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8月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:5781
ナイス数:4277


横浜奇談新聞 よろず事件簿 (ポプラ文庫ピュアフル)横浜奇談新聞 よろず事件簿 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
明治初期、元武士が髷や帯刀に拘ったり、人種差別や男尊女卑が当たり前だった時代の横浜。翻訳の仕事で日々食いつないでいた元武士寅次郎と、B級新聞「横浜奇談」の記者をしている英国人ライルが出会います。いわゆる日常の謎を新聞記事にするという設定が面白いです。いろいろな人と出会い、寅次郎は変わっていきます。日本が頑なに守ってきたものと時代の移り変わりへの抵抗や切り捨てが、読み手に無理なく伝わってきて、とても良かったです。軽めですが十分に楽しめました。
読了日:08月29日 著者:澤見 彰
跡を消す: 特殊清掃専門会社デッドモーニング跡を消す: 特殊清掃専門会社デッドモーニング感想
孤独死、自殺、心中等の訳ありの死に方をした人の部屋を片付けるという特殊清掃。ひょんなことからフリーター航は、笹川という男の仕事を手伝うことになります。亡骸の溶けた染みや集った虫、臭い、最初はその描写が本当に悲しくなりました。いくつかの仕事をこなしながら、航自身も祖母の死と向き合い、また笹川も…。彼らとともにある女性たちが皆とても素敵です。残された人は痕跡を消すことで何を思うのか、どう一歩を踏み出すか。重い話のはずなのにさらりと読ませるのは手腕でしょうか。航のクラゲに骨を入れるという考え方が印象的でした。
読了日:08月28日 著者:前川 ほまれ
罪の名前罪の名前感想
罪を意識できない彼らは病んでいるのでしょうが、誰もがそうなる可能性の欠片は持っているのかもしれません。最初の三話は、まるで自分の知り合いにそんな人がいるかのような怖気を運んできます。四話目は思わず一度ページを閉じました。その食感が口の中まで伝わってきて、半泣きでガチガチに強張った手でようやくページをめくりました。そんな状況でも、どうしても読むのをやめられない吸引力。眉間の皺をどんどん深くしながら気付いたら正座をして…ああ!このラストは木原さんでなければ書けない。凄い。この読後の満足感はなんなのでしょう。
読了日:08月27日 著者:木原 音瀬
犬神の杜 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)犬神の杜 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)感想
シリーズ4作目。今回春菜が関わったのは、トンネル工事。不吉な犬を目撃した事務員二名が不審死を遂げたという事件の調査中に、春菜もまた黒犬を目撃します。その犬は何なのか、トンネルを通す地にある因縁は?そして仙龍が今回曳くのは…。今作は登場人物たちの関係にはほとんど切り込んでいませんが、犬神は想像以上に恐ろしく、犬神の杜の因縁はとても哀しくやりきれないものでした。春菜の置かれた状況は実は相当怖いのですが、彼女の勝ち気な所に助けられ、とても読みやすかったです。次作の発売も決まっているとのことで楽しみです。
読了日:08月26日 著者:内藤 了
【2018年・第16回「このミステリーがすごい! 大賞」優秀賞受賞作】 感染領域 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)【2018年・第16回「このミステリーがすごい! 大賞」優秀賞受賞作】 感染領域 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)感想
罹れば畑ごと償却するしかない、トマトの疫病の調査に乗り出した植物病理学者安藤。一方で旧友が研究していた熟さないトマト「カグラ」の研究を継ぐことになり…。バイオ研究の説明は丁寧でわかりやすいですが、たとえ苦手で細かい部分を読み飛ばしたとしても十分ついていけると思います。彼自身の身にもカグラにも危険が迫りますが、それはいったい何なのか…先が気になって一気読みしてしまいました。みなさん書かれているように人物描写に気になる点はあります。でも授賞デビュー作ですし、とても面白かったので今後の作品も期待しています。
読了日:08月26日 著者:くろき すがや
能面検事能面検事感想
今回中山さんは冷徹で無表情な「能面」とよばれる検事・不破を生み出しました。新米検察事務官・美晴視点で、事件を通して彼自身をも描きます。こんな、感情を一切出さない能面のような人間に出会ったら、犯罪者でなくてもおどおどしそうです。逆に美晴は考えていることすべてが顔に出てしまうタイプ。だからこそこのペアでうまくいくのかもしれません。ミステリとしての事件そのものは勿論ですが、不破検事自身のことや、しがらみを切り捨てることの真の意味など、先が気になって夢中になって読み進めました。中山さんらしくてとても良かったです。
読了日:08月19日 著者:中山七里
朝が来るまでそばにいる朝が来るまでそばにいる感想
読むほどに包まれるねっとりとした湿った空気。息苦しくなって手を伸ばした先、私に掴めるのはなんだろう。むしゃむしゃと頭から食べたいなにかなのか、手で掬ってもこぼれていくなにかだろうか。眼を背け、見ないようにしていた自分の一部を切り取って差し出されて、それでも背筋に走るのは冷たさよりもあたたかさ。好みは「眼が開くとき」「かいぶつの名前」
読了日:08月19日 著者:彩瀬 まる
MOE (モエ) 2018年9月号 [雑誌] (巻頭大特集:スヌーピー/描きおろし絵本付録:ヨシタケシンスケ)MOE (モエ) 2018年9月号 [雑誌] (巻頭大特集:スヌーピー/描きおろし絵本付録:ヨシタケシンスケ)感想
最初に惹かれたのはスヌーピーでしたが、ヨシタケさんの絵本が付録に!「みらいはきっとこうなる」「だからこうするしかない」大人はいつもそういいます。でも、『それしかないわけないでしょう』。未来を怖がる必要はない、というヨシタケさんの子供へのメッセージ。あらためて絵本として発売されてからでいいので、ぜひぜひ皆さま読んでほしいです。すっごく良かったです。本誌はスヌーピーミュージアムだけじゃなく、いわさきちひろ特集、ヒグチユウコさん書下ろし、妖怪絵本等、隅々まで堪能しました。
読了日:08月17日 著者:
赤い靴赤い靴感想
心を壊した少女を診る研修医のプロローグが繋がる先は…。バースデープレゼントに父親から赤い靴を貰った少女が巻き込まれる悲劇、逃げ出した彼女の運命。鬼は誰だったのか、鬼退治はできるのか。後半、人間関係とからくりが見え始めると最早本を置くことはできません。重く陰鬱な中、モノトーンにパッと映える赤い靴と鮮血が印象的です。壮絶なラストシーン、そして全てをはっきり描き出すのではない、でも泣きたくなるほど気持ちの伝わってくるエピローグがとても良かったです。今後の彼女に綺麗な色がついていくことを信じます。
読了日:08月17日 著者:大山 淳子
騙し絵の牙騙し絵の牙感想
カルチャー誌「トリニティ」の編集長を務める主人公速水が、雑誌を継続させるべく奮闘する、お仕事小説でもある社会派ミステリ。昨今の出版業界の実情が辛すぎて読み続けるのが悲しくなるほどです。雑誌が次々廃刊になれば、連載は書き下ろしに。文庫の売り上げが単行本の売れない分を補完できなくなり、文庫化をしない状況が当たり前になってきているという現実。電子化が避けられないならば、それをなんとか上手に利益に結び付けてほしい…。エピローグまできてこれがミステリだったことを思い出しました。読後見る題名と表紙絵に納得です。

読了日:08月15日 著者:塩田 武士
震える教室震える教室感想
歴史あるお嬢様学校に入学した真矢と花音。ある日から二人はお互いに触れると視えないものが視えるようになります。血塗れの手だったり、スカートをつかむ手だったり、首のないずぶ濡れの少女だったり…。七不思議のようなものはどこにでもあるのでしょうが、それを現実に視てしまう彼女たちの恐怖はいかばかりかと思います。さらりと読めますが、それぞれ必ずしも綺麗な終わりではないところが好みです。印象的なのはちょっと異色の「捨てないで」、大人になってできることがあった「屋上の天使」。エピローグも背筋に恐怖が残りました。
読了日:08月15日 著者:近藤 史恵
営繕かるかや怪異譚営繕かるかや怪異譚感想
ある城下町の家屋で起こる怪異の連作短編集。どれだけ怖くても、単純に逃げ出すことのできない彼女たちが最終的に紹介され、救いの手を差し伸べるのが営繕かるかや。家を営繕することで上手く怪異を逃して共存をはかります。そのために怪異は最後までなんだかわからないままであっても、読後感のとても優しいものばかりでした。印象深いのは、やたら怖かった「雨の鈴」、明かされた理由と長持にぞっとした「異形のひと」、最終ページでホッとして涙がこぼれた「檻の外」。もし続編がでるならば、是非かるかやの尾端氏のお話もお願いしたいです。
読了日:08月14日 著者:小野 不由美
ギキョウダイギキョウダイ感想
「キョウダイ」の続編。人間関係が複雑なので前作を読んでいないと厳しいと思います。プロローグで前作の続きとわかる十分不穏な空気を漂わせておいて、前半は全く別視点で夢を追うサッカー少年たちの話になります。専門用語が飛び交い、ミステリを読んでいるのを忘れるほどです。ところが後半で突然、前作の雰囲気が戻ってきます。前作のラストのアレはもしかして?!ひきこまれて一気に読みましたが、楽しい本ではありません。最後の最後まで気が抜けない展開で、最終ページはどこに繋がっていくのかと本当にぞっとしました。
読了日:08月12日 著者:嶋戸 悠祐
dele2 (角川文庫)dele2 (角川文庫)感想
人間というものは、忘れることで自己防衛をしていると聞いたことがあります。でも「忘れたくなかったのに忘れていた」と思うのは、それがちゃんと記憶の奥底に残っていて、必要な時にはちゃんと引き出せるということではないかと思うのです。今作では主人公の背景に迫ります。私にも難病の父がいますから家族が一本の藁を沈めたくない気持ちがわかってとても辛かった。できないことができる状況にあった…魔が差したにしてもやはり罪は罪で自分勝手です。私はdele.LIFEにお願いしなければいけないようなものは持たずにいたいです。
読了日:08月11日 著者:本多 孝好
居酒屋ぼったくり〈9〉居酒屋ぼったくり〈9〉感想
ドラマを見てしまったので、私の頭の中の登場人物のビジュアルがほぼドラマのキャストに変わってしまいましたが、居酒屋ぼったくりはいつも通りです。商店街にやってきた二人のお嫁さんのお話はきついのですが、この商店街には誰も根から悪い人はいないのですよね。ハッピーエンドを信じて安心して読めます。ラストのアキとリョウのお話が好きでした。今回印象深かったのはお節料理のお話でのこの言葉です。「売るために作られたものを適正な価格で買うことに後ろめたさを感じる必要はない。」
読了日:08月10日 著者:秋川 滝美
こうしてイギリスから熊がいなくなりましたこうしてイギリスから熊がいなくなりました感想
イギリスが島国であり、イギリスには野生のクマがいないということは、なにかの折に聞いて知っていました。この本はそんなイギリスからどうしてクマがいなくなってしまったのか、という大人のための童話。殆ど人間同様に人間のそばで暮らしていたクマたちは、精霊と恐れられたり、サーカスで働いたり、下水道に閉じ込められて労役につかされたりしています。8つのそれぞれのストーリーで最後にクマたちが取った行動は…。これをユーモアやアイロニーと捉えるか、人間の傲慢さを感じ取るか、人によって思うことは違うのかもしれません。たっぷりのデイヴィッド・ロバーツのイラストが時には微笑ましく時には哀愁を帯びて物語を引き立てます。期待通り、8つの奇妙な熊の物語を堪能させていただきました。奇妙な味系のお話がお好きな方は期待を裏切らないと思います。是非手に取って欲しいです。創元社さまの発売前のゲラ版読書モニターに当選し、お先に読ませていただきました。同じ作家様の「10の奇妙な話」を既読です。そちらでは10の話、すべてテイストが違うのに、どれもが「日常と異常の境界線」を彷彿とさせるぞわぞわっとした不思議さや優しさ、哀しさを堪能しましたので、これも発売を楽しみにしていました。ゲラにはありませんでしたが、紙の本には田内志文さんによる訳者あとがきもあり、それがとても面白いそうです。→リンク先はモニターみなさんの声の抜粋です。興味を持たれた方は是非そちらもどうぞ。 http://www.webmysteries.jp/topic/1808-02.html
読了日:08月10日 著者:ミック・ジャクソン
能舞台の赤光 多田文治郎推理帖 (幻冬舎文庫)能舞台の赤光 多田文治郎推理帖 (幻冬舎文庫)感想
シリーズ2作目。今回多田文治郎が向き合うのは能楽の舞台の最中に起こった殺人事件。前作のような孤島で過去の出来事をすべて追うのと違って、足を運んでひとつひとつ周りを固めてトリックを暴き出し、犯人を探し出します。時代小説でありながらきちんとした本格ミステリなのは前作同様です。能楽の舞台は興味深く、前作の登場人物もいて読みやすかったです。実在の人物をうまく使われていると読後知りました。わかっていなくても楽しめましたが、歴史が苦手でちゃんと勉強してこなかったことをこういう時いつも後悔します。
読了日:08月09日 著者:嶋神 響一
三軒茶屋星座館三軒茶屋星座館感想
階上の床が抜けたために二階分の高さとなった物件をうまく使った、三軒茶屋の星座館。たった12席に集うお客様のために、金髪のオーナー和真が独特の若者言葉で語るギリシャ神話には本当に惹かれます。飛び込んできた弟の創馬と一人娘月子を中心に常連さんとともに語られる連作。少しずつ語られるそれぞれの背景は決して綺麗なものばかりではないけれど、優しい物語を夢中になって読みました。現在の三茶はもはやお洒落な観光地のようですが、この本は私が知っている何年も前の三茶の街並みが想像でき、ノスタルジックな想いに浸りました。
読了日:08月08日 著者:柴崎 竜人
ずぶぬれの木曜日ずぶぬれの木曜日感想
主人公は犬のブルーノ。雨の日、傘がないと騒ぐご主人さまの傘を見つけに出かけます。雨の日の出来事というより傘にまつわるあれこれがページをめくるたびに現れ、自然と笑みがこぼれます。読了したみなさまが揃っておっしゃるようにこの本にはゴーリーの放つ独特の悲惨さはありません。でもね、やっぱりゴーリー作品なのですよ。緻密な壁紙がなくても、美しい細かい雨。そしてほらそこに、いつものあれが!ラストページは読み手によって違う受け取りをするのではないかしら。何度も何度も飽きることなく読み返し楽しみました。
読了日:08月08日 著者:エドワード・ゴーリー
原爆体験記原爆体験記感想
登録してくださったmomongaさま、バトンを渡してくださった読友さん、本当にありがとうございます。機体がふわりと落とした白薔薇三輪。それが、いったい何を引き起こしたのか。その場にいたものでなければ描けない、読み続けるのも辛い壮絶な現実がそこにあります。語れる人々が高齢化していく今、手記を公開していただけたことに頭が下がります。絶対に記憶を薄れさせてはいけません。二度と同じようなことを起こさないために、戦争を知らない私たちもこの事実を知り、語り継いでいかなければいけないのです。皆様に是非読んでほしいです。
読了日:08月06日 著者:西村利信
キョウダイ (講談社ノベルス)キョウダイ (講談社ノベルス)感想
ミステリとホラーの融合とのことで手に取りました。DV、難病、いじめ等苦手なはずなのですが、過去の回想だからなのかホラーの怖さや悍ましさがそれを上回ったのか、もはや逆に先が気になって一気読みしてしまいました。ミステリとしてはわかりやすいですが、それでもどんな結末が待っているか目が離せませんでした。視点を変えてその後を示唆するところなど私は好きです。微妙にわからなかったところもありますが私だけかな。女のドロドロしたイヤミスは苦手ですがこれはまた違うイヤミスですね。続編が出ているのでそちらも読んでみたいです。
読了日:08月06日 著者:嶋戸 悠祐
木曜日にはココアを木曜日にはココアを感想
ささくれだった心を鎮めるのに最適な一冊。12の色を纏ったショートストーリーは全てが緩くつながって、それぞれとても読み応えがありました。それぞれの主人公が時々心をきしませながらも最終的にたどりつく結論は、ぽろっと涙がこぼれそうになるほど優しくふわりと読み手の心にも寄り添います。私も誰かの人生に組み込まれているのならば、多かれ少なかれ、誰かの温かい光になっていると信じたい。今は暑いから、ホットココアは冷房の効いた喫茶店でいただきましょうか。酷暑の中でも今読めて良かったと思える素敵な作品でした
読了日:08月05日 著者:青山 美智子
ぞぞのむこぞぞのむこ感想
謎の都市・漠市に関わった人たちが奇怪な運命をたどる短編5つ。グロテスクではありますが、こんなに不条理という言葉が似合う話もないでしょう。どの短編にもかの地に住んだことのある矢崎くんが最低限の忠告をしてくれるのですが、人間というものは、どうしてこう欲が深く人の忠告を素直に受けないんでしょう。彼らのたどる運命が悲しく恐ろしいです。作者の作りだした怪異もさることながら、それを表現する擬音語が素晴らしく読んでいるだけで鳥肌が立ちました。最終話の後味はざらざらと口の中にまで残ったようです。ホラーがお好みの方は是非。
読了日:08月03日 著者:井上宮
スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 想いを伝えるシチュー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 想いを伝えるシチュー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
シリーズ三作目。相変わらずスープは本当においしそうで、読むたびに訪れたいと思います。最近心温まるほっこり系のお店のお話を続けて読んでしまったため、このシリーズが思いがけなく人の裏の部分を描いていることにちょっと辟易してしまいました。もともと人間関係の隠された部分を暴くようなミステリだったので問題は読み手である私の方にあるのですが、読んだ順番が少し残念でした。また今後はあまり好きでない恋愛部分をメインに全体のストーリーが進みそうなので、この先を読むかはあらためて考えます。
読了日:08月02日 著者:友井 羊

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