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7月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:6676
ナイス数:3611


鬼 (集英社文庫)鬼 (集英社文庫)感想
ホラー短編集なのでしょうか。でもホラーでくくったら絶対に勿体ないです。少しブラックな落ちは奇妙な話に近いような気がします。このページ数に10編ですから本当に短いのに、とても短篇とは思えない濃厚なストーリーばかりでした。ちゃんとミステリなのが今邑さんらしくて嬉しくなります。表題作も素晴らしいですが、私が印象的だったのは「黒髪」「悪夢」。「蒸発」のラストは思いがけなくてゾクゾクしました。人によりあげている好みの作品が違うのが楽しいです。こういう作品集を読むと本当に凄い作家さんだったのだなとあらためて思います。
読了日:07月31日 著者:今邑 彩
dele (角川文庫)dele (角川文庫)感想
死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスからdeleteする仕事。新入りの祐太郎と所長圭司が関わった、亡くなった人とデータと残された人々との連作短編集。そんな事例から導き出された真実は、もちろんいいものばかりではありません。そんな中、依頼の目的が隠すためではなかった第4話が印象的です。また二人の背景が少しずつ明かされ、最後に交わされる会話がとても良かったです。だれでも、どんなことでもデータとして残せる時代です。ひょっとしたらもうこんな仕事は普通に行われているのかもしれません。
読了日:07月29日 著者:本多 孝好
宇喜多の楽土宇喜多の楽土感想
前作が時代を前後し視点を変え、直家という人物を描き出しているのに対し、こちらは驚くほどまっすぐに秀家を語ります。史実には忠実に、なおかつ彼の人となりを表すエピソードを散りばめ、読者である私でさえも、単なる歴史上の人物ではなく血の通ったひとりの人間として彼を感じずにはいられません。彼が皆に慕われ愛され、さらに生き延びたことが不幸であったとは思えない、この物語の流れが良かったです。豪姫とのエピソードがとても好きです。読後著者の描く直家と秀家に想いを馳せたとき、著者が描き方を変えたのがわかるような気がしました。
読了日:07月29日 著者:木下 昌輝
死神医師 (講談社タイガ)死神医師 (講談社タイガ)感想
ドクターデスという名前は、他の著者さまの作品でも見ていたので、それに引きずられたイメージを持って読み始めたため、読み進めていくうちに驚きました。事件としては重いのに全体としては七尾さんらしく軽めです。黒幕はわかりやすかったですがさらっと楽しみました。七尾良夫やベルサイユ書房など名前が出てくるのも楽しいです。「ミルクほうじ茶スカッシュ」は、今まで出てくるたびにどんな味がするのか、ぞっとしていましたが、ほうじ茶ミルクティが普通に手に入るようになった今、それほどまずいものではないんじゃないかと思っています。
読了日:07月27日 著者:七尾 与史
友達以上探偵未満友達以上探偵未満感想
あれ?これ麻耶さんだよね?と思わず本を閉じて確認してしまったほど、普通にジュブナイル「風」ミステリです。ももとあおの二人の高校生が探偵として、出会った殺人事件に挑みます。最初の二つは麻耶さんの影は、ほとんど顔をのぞかせないのですが、3編目で二人の出会いのころに戻り、二人それぞれの視点で語られるとやっぱり麻耶さんの作品だな、と思えます。麻耶作品のファンだとびっくりすると思いますが、この柔らかさは逆に初めて麻耶さんを手に取る人には読みやすいかもしれません。謎解きとしては一編目の伊賀の里が一番好みです。
読了日:07月26日 著者:麻耶 雄嵩
清らかな、世界の果てで清らかな、世界の果てで感想
「身体の中を小さな虫が這っている」と訴えながら死んだ父親。その友人も転落死し、死体から大量の虫が発見された。普通ならありえない寄生虫に、天才毒物研究者・利根川由紀が挑みます。読んでいるだけで身体中がぞわぞわとしてきます。何が起きているのか、どうやって彼らは寄生虫に感染したのか。現代は除菌抗菌が進み、まさしく清らかです。だからこそ、想定しえない何かが起きたらどうなるか…。由紀の活躍は乱暴ながらも見事で、ミステリとしての動機や伏線のはり方、プロローグとの繋がりなども綺麗でした。今後の作品も楽しみです。
読了日:07月24日 著者:北里 紗月
悪いものが、来ませんように (単行本)悪いものが、来ませんように (単行本)感想
まず、母親としてプロローグがとにかく辛かったです。一度目はここですでに挫折。ミステリとしても読みごたえありと聞き、再挑戦しましたが、今度は不妊に悩む紗英の話が辛くてまた投げそうになりました。入り込むのが嫌で、一歩引いた感じで読み進めたためか、ある部分には早々に気づいてしまいましたが、とにかく心理描写が巧みで、顔をしかめながらも一気に読まされてしまいました。親として自分を顧みてしまう点も多々あり、大志に対して思う点もあり…。すごく上手いのだと思いますが、このタイプはどうしても楽しい読書にはならないですね。
読了日:07月23日 著者:芦沢 央
はるかはるか感想
幼い頃、運命の出会いをした賢人とはるか。30年以上経ち賢人は社員たちと共に、画期的なAI「HAL‐CA」を生み出します。「HAL‐CA」はディープラーニングを繰り返し、自分でインターネットを駆使し、人間と全く変わらないように見えます。AIに心はあるのでしょうか。テーマは面白いと思うのですが、私は残念ながら、短い断定文と会話だけで進む文章がとても読み辛く、好きになれませんでした。また、いくつか曖昧なままの部分も気になります。でも、ルビンを楽しまれた方は、そのままのスピード感で楽しめるのかもしれません。
読了日:07月21日 著者:宿野 かほる
燃える水燃える水感想
ストーリーはある大手企業をリストラされた平原が、中小企業の人事課長として雇われることから始まります。彼に課せられたのはなんとリストラの打診。大企業にいたときとは比べ物にならないほど彼は頭を使い…。プロローグにより、題名の意味は分かるのですが、それがその後どう関わってくるのか、気になって夢中でページをめくりました。ちょっと科学的物理的な説明が多いのですがなんとなくわかる程度で問題ないです。いままでの河合さんとはちょっと毛色が違い、企業小説に近いのですが、最後の最後まで引っ張られ、とても楽しみました。
読了日:07月20日 著者:河合 莞爾
憑き御寮 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)憑き御寮 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)感想
シリーズ三作目。今回は旧家の蔵と離れの因縁を相手にすることになります。そこは以前に仙龍の父が関わったもので…。家を曳くのとはちょっと違いますが、徐々に見えてくる因縁の凄さに、起きたことの悲しさに、恐怖を覚えながら読み進めました。最後の見立てのシーンは凄い迫力でした。そんな中、コーイチはしっかり成長しているし、和尚もこんなに頼りになる男だった?と思うほど。そしてラストの仙龍の想いや言葉は素晴らしく、頭が下がる思いでした。扱った過去の事件はとても重いのに、とても読みやすくよかったです。
読了日:07月18日 著者:内藤 了
ちょっと一杯のはずだったのに (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)ちょっと一杯のはずだったのに (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)感想
ちょっと一杯のはずだったのに、と一杯どころか痛飲してしまいたびたび記憶をなくす主人公。記憶をなくしている間に恋人が密室で殺され、第一発見者かつ容疑者になってしまいます。そんな彼がいかにして自分の嫌疑を晴らすかというミステリ。ちゃんと伏線もはられ、脇役まで含めキャラクターも個性的に上手く描き分けられていて、軽めですがとても読みやすかったです。ただ、何か問題があるわけではないのですが、前作「スマホ~」がなかなか衝撃だったので、期待しすぎてしまいました。淡々と読み終わってしまって勿体なかったです。
読了日:07月16日 著者:志駕 晃
噛みあわない会話と、ある過去について噛みあわない会話と、ある過去について感想
読んでいていたたまれない、そんな話が4つ。やった方が覚えていなくても、やられた方は覚えている。というのをまるで自分の身に起きたように突き付けられます。自分を顧みて、何も思い当たらないことに、逆に恐怖を覚えたりします。こういう思いは女性に限らないのでしょうか。それにしても、やっぱり黒辻村の切れ味は鋭いです。読んでいる間も辛かったし、読後もなんだか重たいものを背負ったみたいです。こんなに疲労困憊した読書も久しぶりです。
読了日:07月15日 著者:辻村 深月
女王さまの夜食カフェ - マカン・マラン ふたたび女王さまの夜食カフェ - マカン・マラン ふたたび感想
シリーズ二作目。心配だったシャールさんが元気に復活し、また素敵な空間を提供してくれます。四話のうち、やはり響いたのは発達障害かもしれない息子の子育てに悩む主婦の話。私もアレルギっ子を育てましたから、色々な面で脅迫観念のようなものを持っていました。姑からは綺麗にしすぎているから弱い子が育つ、と言われて悔しくて泣きましたね。彼女が変わっていったのに心底ほっとしました。ラストの柳田とシャール、それぞれの親子の向き合い方も身につまされます。どうか、みんなの新しい一歩が優しい幸せへと続きますように。
読了日:07月14日 著者:古内 一絵
リアルフェイス (実業之日本社文庫)リアルフェイス (実業之日本社文庫)感想
改題・改稿前の『改貌屋 天才美容外科医 柊貴之の事件カルテ』は既読でしたが、少しつくりを変えてあるので、また楽しむことができました。金さえ積めばどんな手術でも引き受けると言われる、天才美容外科医柊貴之。麻酔科医としてバイトに入ることになった明日香視点で、一章ごと違う患者のストーリーの連作の形で話は進みます。幕間の形で挟み込まれる犯罪のカケラ。同時に進む過去から繋がる犯罪と警察の動きもあって、全く目を離せません。とても読みやすく、最後の怒涛の展開と組みあがるパズルに夢中になりました。楽しい読書タイムでした。
読了日:07月12日 著者:知念 実希人
新装版 ハゲタカ(下) (講談社文庫)新装版 ハゲタカ(下) (講談社文庫)感想
知っているようでいて、実はよくわかっていない金融の動き。経営破綻に陥った老舗の菓子メーカーやホテル…創業者や社長が会社のお金で豪華な生活をしているのは実は横領なのだと、本人たちは気づいていません。会社とは誰のものでしょう。企業買収、再生…ハゲタカ外資の鷲津の手腕は実に鮮やかです。元銀行員・芝野健夫、老舗ホテルオーナーの娘・松平貴子、二人と出会って徐々に鷲津自身のことが見えてくるともはやページをめくる手が止まらないほどでした。こういう時代だったのですね…。この後のそれぞれの行く末はどうなったのでしょう。
読了日:07月12日 著者:真山 仁
新装版 ハゲタカ(上) (講談社文庫)新装版 ハゲタカ(上) (講談社文庫)感想
ドラマ化と聞いて、せっかくなので先に読もうと手を出しましたが、これは勉強になる本でした。バブル崩壊後、銀行はそれまでのツケを払わされることとなり、不良債権に苦しめられますが、それをどう処理し銀行自体を倒産させずに継続させるか、上巻では銀行側の苦悩がメインに語られます。バルクセールという言葉も初めて聞きましたが、当時水面下でこのようなことが起こっていたとは。そこへ喰らいつく「ハゲタカ」こと外資投資ファンド。瀕死の企業を買収し、どんな再生を図るのか。老舗ホテルの再建なども絡み目が離せません。このまま下巻へ。
読了日:07月11日 著者:真山 仁
情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)感想
シリーズ三作目。相変わらずお料理の美味しそうなこと。みんなが癒され元気になっていくのがわかります。追分の料理ではなく一話目のラスト、蜂蜜を持ってきた佐田が浜松餃子のお店で出会う父親のお好み焼きも凄く良かった。蜜柑の子のメロンパンにもやられました。そして宇藤くん。前作でいい男になったと褒めましたが…。小説家をめざすのにそんなに女性を描けないのは人を見ていないのかな。ひとつ粗に気づくと次々気になる点が…。いい環境にいるのでもっともっと成長していってほしいと思います。純くんにも、次こそ幸せな展開をお願いします。
読了日:07月10日 著者:伊吹 有喜
亡霊の柩 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)亡霊の柩 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)感想
シリーズ5作目。オカルト的要素が印象的なシリーズですが、今回は槙野が警察をやめたときの事件が絡み、オカルトではなく至極普通のミステリになっています。警察側、探偵+弁護士側、とそれぞれの役割分担がすばらしく、違う形で事件に迫り、目が離せないまま一気に読み進めることになりました。このメンバーだからこそ、この複雑な事件の絡みがほどけたのですね。槙野の過去は一応清算されたということになるのでしょう。楽しみましたがどうしてもこのシリーズはオカルト要素を期待してしまいます。続編がどんな形になるのか今後も楽しみです。
読了日:07月09日 著者:吉田恭教
オレ、カエルやめるやオレ、カエルやめるや感想
オレ、カエルやめるや。カエルやめたい、じゃないこの訳がこの本の柔らかさを作っているのだとわかります。そういう息子に対し、おとうさんとの優しいやり取りで会話が進んでいくのが微笑ましいです。このとぼけた感じのイラストも最高です。( ´-` ).。oO(本当にカエルやめるの?ちょっとくらいぬれてたっていいじゃない。カエルだからこそのいいこといっぱいあると思うんだけど。でもそんなにカエルが嫌なら、他のものになったっていいんじゃない?だって君はもう大人なんだから。頑張ればカエル以外のものになれるかもよ?)
読了日:07月09日 著者:デヴ・ペティ
えがないえほんえがないえほん感想
なんて発想なのでしょう。これは参った。子供が喜ぶツボを押さえていますね。子供って、そういう言葉が好きな時期って絶対あるんですよ。基本は大人が一人で読んで楽しい本ではなくて、読み聞かせて子供と一緒に楽しむ本ですが、想像して自分の子供が小さい時を思い出してニヤニヤしてしまいました。教育上賛否はあるかもしれませんが、この発想には脱帽です。字が少しずつ読めるようになってきた幼稚園児くらいが一番喜ぶかな。子供が喜ぶことって世界共通なんだな、と妙な感慨を覚えました。元の言葉がちょっと知りたくなったりします。
読了日:07月09日 著者:B J ノヴァク,B. J. Novak
おしっこちょっぴりもれたろうおしっこちょっぴりもれたろう感想
なんて可愛い!私は男の子ではないし、男の子を育てたこともないのでそれを実感することはありませんが、主人公のぼくが、同じ思いを共有できる人を探して訪ねて回る、出会う人それぞれの悩みがものすごくあるあるで…。読んでいて顔が緩んで仕方ありませんでした。よーく考えると結構深いんですよ。ヨシタケさんらしい素敵な絵本。ラストのオチもニヤリ。そして、最後のおかあさん…とっても好きです。でもなにより、「おしっこちょっぴりもれたろう」このフレーズがすばらしい!
読了日:07月09日 著者:ヨシタケ シンスケ
乗客ナンバー23の消失乗客ナンバー23の消失感想
翻訳物苦手な私が一気に読まされたすごいリーダビリティです。囮捜査官マルティンは富豪の老女から豪華客船に呼び出され、2か月前に船から姿を消した少女が突然出現したことを知らされます。その豪華客船「海のサルタン号」では5年前に彼の妻子が姿を消していて…。彼女がどこにいたのか、母親はどうなったのか、犯人と被害者のやり取りを挟んで、事件は幾重にも重なって読者を翻弄します。隠されているテーマはとても重いです。登場人物も多く、詰め込みすぎたのか少々残念に思える部分もありますが、私は十分楽しみました。
読了日:07月08日 著者:セバスチャン フィツェック
人喰い (双葉文庫)人喰い (双葉文庫)感想
若いころ、笹沢さんを読みまくった時期がありました。これも一度読んでいましたが、今回復刻されたので懐かしくて手に取りました。事件の経緯、追い方、犯罪の崩壊、題名の意味…どれもとても良くできていると思いますし賞も当然と思うのですが、今の復刻には古さが勿体ないです。初版が1960年。パワハラ、御家柄、金銭価値、科学捜査の可能な範囲などまるで今とは違います。私が読んだ当時でも時代背景は古かったので、今、若い方が手にとったらまるで実感がわかないのでしょうね。私はとても好きですが、長く愛されるものって難しいのですね。
読了日:07月03日 著者:笹沢 左保
オムライス日和 BAR追分 (ハルキ文庫)オムライス日和 BAR追分 (ハルキ文庫)感想
シリーズ二作目。ああ、なんて優しいほっこりする空間でしょう。一話の猫の恩返しの件といい、二話のオムライス日和といい、宇藤くんの背筋が以前と比べて少し伸びたように思えます。君はきっと自分で思うよりずっといい男だよ。モモちゃんのつくるお料理は毎回本当に見事に目の前に浮かび、すぐに食べたくなります。今回は「おだしや」のおだしもたまらない~。猫のデビィの活躍や鍼灸院の久保田医師のお話、純くんのことも少し。ねこみち横丁という土地柄だからこそのいろいろもとても興味深かったです。また来店します。
読了日:07月01日 著者:伊吹有喜

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