作短編の形になっています。たくさんの症例をこなしてきた医師がつかみきれない、病気そのものではない患者自身の問題を、諏訪野がカルテを紐解き最良の形に導いていく。医療そのものではないミステリでとても好感が持てました。実際に多忙な医師はこんな風にはいかないのでしょうが、少しでも患者に寄り添って欲しい、そんなことを考えました。「螺旋の手術室」と同じ病院の設定だと気づきちょっと嬉しくなりました。
読了日:04月08日 著者:知念 実希人
銀河鉄道の父銀河鉄道の父感想
父親視点で語られる宮沢賢治の生涯。勉強は好きでも甘えがあり世間知らずで…父はそんな賢治に甘く、語られるいろいろなエピソードに驚かされました。でもそこがとても人間味あふれていて、自分が子供に対して甘やかしてきたことを突き付けられているようでむずむずとしてしまいました。時代とはずれたこんな父親だったからこそ作家・宮沢賢治が生まれたのだとわかります。意外と印象深かったのは農学校と肥料配合のお話。今後賢治の童話に接するときには今までと違う印象を持つかもしれません。面白い形で宮沢賢治という人物に触れられました。
読了日:04月07日 著者:門井 慶喜
化身の哭く森化身の哭く森感想
シリーズ4作目。殺人事件を追う刑事・東條と、別の依頼で動く探偵・槙野、それぞれの捜査が今回はある広島の地で重なります。7年前に消息を絶った祖父を探すために「入らずの山」に踏み入れた大学生たちが、下山後次々と亡くなるという怪異。掟を破った祟りなのか、それとも誰かが意図的に行っている殺人なのか。オカルト+ミステリですが、相変わらず読み手を飽きさせない展開で堪能しました。動機には本当に驚き、呆れます。今回は探偵社に入った新人女性が行動を共にしますが、彼女にも何か過去があるようでシリーズの続きが楽しみです。
読了日:04月06日 著者:吉田 恭教
人魚ノ肉人魚ノ肉感想
人魚の肉を食べた坂本竜馬、中岡慎太郎、岡田以蔵。八百比丘尼の伝説で不老不死になると言われる人魚の肉が、その後、幕末の京都の武士たちを翻弄していきます。短篇それぞれが人魚の肉をスパイスに 血でむせ返るような見事な怪異譚になっていますが、ちょっと調べれば、それぞれの登場人物の生涯や人物像がきちんと史実に矛盾がないように書かれていることがわかり、実際の事件を追うように夢中になって読みました。とても良かった。時代小説をこんな形で楽しめるのは嬉しいです。読後ふと現在の京都に思いをめぐらすのは私だけではないでしょう。
読了日:04月05日 著者:木下 昌輝
わくらば日記 (角川文庫)わくらば日記 (角川文庫)感想
読友さんが絶対私の好みだと断言し、お薦めしてくれた一冊。27歳で亡くなってしまった姉との昭和30年代の思い出を紡ぐ連作短編。病弱な姉さまには人や物の過去を見ることができる不思議な力があり、事件の解決に一役買います。派出所のお巡りさんや警視庁の刑事との交流は優しいものですが、事件を「見て」しまう姉さまの心労は計り知れません。物語の中の時間は滔々と静かに流れていき、流れに任せてこのノスタルジックで少し悲しい世界に浸りました。一番残ったのは、淡い恋心の見える「流星のまたたき」。どのお話もとても愛おしかったです。
読了日:04月04日 著者:朱川 湊人
美人薄命美人薄命感想
大学生の総司は単位を取るためだけに老人用弁当の宅配ボランティアを始めます。そこで出会った老婆カエ。戦争で家族と片目を失い孤独に生きる彼女は、不自由で質素な生活をしているのにとてもお茶目で、ひとつひとつの行動が本当に乙女で可愛いです。楽をすることしか考えていなかった総司が、悲惨な戦時中の体験や初恋の思い出を聞くことによって、戦争を自分で調べようとするほどに変わっていきます。嫌でもひきこまれ、涙こぼさずにいられません。ミスリードをきちんと含んだしっかりしたミステリだったところもとても良かったです。

読了日:04月03日 著者:深水 黎一郎
犯罪小説集犯罪小説集感想
実際の事件をモチーフにした5編。こんなに重いとは思いませんでした。第三者視点から、嫌になるほどリアルな表現で語られる出来事に、登場人物と同じように感じ同じように経験したように背筋から嫌な汗が流れます。例えば「曼珠姫午睡」の子供のころのテニスの試合。息遣いや罵声、空気まで伝わってくるほど表現が巧みです。他に「百家楽餓鬼」「万屋善次郎」が特にリアルで印象的でした。どれも絶対に許せない。でもどれもが別世界の出来事ではない。一ページごとに足元がずぶずぶと泥にはまっていくような怖さとやりきれなさが残りました。

読了日:04月01日 著者:吉田 修一

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