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9月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6164
ナイス数:3487


Q&AQ&A感想
廃墟と化したアパートの一室。死体のそばにあった一冊のノート。そこには被害者と犯人が交互に問いかけた2組の問いが残され、異国の言葉のそれを刑事が読み進めることで被害者と犯人を浮き彫りにしていきます。決して面白くなかったわけではないのですが、出てくる登場人物が、日記に書かれる人物だけでなく全て、記号一文字であらわされているところがとてもとっつきにくく感じました。入り込んでしまえば、彼らが誰なのかどんな関係なのか、描き出される彼らの人生にはひき込まれますし考えさせられます…そして最後に残ったのは虚しさでした。
読了日:09月30日 著者:小林 大輝
叙述トリック短編集叙述トリック短編集感想
叙述トリックって一種のネタバレ。でも題名でそれを言っちゃうってどんなだろう、と本当に期待して手に取りました。最初の「読者への挑戦状」が、見破ってやる!と更にやる気を誘います。もちろんわかったのもありますが、ひとつひとつ読み進めて、結局言われててもわからないものなんだな、などと思いつつ読んだ「ニッポンを背負うこけし」で驚愕。そしてさらにあとがきを読んで…!!逆に叙述と知っていたからこそ、注意深く読んで普通に読むより楽しめたような気がします。といっても、全体として叙述としてのやられた感は少な目ではありますね。
読了日:09月28日 著者:似鳥 鶏
だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語 (新潮文庫nex)だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語 (新潮文庫nex)感想
題名からホラーを想像しますが、副題に九つの奇妙な物語、とあるようにどれも怖さを伴った奇妙な話で、短い中にも作家さんの味がちゃんと出ていると思います。読後もなんだかわからない曖昧な怖さもよいですが、思い込みをラストにひっくり返された織守きょうや「とわの家の女」と、ラストに声が出そうになった澤村伊智「高速怪談」が好みで、とてもよかったです。行きつく先が全く見えなくて最後までドキドキした小林泰三「自分霊」やたった8枚のイラストが息を止めさせた、さやか「うしろの、正面」も印象的でした。
読了日:09月27日 著者:恩田 陸,芦沢 央,海猫沢 めろん,織守 きょうや,小林 泰三,澤村 伊智,前川 知大,北村 薫,さやか
皆川博子の辺境薔薇館: Fragments of Hiroko Minagawa皆川博子の辺境薔薇館: Fragments of Hiroko Minagawa感想
短篇7編。ロングインタビュー。随筆7編。皆川愛にあふれた作家様の寄稿や愛する皆川作品…。図書館でお借りして、毎日少しずつ堪能しましたが、やっぱり手元に置こうと購入しました。未読作品の方が多いファンと名乗るのもおこがましい私ですが、作家様の推薦本はこれからの道標にとても役に立ちそうです。なにより嬉しかったのが、怪談えほん「マイマイとナイナイ」を上梓されたとき一緒に生まれた短編「しらないおうち」が載っていたこと。限定三部で豆本を作って著者にプレゼントされたそうですが、これは是非作って一般販売してほしいです。
読了日:09月25日 著者:皆川博子,綾辻行人,有栖川有栖,石井千湖,井上雅彦,伊豫田晃一,宇野亞喜良,岡田嘉夫,恩田陸,佳嶋,北原尚彦,北村薫,日下三蔵,久世光彦,倉田淳,黒田夏子,小森収,近藤史恵,今野裕一,齋藤愼爾,坂野公一,佐藤亜紀,篠田節子,篠田真由美,新保博久,須賀しのぶ,千街晶之,竹本健治,建石修志,垂野創一郎,千早茜,中川多理,西崎憲,服部まゆみ,鳩山郁子,東雅夫,深緑野分,松田青子,宮木あや子,門賀美央子,柳川貴代,山科理絵,山田正紀,山本ゆり繪,島村理麻,光森優子,小口稔,鈴木一人,小塚麻衣子,古市怜子,戸井武史
ポストカプセルポストカプセル感想
15年の年月を経て届いた、ポストカプセルにはそぐわない、ラブレター、脅迫状、礼状…。一通ずつ繰り広げられるお話を一つ一つ堪能していくうちに、人物や出てくる建物が少しずつ重なっていることに気づきます。ちゃんと違和感も持っていますし、折原作品を読んでいる、このことがすでに伏線でもあるのに、最終的には怒涛のような最終章を何度もページを戻りながら読むことになりました。折原作品を読みなれていらっしゃる方にはあっさりかもしれません。でも連作の形で繰り広げられるストーリーはとても読みやすかったです。堪能しました。
読了日:09月25日 著者:折原一
海と毒薬 (角川文庫)海と毒薬 (角川文庫)感想
そういう時代だった。そう言われてしまえばそうなのかもしれない。上から落ちてきた一滴の毒薬を、意思の力で無効にできる人間がどれだけいるのだろう。毒薬が落ちてきたことすら知らずにそれに染まってしまったのが、日本人という国民性ゆえだと思いたくはない。戦争で敵を倒すこと。あるいは医療の進歩のために実験をすること。彼らの思う罪とはなんだっただろう。治験の大事さも私は身をもって知っている。でも、それはこんな風に起こっていいことではないはずだ。海はまるで心を映すように、見るものによってその色を変えていく。
読了日:09月24日 著者:遠藤 周作
あなたが母親の手料理を食べられる回数は、残り328回です。 (メゾン文庫)あなたが母親の手料理を食べられる回数は、残り328回です。 (メゾン文庫)感想
目の中にごみのように見える「あなたが母親の手料理を食べられる回数は、残り○○回です。」の文字。母親の手料理を食べるごとにそれは減っていく。それが0になったとき、何が起こるか想像した僕は…。そんな表題作をはじめ、授業に出られる回数、不幸が訪れる回数、など限定回数をもとにした7編。手料理や生きられる日数はもちろんキツイけれど、嘘をつかれる回数っていうのもしんどい。相手が本心か嘘かすぐわかるわけだから。覚悟して読み始めたけれど、どれもがとても優しい後味の良いお話でした。7話目がとても良くできていて好きです。
読了日:09月24日 著者:上野 そら
探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫nex)探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫nex)感想
AIものは最近よく見かけるようになりましたが、こちらは、フレーム問題、シンボルクラウディング問題等、実際にAIに人間同様に考えさせようとするとどうなるかを、実際の問題点をストーリーに組み込んでいて、とても興味深く読み進めました。殺された開発者の息子がそのAIと共に悪の組織と闘うという話ですが、最後に一捻りもあり楽しめました。早坂氏ということで期待値が上がってしまったのか、ミステリとしては少し物足りない気もしますが、続きを期待したいと思います。
読了日:09月22日 著者:早坂 吝
熱愛 (PHP文芸文庫)熱愛 (PHP文芸文庫)感想
新刊が気になっていたら、同じ元刑事で探偵の鬼塚が出る作品があると知り、まずこちらを手に取りました。最初のページで彼は、車中でいきなり頭から血と脳漿をぶっかけられるという凄いスタート。でも、573ページの厚さを一気に読ませるだけのスピード感があり、全体としてはその手の痛みは少なめです。謎の殺し屋「ミスター」を捜すという依頼で進む話は、事件や組の暗部よりむしろ、雇われた組長と息子たちの愛憎や彼自身の過去や事情など事件以外の背景が心を打ち、ハードボイルドというより人間模様を堪能しました。新刊も読もうと思います。
読了日:09月21日 著者:香納 諒一
琴乃木山荘の不思議事件簿琴乃木山荘の不思議事件簿感想
山岳小屋から見える人魂、新雪の積もった足跡のない離れに忽然と現れた倒れている男、動かされた指導標…。山小屋を舞台に、七つの謎が解かれます。帯には山岳×日常の謎、とありますが、その謎の行きつく先は、話を重ねるごとに重くなっていき、しっかりとしたミステリを堪能しました。視点はアルバイトの絵里、探偵役は同じ山小屋で働く石飛。この石飛自身も謎の人物で気になります。一番の好みは思いがけなく真相にほっこりした「竜頭岳と消えた看板」。大倉さんの山岳ミステリは未読ですが、そちらも読んでみたくなりました。
読了日:09月19日 著者:大倉 崇裕
豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件感想
タイトルも帯もかなりなインパクトで、期待ばかり膨らみましたが、中身はいろいろなタイプの短編集。すぐ忘れてしまいそうなのもあるけれど、これだけ違うタイプを書かれるのには驚きます。表題作はどうやったら豆腐の角で殺人ができるか結構想像を逞しくしていたのですが、色んな意味でほほお、という感じ。最後は猫丸先輩の一作。シリーズは積んだままで、この本で初めましてだったけれど、人気があるのも納得の印象的なキャラでした。積んでないでちゃんと読もうと思います。「変奏曲・ABCの殺人」「夜を見る猫」が好きです。
読了日:09月18日 著者:倉知 淳
グローバライズグローバライズ感想
へっ?ちょっと待って!このわけのわからなさ、もしや連作短編か?と思ったところで出てきた共通人物。ジェローム!お前かよ…。私は今何を読んでいる?坊主が道案内する漢字の渦。改行の全くないギッシリ詰まった何ページも続く幻想。読者におまかせレベルじゃない、待って待って、だからそれで?!常に残る、いやどんどん強くなる、おいてけぼり感。大概のものは、そう、相当なエログロでさえも行けちゃう私だけど、ゲテモノ食いとシモ関係だけは勘弁してください( ;∀;)。。それで、結局私が読んだこれは何なの?教えてよ、ジェローム。
読了日:09月17日 著者:木下 古栗
掟上今日子の色見本掟上今日子の色見本感想
今回は長編で、今日子さんがいきなり誘拐されています。10億の身代金を要求されたのは親切さん。過去に今日子さんと話したことなどを思い出しながら、彼女を救出するために頭を使います。親切さんが、意外とできる人なのに驚きました。厄介君も登場はしますが…。さらっと読みましたが、今回も今日子さんが人間離れして凄いということがよくわかります。最後までよくわからなかった点があったけれど、それは重要じゃないからなのか、後の事件と関連するのでしょうか。そして、その色見本はぜひ欲しいです。
読了日:09月10日 著者:西尾 維新,VOFAN
スラッシャー 廃園の殺人 (講談社文庫)スラッシャー 廃園の殺人 (講談社文庫)感想
これが三津田さん?って驚くほどのB級スプラッタホラー。ホラー作家の作った廃墟庭園。しかもその作家は行方不明。そこで映画を撮ろうと訪れた関係者たちは殆ど迷路の廃園のなかで…!庭園が巨大なので想像力がついていかず、略図がなかったのが少し残念。もの凄く残忍なナイフでの殺人風景は、意外とさらりと読めます。また黒づくめの犯人が誰なのか。これはちゃんとしたミステリ。ミステリを読みなれた人だと感づいてしまうものだけれど、ちゃんと残忍な殺害にも意味があって、納得させられてしまいました。たまにはこんな変化球も楽しいです。
読了日:09月09日 著者:三津田 信三
夏のキグナス 三軒茶屋星座館夏のキグナス 三軒茶屋星座館感想
シリーズ2作目。和真の独特の言葉で語られるギリシャ神話には相変わらず惹かれます。前作の紹介も面白かったです。今回は月子の母親や和真の過去が絡んでくるのですが、ヘラクレスの話が本人と重なってしまったので、途中から重くて読むのが辛くなってしまいました。こういうのは体調のいい時に読まないとダメですね。これ、4冊で完結なので3冊目もすっきりではないでしょうし…続きは少し心を整えて、元気になってからにしようと思います。
読了日:09月07日 著者:柴崎 竜人
帝都探偵 謎解け乙女 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)帝都探偵 謎解け乙女 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
ホームズに憧れ、名探偵になることを宣言した女学生の菜富お嬢様。幼馴染でもある、お抱え車夫の寛太とともに謎に挑みます。想像以上に寛太が切れ、依頼された事件は意外に難なく解決します。連作短編の形で進みながら、お嬢様と寛太の過去にも触れ…。それぞれの話はあまり印象に残らなくて、最後までこんな感じ?と思っていたらやられました。そしてさらに…時々のどに小骨が刺さったままのような違和感がするっと横切っていたのです。でもその正体がこれだったとは。優しいラストもとても好みでした。読後本を閉じてからの余韻まで堪能しました。
読了日:09月06日 著者:伽古屋 圭市
すずらん通り ベルサイユ書房 リターンズ! (光文社文庫)すずらん通り ベルサイユ書房 リターンズ! (光文社文庫)感想
ベルサイユ書房続編。今回は写真集刊行のサイン会が脅迫で中止になることから始まる長編。写真集になにかまずいものが写り込んでいたのか。長編だけど連作短編のように、ひとつひとつの写真の謎を解きながら一気に読み進めました。メインの事件は決して軽くはありませんが、ひとつひとつがしっかりとしたコージーミステリで楽しかったです。作家の卵の主人公研介くん、前回よりは頑張っていますが、まだまだですね。濃いキャラの書店員達も、今回は書店内の描写が少なかったのがちょっと残念。続きがありそうなのでまた期待しています。

読了日:09月05日 著者:七尾 与史
黙過 (文芸書)黙過 (文芸書)感想
交通事故で意識不明の青年は早急に肝移植をしなければ助からない。でも彼は臓器提供の意思を示していて…こんな重いテーマで始まった第一話。第二話はパーキンソン病を演じている父親。第三話では母豚の体内から消えた子豚たち。一見全く関係ないように見えるそれぞれの話ですが、ふと気づくと、ところどころで人物が重なっています。最終話は思いがけない展開に驚愕しました。一見受け入れにくいと思われたものが、最後には、今までとどこが違うのかという問いに答えられなくなります。これだけの重いテーマを一気に読ませてしまう著者は流石です。
読了日:09月04日 著者:下村 敦史
あなたがだいすきあなたがだいすき感想
あなたがだいすき。子供を膝に乗せ、1ページずつめくって読んで、ぎゅーっと抱きしめて。とくべつ わたしは あなたが だいすき。子供が小さいころを思い出します。小さな子育て中のおとうさま、おかあさま。あふれるほどの大好きと抱きしめを、無条件で受け入れてくれる、その時期に。その膝の重みを、幸せをたっぷりと感じてください。子供がすっかり大きくなった私は、いつか孫ができたらこの本を娘にプレゼントしようと思います。(私信:麦へ。素敵な本をありがとう♡あなたが いるだけで わたしは しあわせ)
読了日:09月03日 著者:鈴木 まもる
消えない月消えない月感想
ストーカーと呼ばれる人には常識が通用しないという恐怖。被害者のその恐怖からくる、自分さえ我慢すれば、という考えへの変遷もリアルに伝わってきます。最初は本当に普通のひとなのに。少しでもおかしいと思った時にはもう遅いなんて。どこに行っても見られている、どこに動いてもついてくる。読後見る、消えない月という題名が、更に恐怖を煽りました。年頃の娘がいます。決して他人事ではなく、とてもとても疲弊した読書タイムでした。
読了日:09月03日 著者:畑野 智美
福家警部補の考察 (創元クライム・クラブ)福家警部補の考察 (創元クライム・クラブ)感想
シリーズ5作目。いつも通り見事な本格の倒叙ミステリです。コロンボや古畑任三郎と思い出しながらも、何を考えているのかわからない淡々とした福家警部補にすっかり持っていかれます。驚くほど些細な綻びを引っ張ってくるのは相変わらずで、バンと証拠を突き付けるよりも、心理戦で最後に自供させる手腕は鮮やかです。現実にはそんなに上手くはいかないのでしょうが、どれも面白かったです。印象的なのは徐々に主婦の本当の顔が見えてくる「上品な魔女」、えっ!そこから?と思った「東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き」。
読了日:09月02日 著者:大倉 崇裕

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